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Re: フリューゲル異伝スレッド
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Recurring Nightmare (ゲスト, 2013/6/3 1:05)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2013/6/3 1:06)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2013/6/3 1:07)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2013/6/3 1:07)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2013/6/3 1:07)
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- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2013/6/3 1:08)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2013/6/3 1:08)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2013/6/3 1:09)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2013/6/3 1:09)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2013/6/6 0:27)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (レゴリス帝国, 2013/6/9 21:35)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2013/6/11 0:13)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2013/6/12 19:14)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2013/7/3 21:38)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2013/7/10 22:10)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2013/7/20 1:58)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2013/7/23 19:14)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2013/7/25 0:35)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2013/7/26 23:12)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2013/7/26 23:50)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2013/8/14 15:54)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2013/9/10 21:18)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (レゴリス帝国, 2013/9/16 2:41)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2013/9/24 19:42)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (レゴリス帝国, 2013/10/13 18:29)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2013/10/19 0:32)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2013/10/30 2:54)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (レゴリス帝国, 2013/12/17 23:36)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2014/7/1 21:21)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2014/9/6 0:57)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (ゲスト, 2014/9/12 21:50)
- Re: フリューゲル異伝スレッド (レゴリス帝国, 2017/7/4 23:35)
「魔女の夢の終わり」
海の上。太陽の日差しの下。レゴリス行きの豪華客船の甲板の上で。
ふりふりの白いロリータを着込んだ少女が幾つもの紙袋を抱えて、おっかなびっくりと歩く。
全てが上質の絹でできているかのような美少女。清楚、可憐、無垢。天使と名乗れば通用しかねないほどの。見るもの全てが彼女の幸せを望まずにはいられないだろう。
「──!」
急な潮風が天使を襲い、身を縮込ませた彼女から日除けのおしゃれな帽子を巻き上げた。
「待って!」
天使の叫びも虚しく、帽子は見る間に彼女の手の届かない高みに。
声に気が付いた人影が振り向いた。偶然か必然か運命か、帽子は海に落ちる前に、振り向いた彼にすんでの所で救助された。
「……気を付けるんだ」
「はい。有難うございます」
抱えた紙袋で両手が塞がった彼女に、彼が帽子をかぶせる。
慣れ慣れしかったかなと呟く彼に、彼女は微笑んで礼を述べた。
そして気が付いた。彼の風貌に。軍人だろうか? 隆々にしてしなやかな体躯と、腰に掛けた日本刀。そして琥珀色の右目と青色の左目が彼女の目を引いた。
目が合う。彼女はこれまでの旅で、数多の賛美と羨望の視線を受けてきたから、見つめられることには慣れている。だが男性と視線を絡ませ合うというのは初めての事で、彼女は自分が大胆なことをしていることにふと気が付き、赤面して顔を逸らした。
「ご、ごめんなさい」
「気にしなくていいさ。……旅行は楽しいかい?」
「はい。リゼットはお友達のジャスリーと、世界一周してきたのです」
「世界一周か。それは凄いな」
「はい。エーラーンにも、ノイエクルスにも、東方にも。アドミラルにもルーシェベルギアスにも。ジャスリーと一緒に、フリューゲルの世界すべての国々を回りました。捜し物があって足かけ三年にもなってしまいましたけれど」
「世界を巡っての捜し物か。……聞かせて貰ってもいいかな」
彼は彼女の紙袋を代わりに持ち上げて、ベンチを示す。
「え? ……はい。リゼットは……ジャスリーと出会う前の記憶がないのです。ジャスリーはお医者さんで、リゼットを知る人を見つければ治るって。だから二人で探していて」
「見つかったのかい?」
「……いいえ。見つかりませんでした」
「レゴリスに戻ったらどうするつもりなのか。また旅に出るのかい」
「いいえ。……旅を続けるうちに、少しづつわかってきたのです。リゼットは普通の人間ではないと。貴方ならわかりますでしょうか。世界には魔力満ちる人間がいることを」
「……ああ」
「リゼットのこの姿も、その発露。きっとリゼットは、覚醒すれば凄い事ができてしまいます。恐ろしいことも。ジャスリーはこう言いました。無知は罪ではないと。忘却は安寧だと。記憶が戻らなくとも、今のリゼットが幸せを積み上げていけば良いと」
「……真理だね」
「だから、レゴリスの土を踏んだらリゼットの旅はそれでおしまいです」
「過去は怖い?」
「……怖いです。とても。過去のリゼットはきっと、記憶を失ったのでは無く、消したのだと。きっと、消さざるを得ない絶望があったのだと」
「俺は、」
「……?」
「君を知っている。記憶を消した理由も。旅に出た意味も」
「……え?」
「俺は誓ったんだ。健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しきときも、君を愛し、君を敬い、君を慰め、君を助け、その命ある限り、真心を尽くすと」
「……」
「君は俺の事も忘れてしまったのか」
「……いいえ。いいえ。忘れるわけがないわ、駆。…私の駆。」
「戻ってくるんだ。リーゼロッテ・ヴェルトミュラー。我が妻よ。」
(お姫様の呪いを解くのはいつでも王子様の接吻)
夢魔の王は自らの呪いを打ち破った二人を祝福し、これから二人に降りかかるであろう難事に思いを馳せる。
そして人知れずフリューゲルから別の世界へとプレインズウォークした。
次の世界の旅も、きっと楽しいだろう。