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Re: フリューゲル異伝スレッド

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なし Re: フリューゲル異伝スレッド

msg# 1.12
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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2013/6/11 0:13
ゲスト    投稿数: 0

== Flugel Another Story vol.11 ======

 フリューゲル歴473年12月4日は記念すべき日と忌むべき日が重なることになった。
 記念すべき日というのは──ルーシェベルギアスでの商工博覧会が開催されたということ。ルティーナ・エルツ・ルーシェベルギアス公爵の開催宣言の下、フリューゲルの多くの国家がその国威を掛けて技術と文化を披露しあう、平和の祭典。
 忌むべき日というのは──後に「アウセクリスの大火」あるいは「メイスナーの火祭り」と呼ばれる、ティ・ラフィール首都での放火事件が発生した日ということである。

 完全に不意打ちを食らってしまった。
 この日のために入念な準備が行われていたのであろう。首都アウセクリスの早朝に発生した同時多発的な火災の発生は、あらかじめ用意されていたと思われる大量の燃料によって瞬く間に燃え広がり、昨晩からの西風によって火の手は首都全域に広がりつつある。一体どれほどの人命損失、経済的損失になるか、考えるだけで気が遠くなる。
「誰が言ったんだっけ。『これは講和会議ではない。ただ一時の休戦に過ぎない』と」
 最高評議会議長たるルキウス・キルヒアイゼンは、瓦礫に阻まれ、動かぬ議長専用車から忌々しげに降り立ち、同乗の美少女の手を取って語りかける。傾国者とも呼ばれる美貌の妹、アイリス・キルヒアイゼンは、スマートフォンを弄りながらも優雅に兄に続く。
「ヴィルヘルム・ニーチェ海軍中将殿の言葉ですわ。お兄様。ただし、口に出したのがあのご老人というだけであって、小宰相たるアラン・メイスナー閣下も軍政家グラナ・ヴァルシュタイン将軍閣下も同感でしたでしょうね」
「黒幕はどっちだと思うかい?」
「実行可能性から考えれば、この首都の"復興"に携わっていたメイスナー閣下かと。ただし、何らかの理由でヴァルシュタイン将軍閣下の目がくらんでいることも確かかと」
「やれやれ。僕たちはあの二人と一緒に顔をつきあわせて会議していたわけだ。後ろ手にナイフならぬマッチ箱を握って握手をね」
「それはお互い様ですので。お兄様。今は官邸に辿り着くことを考えましょう。……回線繋がりました。ファウスト閣下が先に着いています」
「クーデター部隊が攻撃してくるなんてことはないだろうね」
「それができるならとっくに私たちの命はありません」
 キルヒアイゼン評議長は鳴り止まないサイレンの音に顔をしかめながら、電話の向こうの相手に現状の確認といくつかの指示を飛ばす。法務部長の事は正直彼は苦手としていたが、少なくとも冷綴者という二つ名は有事であっても揺らぐことはないようだ。
「迎えを待っていられない。歩こうか。僕ならルートに狙撃手を配置する。ちょっと遠回りするよ」
「はい。……なんだか懐かしいですね」
 アイリスが日傘を広げ、火の粉を払う。
「炎の中を二人で歩くのはタールウィルの空襲以来かな。そうだな、あれからもう十年も経つか……」

 
※上記文書はイメージであり実際の外交に影響を及ぼしません。
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