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Re: フリューゲル異伝スレッド

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なし Re: フリューゲル異伝スレッド

msg# 1.4
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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2013/6/3 1:07
ゲスト    投稿数: 0

== Flugel Another Story vol.4 ======

 自分がルーシェベルギアスに留学したのは、必ずしも自分の本意ではなかった。宮廷を離れて静かに暮らしたいと父王に告げると、次の日にはこの国への移住を勧められたのだ。

 留学という体裁を採ってはいるが、期間は無期限であり、宮廷語で翻訳すると「戻って来なくとも良い」らしい。ルーシェベルギアスを成蘭連邦に組み込む布石か、或いは自分と違って覇気も才能もある弟への王位継承への布石か。父王の思惑は解らない。

「ルティーナ殿下」

「はい」

 自分を見下ろしながら、美少女が微笑む。

 目的の宮殿に辿り着いて挨拶も早々に、自分は飛行機酔いと時差酔いにより倒れ伏したのを覚えている。目が覚めたのは公爵の膝の上。

 言うべき様々な外交的、あるいは儀礼的言葉が浮かび、彼女の微笑みの前で消えて行く。

「ご気分は如何ですか?」

「……まだくらくらしています。お恥ずかしい……」

「お気になさらないで。出会いは記憶に残った方が」

 人と話すのは得意ではない。ましてや年頃の異性など。そんな自分に比べて、この白い肌の、箸より重いものを持ったことのなさそうな虚弱な少女が国家一つを支え、各国首脳との会談に応じているのかと思うと内心忸怩たるものが無いわけでも無かったが、三半規管が未だに悲鳴を上げているのは仕方が無い。

「王子様。これから毎日ルティーナを可愛がって下さいね」

 公爵が手を握り、耳元に甘い声で囁く。その声と表情の妖艶さに息を飲む。

「……殿下?」

「ルティーナは悪魔ですから。王子様を誘惑して虜にします。鬱病だった頃のことなんて思い出せないようにしてあげましょう」

「……私を気に入っていただけたと解釈してよろしいでしょうか」

「はい。これから毎日、王子様の思い描く理想の女の子を演じてあげます。そして貴方は恋という罠に囚われて、心の底から私を愛するようになるの」

 変わった子だと思った。そして恐らく彼女の言う通りになるのだろう。自分はもう囚われて、逃げられない。逃げ続けた人生の終着駅がここだ。

※上記文書はイメージであり実際の外交に影響を及ぼしません。

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