急変する大幹情勢を巡り、各国では本問題に無関係な国までもが憶測を巡らせているが、これについて公方府は改めて緊急会見を開き、事態の説明を行った。



　会見に際し今川範邦管領はヴェールヌイの機関紙におけるCAME特集記事について触れ、「まず同紙の誤報を含め問題点を述べさせて頂く。この記事ではあたかも我国が香麗民主連邦を支持していたかの様な描写がなされているが、我国が香麗を支持したことは一切なく、恐らく我国が鄭会昌首相の大幹帝国維新政権へ宣戦撤回を要請したことを履き違えているものと思われる。また、「夜鷹作戦」は大幹帝国からの要請に応えつつ、旧大吉備帝国が有していた香麗とのパイプを活かし、香麗における平和裏の統一を望む勢力と密かに通じ、香麗南侵の根源である香麗首脳陣を排除したという内容であり、再び幹半島を火の海に陥れ多くの犠牲を払うよりかは遥かに良い結果をもたらす行動であった。地理的にも幹半島に近い我が国がこの作戦を行ったのも全くもって自然であると言わざるを得ない。そもそも同誌はわが国の香麗首脳暗殺をテロ行為などと非難しているが、大吉備時代を除き我国は香麗を国家として承認した事などなく、我が国からすれば香麗は大幹帝国分離派の不逞テロリスト集団にすぎない。よって友邦の平和を多少強引な形ででももたらした我国が国際社会から非難を受け信用を失う謂れはまったくない」と、同紙の内容を批判し、「同紙の結論である石動・大幹の共謀によるCAME離脱策動であるが、全くもって憶測の域を出ない不謹慎な三文小説であり、公的な報道機関がこの様な憶測をさも実しやかに喧伝することは誠に残念である。そもそも同紙は香麗までもがグルになり本戦争を「演出」したかの様に叙述しているが、完全な分離状態にある大幹と香麗が如何にして策動を共謀したというのか。問題に関係を持たない国家は横から突飛もない空想を垂れ流す事ができる様だ。いい気なものである。」と、激しく不快感を顕にした。

　加えて今川管領は「大幹帝国からの詳細な報道が少なく、また断髪的であるのは、同国政府がまさに騒動の最中にあり、非常に混乱しているためだろう。混乱の最中に情報が錯綜するのは仕方がない事だ。事の推移はいずれ大幹帝国から明かされる事であり、親愛なる帝国臣民と各国の友人に於かれては、無関係な国から発される怪文書に惑わされることなく、信用に足る情報のみを信用するべきである」と補足した。

　3月21日に大幹政府の要請により行われた我が軍特殊部隊による「夜鷹作戦」の成功により、香麗政府首脳強硬派は全員殺害され、香麗を和睦統一派の尹長燁民族平和統一委員長が香麗を掌握したことにより、４月には香麗・大幹両政府が停戦に合意した。この情勢を見ればいきつく結果はどう見ても幹半島における内戦の収束であり、和睦統一派である尹長燁氏が政権を掌握した以上、「香麗民主連邦」という国家の存続そのものが協議を経て解消されるものと見られている。

　しかしこの様な情勢に至ってもノ連側は攻勢姿勢を崩しておらず、このままでは停戦協議が行われている最中に香麗支配地域が空爆され、ともすれば幹半島の平和裏の統一そのものが危ぶまれる事になると見られている。



　この情勢に際し佐々木道興外務卿は「ノ連はすでに香麗による大幹侵攻という驚異が去ったこと事態認識できていない可能性が強い。下手をすれば平和裏に（大幹主導で）統一されるはずだった幹半島が再び火の海にされる可能性が強い。ノ連は現在の半島情勢をよく分析し無用な介入を中止するべきである」との見解を述べた。

　584年3月28日、統合参謀本部は幹半島に於ける「夜鷹作戦」の成功を発表した。



　本作戦は大幹帝国側の要請を受けて行われた極秘作戦であり、政府関係者の一部と大幹政府にしか知らされていなかった。決行は3月21日20:00に、香麗占領下の京城特別市の仮設党本部で行われた。同地では香麗民主連邦の臨時党大会が開かれ、崔恵徳を始めとし香麗の中心人物たちが集結していた。作戦に参加した陸軍中央即応部隊群特殊作戦大隊は、香麗軍の軍装で会場の警備兵に紛れ込み、開会前に本物の警備兵を密かに無力化した上で、開会と同時に会場の香麗要人を全員殺害した。

　また、これと同時にわが国および幹国政府と密かに通じていた香麗における和睦統一派が、予定通り香麗政府を掌握したとの報である。



　公方府は「まもなく香麗側に動きが認められるであろう。龍鮮戦争や491年戦争の如く幹半島が火の海となる事態は回避されたのである」との見解を表明した。今後の幹半島情勢に注目が集まる。





















※このRPは大幹帝国さんの許可を得てやってます。（中の人）