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Re: フリューゲル異伝スレッド

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なし Re: フリューゲル異伝スレッド

msg# 1.15
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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2013/7/10 22:10
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== Flugel Another Story vol.14 ======

「リエラはお姉様の望むことはなんでも。お姉様の望むことなら…」

 潤んだ瞳と媚びた声。屈服の言葉。リエラ・エアリーヌが、聖石アクアマリンの巫女とも言われた光の子が、夢魔に自我と魂を明け渡し、頭を撫でられ、忘我の表情で愛の喜びに浸っている。数日前、ルティーナ公爵は言った。あの子を汚し犯し、堕落させたいと。そしてそのようになった。公爵はそれを見てよしとされた。

 少女王と呼ばれていた頃は着ることが出来なかったというゴシックロリータに身を包み、リエラ様は可憐さと清純さをそのままに、堕天使や小悪魔としての魔性を身に付けている。

 それにしても、堕落の進行があまりに早い。魔術とは無縁の成蘭の王太子ですら相当な抵抗と葛藤があったのに。もしかしたらこの国にくる前から公爵に何かされていたのかもしれない。

 結局リエラ様はノルニル崩壊の予言以外は神託を公開しなかった。公開しなかったのでなく、神託を受けられなかったのかも。誰も気がつかぬうちにリエラ様は聖性を喪っていたのかもしれない。

 ……あるいはもう既に身体の何処かに所有の刻印を押されているのかもしれない。悪魔の寵愛を末永く受けるための不老の呪い。見えざる鎖。魔術を極めてのそれでは無く、魔の眷属としての永遠。

「リエラ様」
「なぁに? エーファちゃん」
「本人が幸せなら、何も問題はないのでしょうか」
「太古の昔から繰り返し繰り返し問われてきた命題です。どんな思想家も聖人も、万人を納得させられる説明はできませんでした。だから、正解はありません。貴方がよかれと思う方を信じてください」
「……そうですね」
 愚問だった。犠牲者にこんな事を聞くなんて。もう目の前のこの人は、リエラ様であってリエラ様ではないのだ。
「そんなに悲しまないで。あの方は魔のモノにしてはとても優しい人。きっと私が滅びるまで幸せな幻想を見せてくれるでしょう。リエラはルティーナ様の幸せなお人形。エーファちゃんは優しいメイドさん。だから何も問題はないの」

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