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ノイエクルス通信  ノイエクルスの民間報道機関
1月 29 (日曜日) 2012
【政治】イスアード戦争についての軍発表他 18:52  ノイエクルス自由国 
===【政治】イスアード戦争についての軍発表===

(3日 ノヴィルキウス)連邦軍宣伝部は今回のイスアード戦争について定例の記者会見を行い、順調に同国を無力化しつつあると発表した。旧イスアード首都地域にはかつてスピリタリアを平和裏に安定化させたイシュトバーン師団が降下し今後到着する占領部隊の受け入れ準備を進めているものの、現地ゲリラによる襲撃の危険性なども考慮し大規模な陸軍派遣は今の所実施されていない。
空軍はイスアード全域で多大な成果を挙げつづけており、特に狂信的テロ集団の根拠地と目される神殿を破壊したことについて「人生で最も誇らしい瞬間」(爆撃部隊隊長)であると報告されている。また同爆撃部隊にはテロ集団への大規模な戦果を称えて殊勲飛行勲章が授与された。
軍によれば今後は産業拠点への攻撃と陸上部隊による占領に主眼がすえられる見通しであり早ければ後2,3か月程度で片付くとの事だ。
戦争がやや長引いている背景として共同交戦国である普欧帝国が限定攻撃のみを繰り返し実効力のある無力化作戦を展開していない事が挙げられる。連邦軍は果敢な攻撃により敵軍やテロリストに留まらない後方支援部分に対しても戦略的無力化を成功させているが、普欧帝国軍は表面的軍事拠点のみへ攻撃を繰り返している。これらがどれほど実効力の面において差があるかはイスアード北部地域がほぼ平定されたのに対し南部は力を温存しゲリラ活動に協力している事からも見て取れるだろう。
連邦政府は共同交戦国が正気を取戻し敵軍を利する事が無いよう求めている。

===【政治】戦後イスアード統治の構想案固まる===

(3日 ノヴィルキウス)連邦政府は戦後のイスアードの処遇について連邦政府としての構想案をまとめた。その案によれば旧イスアードは3分割され戦勝国と国際統治委員会の統治下におかれる。
確定案ではないものの連邦占領予定地域は「イスアードだかヴィスクだか名前がよく分からない」(政府筋)という理由でファーノイエと改名される模様だ。これはかつて我国がヴァストークを解放した際に使用した由緒ある名前であり、連邦政府が徹底的な脱イスアード化を志向しているあらわれであると言えるだろう。
一方普欧帝国では亡命イスアード人による政権の発足と主権の速やかな委譲が検討されているようだが、連邦政府内にはイスアード人の統治能力を疑問視する声しかなくたとえ形式的であってもイスアード人政府などというものを連邦管理地域や国際管理地域に置くべきではないとの意見が圧倒的だ。
おそらくかつてのレゴリスと同様、鉱山と貿易については国際統治委員会の完全な管理下に置かれその他の地域については戦勝国がそれぞれ責任を持って管理にあたることになるだろう。もちろん管理担当の戦勝国が許せばイスアード人政府なるモノが建設されることがあるかもしれない。
とはいえ連邦政府は鉱山、資源、貿易、報道、外交を完全統制下に置くことを望んでおり間接統治による鉱山既得権の保持を狙う普欧帝国とはやや目標が異なる事は仕方がないだろう。しかし最大の戦功国は連邦であり連邦の意図を外した戦後統治は成立しないとの見方が政府内では支配的であり、いずれ普欧帝国も理解するという楽観論が根強い。
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【特集】大国らしからぬノイエクルス、その真意は? 05:20  ノイエクルス自由国 
戦前、イスアードの報道において我国の態度に大国らしい寛容さが見られず小国を恐れていると言及があった。本紙ではこの問題について諸国民の誤解を解く必要があると感じ、今回国際問題とノイエクルス史の専門家であるテオドロ・デラパス教授を招いて特集記事を掲載する事にした。

本紙記者(以下記者)「デラパス教授、本日はよろしくお願いします」
デラパス教授(以下教授)「うむ、よろしく頼むよ」
記者「早速ですが教授、今回の我国の行動についてどう思われますか」
教授「簡単な話だ。君はメイドが失礼な口を聞いたらどうするかね」
記者「杖やムチで打ち付けるのは違法ですから、クビにします」
教授「そういう事だ。分かるだろう」
記者「我々のような本国人(注1)はそれで分かりますが、今回は異邦人にも分かるようにという趣旨なのでもう少し説明願えますか」
教授「そもそも我国が寛大だというのが思い込みなのだよ。歴史を見て見たまえ」
記者「歴史と言いますと?」
教授「ノイエクルス史だ。君の学校は理系中心なのかね(注2)」
記者「とんでもない。きちんと修めました」
教授「元々我国は内向的で独善的で他国に対する思いやりなどかけらも持ってはいない。それがノイエクルスだ」
記者「それが大国らしからぬと批判されているのでは?」
教授「大国らしくなかろうがノイエクルスは変わらない。73年戦争当時と全く同じだ」
記者「歴史の連続性という事でしょうか」
教授「その通り。当時、我国がヴィントシュトースに突き付けた要求は正当だったが彼らから見れば法外で押し付けがましかったのは確かだ。あの頃と全く変わらん。しかし73年戦争と言えば英雄ブルクハルトの世紀は非常にいい映画だね。今から1世紀以上前の映画だが未だに再販が絶えないのも頷けるよ。思わず最近出た特別版DVDを3セット買ってしまってね。次は3D版が出るというじゃないか。もちろん買うが、映画会社のこういう商法は全く商人根性の浅ましさを」
記者「教授!確かに私も3D版の為にテレビを買い替える予定ですが、本題から外れますので」
教授「そうだった。73年戦争もそうだが、その後も数え上げればきりがない。ノイエクルス史390年を通じて我国が小国に配慮したのは後にも先にも南瓜と連邦を結成した時だけだ」
記者「ユーク戦争やスピリア併合、モルダバイト問題、ノルスモール戦争などですね」
教授「南瓜にしたって元々は植民地としての扱いから出発している。工業化による連邦経済への貢献が期待されなければあそこまでの厚遇は無かっただろう。南瓜人の性格と連邦経済の要求が一致した類稀な成功例だよ、これは」
記者「何故我国はそういった性格を持っているのでしょう」
教授「建国以来我国で力を持っていたのは大土地所有者と商人どもだ。それぞれ内向的で伝統を重んじ規律正しい性格と、強欲で独善的な性格を持っている。それらが合わさって国の方針となっているというところだろう」
記者「民衆はどうでしょうか」
教授「奴らは熱狂できれば何でも良いのだよ。これは政治学の初歩だよ、君。だからこそ我が国では強力な指導者と独裁、クーデターが続いたのではないかね」
記者「それらの政治風土が合わさって強権的で独善的、しかも内向的な我国の性格が生まれたと」
教授「ノイエクルス史を学んでいればこのくらい常識なのだがね。教育水準を云々する前にノイエクルス史を必修にしたほうが良いのではないかね、彼らは。薄っぺらいイスアード史だとか役に立たない経典だとかを読むよりよっぽどためになるだろう」
記者「全くその通りですよ、教授。うちの子供は当然私立ですが(注3)地区教育評議会が歴史の時間を削減する決定をしましてね」
教授「全く嘆かわしい。ああ、メインテーマについてはこんなものにして続きはパブでどうだね」
記者「喜んで御伴いたしますよ」

注1:ノイエクルス自由国の上流階級。本国在住者でも生まれが卑しい場合は本国人とは見なされない。下流階級や植民地人(南瓜人)との混血を本国人に含めるかは議論が分かれる。
注2:ノイエクルスにおける伝統校は文系中心。理系中心は庶民校や新興校に多い。
注3:ノイエクルスにおける公立学校の扱いは低い。全寮制の私立校に子供を入れる事は上流階級の条件でもある。

本紙デスクとしてはノイエクルスが偏狭ではないというインタビューを期待していたが、編集委員会でもインタビューへの賛意が圧倒的だった為そのまま掲載する事とした。
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1月 28 (土曜日) 2012
【経済】南瓜共和国の銀供給が不安定化他 22:54  ノイエクルス自由国 
===【経済】南瓜共和国の銀供給が不安定化===

(10日 ファーファルード)南瓜共和国における商品生産が近年低下しつつある。高度な技術力を駆使して作られる製品には貴金属や希少金属が不可欠だが、南瓜共和国は希少金属鉱脈に乏しく従来より時給は不可能だった。そのためスピリタリア特別行政区から金属資源の輸入を行っていたものの、同行政区の崩壊により輸入が不可能となっている。
バレンシア王国がCAMEに加盟する動きがありその枠組みの中で銀輸入が可能になるのではないかという見方も一時期あったものの、同国で発生した不透明なクーデターにより可能性は潰えてしまった。
連邦政府は連邦全体の経済安定化のために新たな供給源を模索するとみられるが、世界的に資源供給はひっ迫しており解決は難しそうだ。

===【国際】イスアード教主国に対し宣戦布告===

(15日 ノヴィルキウス)連邦政府はいわれのない侮辱を連邦に対し重ねたイスアード教主国に対する宣戦を布告した。連邦軍司令部は今回の作戦を「真夏の午睡作戦」と命名しており、一部部隊が既に戦闘準備を整えつつある。また今次作戦では南瓜共和国軍が初参戦する見通しであり、現地司令部では「実戦に勝る演習は無い。日頃の訓練の成果を見るいい機会」(南瓜軍将校)と参戦に向けて戦意が昂揚しつつある。
国防評議員は1か月以内に陥落させると豪語しているものの、本紙はやや悲観的であり、少なくとも2か月程度はかかるのではないかと見ている。いずれにしろかつて祖国が経験した73年戦争のような本格的戦争ではなく、せいぜいがクーデター鎮圧程度と世間は見ている。
連邦政府は戦略目標として議会、行政首都、宗教施設、その他産業施設を挙げており周辺住民へは現在軍宣伝部がラジオ放送を通じて避難を呼びかけているものの、イスアード教主国の妨害電波により届いていないとみられる。
戦後のイスアードの体制について政府は明言していないものの、最後通牒で示された内容より過酷になることは確実であり識者の間でも「鉱山と港は国際管理、後は軍事占領」(ノヴィルキウス大学教授)との見方が圧倒的になっている。既に国際管理委員会の委員の人数配分がどうなるのかといった諸国間のパワーバランスのほうに注目は移りつつある。
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