util

ユーザ名:

パスワード:



パスワード紛失

新規登録

関連リンク




メインメニュー

オンライン状況

135 人のユーザが現在オンラインです。 (16 人のユーザが 貿箱フォーラム を参照しています。)

登録ユーザ: 0
ゲスト: 135

もっと...

Re: フリューゲル異伝スレッド

投稿ツリー


このトピックの投稿一覧へ

なし Re: フリューゲル異伝スレッド

msg# 1.31
depth:
1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2014/9/12 21:50 | 最終変更
ゲスト    投稿数: 0

「その後」

 総統官邸。歴代のレゴリス帝国総統が住まいし建物。首都ブリンストの中央省庁の立ち並ぶ新市街の中央。三つの建物と庭園と、実際に使用されたこともある地下壕から構成される。
 その主はもちろん、レゴリス帝国総統たるヴァルター・ディットリヒ。そしてその妻であるエリーゼ。
 内装も使用人たちも前総統ヴェルトミュラーがこしらえた物をそのままに。

 豪奢な寝台の羽毛布団の中には、寝息を立てる幼い少女が。そして紅茶の香りを立てながら、三人の男女が丸テーブルを囲んでいた。

「素敵な部屋です。よろしいのですか? 幽霊には勿体ないのでは」
 不可視の夢魔令嬢が総統夫妻へ。
「気にしなくても良いさ。夢魔を迎え入れるのは前例がある。この部屋はそう、ジャスリー卿をお迎えしていた」
「ジャスリー様が?」
「うん。世界大戦までやってのけたよ。もうフリューゲルにはいないようだけれどね」
「フィリオリやルティーナも。ルティーナは随分変わってしまったようだけど…」
 まるでリリスみたいに。もう、すごいんだからとエリーゼ。
 再会を祝し、思い出話に興じるが、エリンシアに課せられた忘却の呪いは強固だった。むしろ二人の記憶力に感心する。「フィブリノーゲン」という単語をどうにか思い出したことが唯一の収穫だった。
 
 
「…そう。それで数百年越しの想いを成就したの。おめでとう。羨ましいわ。富も栄光も愛もあなたは手に入れた。英雄ね。もう堕落と破滅の使徒が隣にいるようだけど」
「エリンシアは、向こうの世界では何を?」
「リムステラと一緒に、ベロース様に仕えて放浪と戦いの日々。召喚に応じたのは、そうね…声が聞こえたからという興味と、気分転換」
「召喚者は懲罰房に入れておいた。送還については…向こうからの召喚を待つしか無いかもしれない」
「お気になさらず。夢魔は運命を操る。その日がくればきっと黒騎士様が攫いに来てくれます」
「…そんな事態には陥りたくないな。何年経ってもあの人には勝てる気がしない」
 
 
 
 
「あの子はどうしましょう?」
「調べさせたところ、良いところの子女みたいだね。…家庭の事情があるみたいだが」
 エリンシアが寝台の方を見やり、ヴァルターが応える。
「誰からも必要とされない子なら、悪魔が攫ってしまっても構いませんかしら? レゴリスの守護者様」
「駄目だよ。…でもまあ、君は悪魔ではない」

投票数:0 平均点:0.00

  条件検索へ