573年11月30日、成蘭王室、石動皇室での調停を経て、成蘭の衵宮王太子妃が石動太上皇帝に即位した。

　これは南朝が孝寧君太上皇婿・真備宮皇帝・後真備宮親王を拉致したため、皇帝の即位に必要な太上皇帝ないし太上皇婿になりうる人物が国内に居なくなったためのやむを得ぬ処置であるという。公方府は「あくまでも形式的な即位であり、衵宮様にはこれからも成蘭で王太子妃殿下としてご滞在頂ける」と説明した。

　また、これにより衵宮太上皇帝の後見を受け、真備宮皇帝の妹に当たり給う旭宮親王殿下が、石動六代皇帝に即位された。



　これを受け足利尊子将軍殿下は「晴れて石動は再び正統皇帝を戴くことができました。やはり皇統の正当性は我ら北朝にあるという事の証左です」と述べられた。

　記者に「ではなぜ南朝皇帝を正統皇帝として戴き大吉備帝国のような国を作ったのでしょうか」と指弾されると、「その…統一を急ぎすぎたと言いますか…拙速でしたし、私の不徳の致す所です」と、歯切れ悪く語った（しばらく間を置いて、質問を行った記者は警官に排除された）。

　また南朝が北朝三皇族を拉致している事については、「到底許される事ではありません！軍事的手段を含め真剣に検討していきます」と、強い調子で述べられた。