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Re: フリューゲル異伝スレッド

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なし Re: フリューゲル異伝スレッド

msg# 1.13
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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2013/6/12 19:14 | 最終変更
ゲスト    投稿数: 0

== Flugel Another Story vol.12 ======
 
 
「王子様。どうかルティーナを見て下さい」

 ルーシェベルギアス商工博覧会!

 フリューゲルに覇を唱える名だたる大国たちが、新進気鋭の新興国が、その威信をかけて自らの文化と技術を披露する祭典。

 世界中から人々が集まり、物産が集まり、この歴史的とも言える催しに参加している。ルーシェベルギアスという小国は、ただこの日、この瞬間、世界の中心となった。

 そしてその祭典、この公国の最重要人物、数百万人の観光者の誰もが知る、知らなくともパンフレットの表紙を飾る少女、ルティーナ・エルツ・ルーシェベルギアスはレゴリス帝国のパビリオンの一角で、帝国最新のロリータファッションに着飾っていた。

「ああ、うん。ルティーナ。似合っているよ。可愛い。僕の宝物だ」

 アトリエ・ナイトメアのクラシカルコーディネート。シャーリングブラウスワンピースと、編み上げショートコルセットがルティーナを高級な愛玩人形の様に飾り立てる。

「もっと言葉の限り褒めて下さい。王子様」

 衆人監視のもとで、ルティーナ公爵は愛人たる成蘭の王太子に抱きつき、腕を取り、身体を押しつけ擦り付ける。

「みんな見ていますよ。写真も取られている」

「だからこそです。ふふ、"可愛がって下さい"と言わないだけ、ルティーナも抑えているのですよ。だから……」

「だから?」

「キスしてください。全世界の女の子が羨むような」

 本国に知られたら──間違いなく知られるだろう。もしかしたら新聞の一面トップになるかもしれない。だが、拒絶することも考えにも浮かばない。黒石治宗王太子は観念して腕の中の公爵を抱き寄せ、唇を重ねる。──程なくして巻き起こる歓声とフラッシュの嵐。
 
 
 
 
「あのさぁ、ムネハル。君は大国の第一王太子なんだろ」

 スオミの王族にして、パルヌ伯の当主。燃えるような赤髪の青年。同じような立場であるアルフレートがあきれた口調でそういう。治宗と彼は性格が合っているとはお互いに思ってはいないが、いつの間にか話し相手以上の存在となっていた。

「見ていたのか」

「君が公爵から離れるのを首を長くしてね。おっと、僕はそういう趣味はないから安心して」

 スオミのパビリオンの物陰で、二人はトナカイ肉を囓りつつ一息を吐く。我らが公爵殿下は放火テロで到着が遅れたティ・ラフィール外務部長の応対の為、治宗を解放した。

「でまあ例の話、裏、取れたよ」

「……父上の事か」

「ああ。親父さんは持って五年らしい。つまり君が成蘭王になるには、五年以内にその実力を本国に見せつけなければならない。僕は君の弟は知らないが、君は王になるべきだ」

「僕に王が務まるかな? 昔の僕は何もできず、今の僕は公爵がいなければ何もできない」

「半歩ほど前進してるじゃないか。実力なんてものは目的ができてから付ければ良いのさ」
 
※上記文書はイメージであり実際の外交に影響を及ぼしません。ホントです。信じて下さい。
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