util

ユーザ名:

パスワード:



パスワード紛失

新規登録

関連リンク




メインメニュー

オンライン状況

108 人のユーザが現在オンラインです。 (59 人のユーザが 貿箱フォーラム を参照しています。)

登録ユーザ: 0
ゲスト: 108

もっと...

Re: フリューゲル異伝スレッド

投稿ツリー


このトピックの投稿一覧へ

なし Re: フリューゲル異伝スレッド

msg# 1.16
depth:
1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2013/7/20 1:58
ゲスト    投稿数: 0

== Flugel Another Story vol.15 ======
 
 成蘭連邦王国といえば、フリューゲルにおいて知らないものはいない。この国際政治上のグレートパワーの一角を占める先進国である。
 
 成蘭連邦王国の中心は成蘭王国。
 成蘭王国の首都は成蘭市。
 休日の昼ともなれば、大国の首都の必然。成蘭市は多くの市民と観光客でごった返す。
 
「お姉様方! はやくー!」
 ゴシックロリータを着込んだリエラ・エアリーヌが、童女のような声と雰囲気でルティーナたちを呼ぶ。少女王としての威厳はもうそこには無い。
 食のメインストリートたる"食い倒れ成蘭"はどこもかしこも行列。
 遠い異国からやってきたルティーナ・エルツ・ルーシェベルギアス公爵は、この国の王太子たる黒石治宗の手を握り寄り添い、人の海の中で迷子にならぬようにするのが精一杯。
「…こんなに人が多いなんて」
「君が驚くのは珍しいね」
 今日は市井の店で昼食を、とルティーナが無邪気に提案し、彼女の虜たる治宗はこの事態を予見しつつも反対はしなかった。あらゆる障害を排除し、この夢魔の望みを達成することこそ王太子の望み。存在意義。
「何処にしよう? 何を食べたい?」
「何処でも良いの。王子様が連れて行ってくれる所なら」
 ルティーナのいつもの言。確かに献立の選定など、姫君のすることではない。すべて決断は人任せ。ただ彼女は人を虜にし、雛鳥のように親鳥の餌を待ち続ける。
「…どこでもかい? 例えばこの国の王座でも」
「はい、どこでも。ルティーナを可愛がってくれるなら」
「…じゃあ、リエラに決めて貰おうか」
 王太子が少女王に身振りで合図する。リエラは頷くと、くるりと身を翻し、目聡く店前の順番待機用ベンチに座って場所を取る。
「…てっちりか。ふぐ料理とは意外だね」
「うん。お好み焼きやたこ焼きはソーヴィニヨンにもあるし。お姉様には一番高いお店がいいの」
 夢魔の虜囚同士の奇妙な友情。論理的に考えてこんなものが成立することはおかしい。そう頭では判っているのだが、これがエーファ・ブルーンスのいう夢魔の幻惑の業ということなのだろう。
「二十分待ちだそうだけど、大丈夫かい?」
「はい。今日は三人でデート。恋に狂わせてあげます。…楽しみましょう」

投票数:0 平均点:0.00

  条件検索へ