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Re: フリューゲル異伝スレッド

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なし Re: フリューゲル異伝スレッド

msg# 1.7
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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2013/6/3 1:08 | 最終変更
ゲスト    投稿数: 0

== Flugel Another Story vol.7 ======

 聖なる祈りを捧げる少女。

 リエラ・エアリーヌは神の使者である。

 運命の青きベリル/Aquamarineの守護者である。

 聖女であり、預言者である。

 王権神授説を実践する祭政一致のこの国家の、その頂点に立つ王であり、最高祭司である。

 特殊な宗教上の理由により、わずか十五歳で即位した少女王。

 今夜もまた、少女は自らの民と、隣国の民の平和と安寧の為に祈り続ける。

 その無垢にして高貴なる魂はさぞや美味であろう。

 その聖性は有象無象の悪霊どもは近づくことすらできないが。

 首に掛けた聖石の加護はあらゆる魔から、あるいは呪からエアリーヌの乙女を護るのだが。

 レメトゲンもアーネンエルベもこの少女王を呪うことは叶わないのだが。

 しかし、ここに一人、アクアマリンの聖なる結界に侵入する魔のモノがいた。

「…ルティーナさま?」

「はい。リエラ様もご機嫌うるわしゅう」

 優雅に一礼する異国の姫君。少女王よりわずかに年上を思わせる外見で、しかしどうしようもない妖艶さと魔性を醸し出す。たくさんの魂を貪った淫魔がそこにいる。

「どうやってこちらにきたのですか」

「幽体離脱/Astral projectionを少々。結界のことならご心配なく。ルティーナは即位式の際にリエラ様から"招かれ"ました。強力な結界ほど融通というのは効かなくて──一度魔のモノに敷居を跨ぐことを許したら、その後は自由に出入りできてしまうのです」

「……凄い」

 差し伸べられた手を握って、少女王は感嘆する。目の前の夢魔は幽体離脱だけでなく、実体化/Materializまでできるのだ。

「はい。便利です。間に合わないはずの即位式に参列したり」

 ルティーナがエアリーヌの髪を撫でる。先代の少女王がリエラにそうしたように。

「こうやって寂しい淋しいリエラ様を慰めることもできます」

「ルティーナさま…」

「踊りましょう」

 

 

「あのね。……あの神託/Oracleは。本当なの」

「……ええ」

「この国かスオミか、ノルニールか……それはわからないけど、酷いことが起こるのは本当なの」

「ええ」

「いやだよう……」

「そうでしょうね」

「怖いの。リエラは災厄しか予言しないエアリーヌになるかもしれない。アクアマリンはねじれた未来しか見せてくれない……」

「リエラ様……」

 泣きじゃくり嗚咽するエアリーヌを、ルティーナは優しく抱きしめる。夢魔はその胸の中で、長い時間をかけてゆっくりと、獲物を消化してゆく。犠牲者は最後で気がつかない。

 

※上記文書はイメージであり実際の外交に影響を及ぼしません。

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