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ヴェールヌイの報道 ヴェールヌイ社会主義共和国メディアの報道を集約して紹介 | ||
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3月 30 (月曜日) 2015 | ||
【第13号584年5月】特集記事:CAMEを巡る一連の混乱 | 22:26 ヴェールヌイ社会主義共和国 | |
・石動、大幹のCAME離反支援の為香麗首脳の殺害を声明。不法なテロ行為を堂々発表する異常事態。 共和国人民が、正しく現状の世界情勢に対する理解を深めることが肝要である。 今回の労働党機関紙【労働者の勝利】は、我が人民大衆の世界感覚の養成を図るため、特別記事として、CAMEを巡る一連の混乱を整理し解説する。 近年、世界では平和の枠組みを破壊しようとする国家の策動が目立っている。事の発端は石動第三帝国によるオセアニカ経済協定の破棄通達であった。石動は、ノイエクル連邦ノイエクルス自由国が、貿易申請を長期にわたって無視、誠意ある対応が得られなかったとして、協定の「一方的破棄」を通達。条約に定められた脱退要件に関する審議も申請せず、「一方的」を自ら使用するという、国際法規を尊重しない態度をあえて強調するという異例の行動であり、関係者を困惑させている。この突飛な行動に、ノイエクルス自由国は即座にCAME諸国による共同声明を発表、この中で石動の現状と行動に深い哀しみを表明し、交易の即時停止を宣言している。この声明は、ノイエクル連邦構成国及び自治行政区は勿論、大幹帝国も名を連ね、CAMEの総意がはっきりと示されたものであった。 しかし、声明が石動を除く全加盟国によって発せられたにも関わらず、賛意を示した大幹帝国と、ノイエクルス連邦との間で、立場が共有されていなかった事が、大幹が突如として石動に最後通牒を行ったことで明らかになる。ノイエクルス連邦は、あくまで法規にのっとる形で「石動のCAME脱退は成されていない」という立場を堅持していたが、大幹はこれを理解せず、石動による最後通牒の中で、CAME復帰を要望している。なおこれはノイエクルス連邦からの指摘を受けて撤回され、脱退宣言の撤回へとニュアンスが変更されている。また指摘の中では、石動に権益を見出す諸国との周辺事態化を憂慮し、宣戦布告に至らぬよう、大幹は暗に釘を差されている。しかし、このようなノイエクルス連邦の対処にも関わらず、大幹は石動への宣戦布告を強行し、石動からの銀輸送途絶を憂慮したミッドガルド帝国によって大幹に最後通牒が発せられる事態となる。ここまでの経緯を客観的に整理すると、大幹は明確な意図をもってノイエクルス連邦の面子を潰したわけであり、事実上のCAMEからの離反行為であった。 大幹の政権(旧政権)は、あたかもCAMEの利益を代弁するかのように振る舞いながらも、指示されていた石動からの部隊撤退を「部隊の離反」を理由に実施しなかった。これは離反部隊が石動寄りであるからのように報道されたが、そもそも政権側の石動への宣戦布告自体が反CAME的行動であるわけであり、離反部隊の報道は、大幹政権が意図したものであったと考えるのが自然である。(離反部隊と政権の利害が事実上一致している矛盾があるということ) なおこの間にもノイエクルス連邦は、周辺事態化回避のために「石動情勢に起因する周辺事態対策会議」を関係各国に呼びかけるなど、理性的に意思共有と情勢整理に努めていたことは強調しなければならないだろう。 さて、こうしたノイエクルス連邦の努力も虚しく、情勢は更なる混迷の一途を辿ることとなる。大幹が石動への攻撃の準備の為(勿論前述の状況から、石動攻撃ははじめから予定されていなかったのであろうが)部隊を展開した隙をつき、龍鮮半島北半部を支配する香麗連邦が、突如大幹に向けて南侵を開始したのである。香麗連邦の人民軍は大幹の首都を制圧し、さらに南部の都市水源を攻略、更なる進撃を宣言した。 大幹が武力侵攻をうけたことに対応し、ノイエクルス連邦はオセアニカ条約に基いて香麗連邦に対し宣戦を布告。CAME離反を企図して芝居をうつ大幹であっても、同盟国への武力攻撃を条約に基いて防衛しようとするノイエクルス連邦の姿勢は、真に誠実で法治国家のありようを体現している。 しかし、宣戦された香麗に加え、石動もこの事態を心よく思わなかった。龍鮮半島における主権が香麗によって掌握されつつある情勢下、ノイエクルス連邦がこれを打ち倒すことになれば、龍鮮領域での影響力を失うことに直結し、それは大幹とのCAME離反策動の継続困難を意味したからである。表向き、大幹から宣戦布告され、また同時に香麗対して「布告の撤回を期待する旨」を伝えるなど、形上、石動は香麗の龍鮮掌握を半ば歓迎する素振りを見せながら、ノイエクルスの参戦が報じられるや、突如として香麗首脳陣の暗殺を発表。あまりに突飛で継続性のない内容であり、事実関係は不明ながら、香麗への宣戦布告、いや、敵対意思すらも示さない中、一国の首脳陣の殺害を宣言するという、世界史上まれに見るテロ行為を喧伝したことだけは事実である。これをもって香麗は穏健派によって掌握されたとされており、駆け足で大幹との和平合意や統一準備政府の立ち上げを行うなど、CAMEの介入を阻止したいがためだけのツギハギの報道が成されているのが現状である。直近の石動による報道では、同国の外務卿が「ノイエクルス連邦が現状を理解していない」という主旨の発言を紹介しているが、落ち着いて現状を分析し、己を顧みなければならないのが、どちらであるのかは、もはや言うまでもないだろう。石動政府が平常心を失い、正しい判断が行えなくなっていることを、またも自ら表明する形となっていることは、伝統ある石動にして、真に哀しみを禁じ得ない。 要点を整理してみよう。 (1)石動が自ら条約違反を宣言してCAME離脱を画策した (2)大幹は石動と共にCAME離脱を成すため、ノイエクルス連邦を欺いて戦争を演出し、周辺国家に対し多大な迷惑と影響を与えた (3)香麗の南侵に対してノイエクルス連邦が宣戦したことで石動と大幹のシナリオに問題が生じた (4)石動の脈絡のない香麗首脳陣殺害宣言により、もはや大幹も香麗も関係ないと言わんばかりにノイエクルス連邦との和平を強行して、CAME離脱という最終的な目的に修正しようとしている これが、あらゆる利害関係を抜きにして、第三者的に分析した結果、至極自然な解釈となるのではないだろうか。(我が党に利害関係は存在しないし、共和国政府は関係国ではないのだから当然のことである) 共和国人民は、このように、いまだ世界には非法治国家が数多く存在することを認識しなければならない。私達の祖国と民主主義を、健全に育成し発展させていく意思を確たるものにし、けしてこのような恥を恥で上塗りするような国造りを行ってはならないのである。私達の信念である「平和と信頼」、それは法と秩序のことでもあるのだから。 (監修:党政治局 党外交委員会 制作:党広報部) | ||
3月 28 (土曜日) 2015 | ||
【第12号584年1月】憲法改正。ヴェールヌイは新時代へ。 | 21:24 ヴェールヌイ社会主義共和国 | |
・憲法改正。新国政制度施行へ。 583年6月、労働者評議会は、閣僚評議会が提出した憲法改正と、新国政制度案について、全会一致をもってこれを可決した。新憲法により、労働者評議会は人民議会に改変され、これまでの各党ごとの信任投票方式から、直接選挙方式となる。また、これまでは労働者評議会議長が閣僚評議会を任命、指導していたので、立法と行政が一元化されていたが、今後は議事進行と監督は人民議会議長に、行政府の長は閣僚評議会議長と分担されることとなる。議会の直接選挙化によって、より民意が反映される民主的国家運営が期待される一方で、建国以来我々が築き上げてきた世界に誇るべき社会主義制度を維持発展させていくことは、人民大衆が、ただ一人の落伍者もなく、平等に豊かさを享受するために必要な唯一無二の方針であり、これを永続しなければならない。新憲法では、生産を社会的に統制し、富を社会的に分配することが明確に規定されると同時に、改正要件を、これまでの「労働者評議会の過半数の賛成、党中央委員会の承認」から、「人民議会の3分の2以上による議決、有権者による国民投票で投票率90%以上、賛成95%」に改めた。また憲法の理念に基づく国政を担保するため、社会主義憲法委員会を新設し、人民議会と閣僚評議会に対する精査を行う。 新制度は即日実施であるが、選挙実施等、部分的に移行準備期間が設けられている。第一回人民議会選挙は584年7月公示とし、それまでは旧労働者評議会代議士により人民議会を運営する。人民議会発足に先立ち、各党の届け出に基づき、政党も大幅に再編された。ヴェールヌイ社会農民党の半数と、社会主義国民戦線の大多数はヴェールヌイ労働党に合流。両党は共に解散した。社会農民党の半数と社会主義国民戦線の若干名、またヴェールヌイ労働党からも僅かな人数が政党結成を届け出し、新党となる「文化自由連盟」を発足させている。第一回人民議会を前に、他新党結成の動きも各地に見られることから、政党数は増加することになる見通しであり、人民議会は近い将来、複数政党制を採用する議会として活気溢れるものとなるだろう。(写真は議会の入る政府庁舎に掲げられた新国旗。掲揚時には集まった人民から歓声があがった) ・ヴェールヌイ労働党、責任与党に絶対の自信。 最後の労働者評議会の閉廷後、ヴェールヌイ労働党書党中央委員会は声明を発表した。 声明では、新憲法と新国政制度の実現は、結党、建国以来の悲願であり、これが達成されたことの成果を強調するとともに、今なお国家、人民が貧しさに耐え、社会主義建設の歴史的事業を遂行しつづけていることに最大限の敬意と感謝を示した。労働党は本日をもって指導政党の地位を失ったが、新議会においても、世界に冠たる純粋社会主義国の枠組みを構築し、維持してきたヴェールヌイ労働党こそが、国家を率いるに足る組織であり、支持は揺るがないものであると自信を示した。 声明では、党書記長であるスヴィトラーナ同志による「党は指導政党の地位にあぐらをかいたことはただの一度として無く、自ら指導政党の地位を捨てた。このような事は、人類の有史以来はじめての歴史的偉業であり、ヴェールヌイ社会主義共和国の党と政府、人民大衆が、民主的で幸福に満ち溢れた社会実現しようという意思が、真実であり、その決心の硬さを示したのです。」とするコメントも紹介された。 他掲載記事 ・レゲロ消滅秒読み。希望するレゲロ人の無条件移住許可でレゲロ政府と合意。 ・鈍重なFENA。責任を果たそうとしない国家の存在。 ・火山噴火。被害皆無、ウランまたも2回で発見。「何かの加護か」 | ||
3月 21 (土曜日) 2015 | ||
【第11号582年10月】 シベリア自治凍結/新制度草案発表 他 | 13:56 ヴェールヌイ社会主義共和国 | |
・シベリア自治、一時凍結へ。 先の隕石災害により、シベリア自治区のシベリア人幹部が多数死亡したことを受け、労働者評議会は、自治区内において新たに選挙や選任作業を行わず、シベリア人自治を一時凍結することを議決した。経済の先行きが不安定となり、開発計画遅延も避けられない状況下、国内全域における指揮系統を纏める必要性があるとの判断によるもの。これまで自治区として制定されたベイクラント島内においては、シベリア人は「特別な地位」が保証され、国内法の一部適用除外を受けており、独自の教育、経済活動における私的所有権が認められてきた。今回の議決により、シベリア人の私有企業や経済活動は共和国政府管理下に置かれることとなり、生産活動の合理化が図られる見通し。一時的な処置であり、これら私有企業の国有化や財産の没収手続きは行われない。 ・新民主制度(議会制度)草案を発表。 労働党は、共和国の人民主権を一層強化し、真に民主的で活力ある国家建設を目指す方針から、かねてより既存制度の不足を建国時より認めており、将来的に抜本的改革改造を行う方針を示していた。スヴィトラーナ書記長は、自身の任期中に新民主制度を実現させなければならないとの強い意志を示し、これを受けて党内での新制度案の作成作業が本格化していた。今回示された草案では、現在の複数政党制が、建国以前の権威主義、共産主義勢力との抗争を収めるための妥協的処置の産物であるとした。また憲法において社会主義堅持が明記されていることや、建国黎明期に比べ国内反動勢力も今や存在しないことを鑑み、特定政党の指導性を排することの弊害はもはや存在しないと判断、労働者評議会の議員選定を自由選挙化する。これを実現する為には憲法の改正が必要である。現在の憲法は「社会主義擁護」「労働党の指導性」のみを漠然と示し、裁量権は指導政党に存在したが、これを改正し「社会主義統制経済」と「人民主権」を明確に規定し、この範囲内であらゆる政治活動を完全自由化する。このため新憲法は、その不滅性を保ち、更なる改憲を困難なものとしなければならず、改正発議要件もより厳しくする方針。合わせて政治警察組織でもあった国家保衛省の改変も必要となる。つまり、新制度が施行されれば、社会主義国家としてはより強固なものとなり、一方で国家建設の方法や、外交政策等においては、より民意が反映され、柔軟化するということだ。 この草案は党中央委員会で大筋が承認され、現在は野党(社会農民党及び社会主義国民戦線)と制度移行に向けた調整作業に入っている。新制度で選挙が自由化されれば、労働党自らが指導政党の地位を失うこととなるが、これを機に共同戦線のもと存在が認可されていた野党と統合することにより、必要な期間は政権政党の地位を保持することになるだろう。 国家保衛省本庁舎にて(会話のみ) 「今朝は冷えますね。昨晩はいかがでした?」 「つまらんパーティーだったよ。党の連中はよほどFENA入りが嬉しいらしい」 「そうですね。しかし準加盟となれば、我々も忙しくなります。昭栄関連は情報も不足しておりますし・・・。こちら、昨晩あがりましたレゲロ関連の報告書です。たいした進展はありませんが」 「・・・(ページをめくりながら)エルノークの様態が回復しないな。少々強すぎたのではないか?」 「解毒処置を行えば二週間もすれば回復するレベルだったのですが。どちらにせよ、彼の生死に我々が関心をよせる必要はありません。むこうさんの面子の問題です。我々は十分に配慮しました。もう良いでしょう」 「気にくわんな・・・これは?」 「そちらはSLCN関連、私も目を通しましたが、つまらんもんです」 「また共産テロかね。彼の国はよほど治安組織が脆弱とみえるな」 「大掛かりな発破解体か、施設管理の水準が我々の予想を越えてお粗末だったのかどちらかでしょう。発表にあったような共産派によるテロという線は薄いとみています」 「とはいえ、今回の爆発は軍の失態を隠蔽するための方弁にしては度が過ぎているのではないか?」 「爆発の直接的原因はわかりませんが、先のレゲロのように、自分たちで創りだした共産派の亡命工作をまた活発化させるおそれはあります。海外進出のカードとしては、まだ諦めていないのでしょう」 「いくら手段が稚拙であっても、強行に出られれば脅威であることにかわりはない。よくよく注意するよう指示しておいてくれたまえ」 | ||
3月 16 (月曜日) 2015 | ||
【第10号581年12月】ミサイル問題平和解決に道筋 / 甚大な隕石被害 ほか | 22:14 ヴェールヌイ社会主義共和国 | |
【国際】共和国監督下でレゲロ新体制。ミサイル問題解決に道筋。 ミサイル発射問題で揺れるレゲロ社会主義人民共和国で、エルノーク政権に反対する軍勢力(人民防衛軍)によるクーデターが発生。同日中に全国の掌握し、臨時政府とも言うべき「国家改造委員会」の設置を表明。穏健・民主・社会主義への体制転換を宣言した。かねてから、同国のエルノーク大統領は入院状態が続いているとの情報もあり、旧政権の体制維持に綻びが生じ、ノイエクルス連邦との交渉も暗礁に乗り上げ、共和国政府も関係打ち切りを示唆していた最中でのことであった。レゲロでのクーデター発生に伴ない、また政府は、万一の事態に備え、共和国国内のレゲロ軍駐屯地に対して武装解除勧告した。レゲロ軍部隊は抵抗なくこれに応じ、現在も国家人民軍の監視下に置かれている。翌日には新政府より、共和国に対して政務顧問の派遣要請が行われるなど、ミサイル問題発生後も、あくまで友好関係を維持しながら、粘り強い説得を続けていた共和国の姿勢が功を奏したか、今や「ヴェールヌイ・レゲロ統制条約」締結により、レゲロの全権に対し監督権を行使するに至った。共和国の政府と党は、既にノイエクルス連邦への全面謝罪と必要な賠償を行うための交渉を行うようレゲロ政府に指示しており、ミサイル問題の平和的解決が大いに期待されるが、幹国による石動への最後通牒によりCAME情勢がまたも緊迫化しており、これに追いやられる形でミサイル問題の全面解決に向けた交渉が遅延するのではないかとの見方も出ている。 【国内】隕石群により全国に被害。ウラン鉱消滅に迅速対応。 581年11月、共和国域内に多数の隕石群の落下、各地で甚大な被害をもたらした。現在までに計9つの落着が確認されており、北中部の工業都市で甚大な被害をもたらした他、ベイクラント島シベリア人自治区では隕石が区庁舎を直撃し、シベリア人自治区幹部らと内務省の管理官ら多数が死傷した。既に警察局、消防局、軍によって救助活動と治安維持処置がとられている。また、マルチェロ半島の根っこに位置し、経済の要となっていたウラン鉱が消失したことにより、国内では動揺が広がった。燃料源喪失という非常事態に、政府は緊急に採石場閉鎖を指示。大急ぎで既存採掘予定分を搬出し、即時閉鎖。続く2回の探査によって既にウラン鉱を復旧させている。燃料は最重要動力資源であると同時に、国内二次産業開発途上にある共和国にとって、燃料輸出は現在まで最大の外貨獲得手段であり、早期安定化が望まれる。 共和国政府は、かねてからの開発計画の中で、採石場の閉山、ウラン2個体制を念頭においた都市近代化と各種産業の拡充及びインフラ整備を進めており、既に着手が行われ、期ごとに維持費も増加をはじめていた中、突如鉱山喪失に直面した形となる。計画の遅延、変更は避けられない見通しであり、輸出を継続しながら現状維持が可能か調査が行われる予定となっている。たとえ現状維持が可能であったとしても、高騰した維持費と開発のストップによって、国内生産利益が計画値に届かなくなることから、経済危機が発生するのではないかという観測もあり、国内での不安の声が強まっている。党は今回の隕石災害を受け「犠牲者に哀悼の意を表し、また冷静に日々の仕事に専念することが何より重要であり、混乱や焦りは敵である」との国内向け声明を発した。 その他の記事 【国際】フランとの協定満了。共和国より記念碑贈呈。 【国際】鈍重なFENA総会。腰を据えて臨む政府代表団。 思い付きの恥文 (12.12)採石場(現ウラン鉱) 「監督同志急いでください!もう中央から調査団が着く頃です、はやく出ちまわないと・・化工省の役人もついてくるらしいっすから、もしかしたら政治局の連中にどやされるかもしんないっすよ!」 「馬鹿野郎!でっけぇ声だすんじゃねぇ!俺はここが炭鉱だったころから働いてんだ!てめぇに言われなくても、自分の間ってのがあんだよ!」 暗く、すでにあたりを照らすものは黄色くくすんだ注意灯だけとなった採石場のトンネル内に、声が幾重にも響く。1212労働石鉱山。何の飾り気もなく、名前にはただ座標名があてがわれた鉱山だが、その歴史は共和国最古のもので、黎明期には炭鉱として共和国の動力を支え続けた。新しいウラン鉱が発見されてからは『社会主義国土は我らの石で!』のスローガンのもと、採石場に転換、現在の規模まで国土造成を賄い続け、その後は外貨獲得手段としてではなく、ノルシュテイン政権の方針により、新興国支援にその殆どがまわされた。共和国が石材によって得た収入は、無償で国外に輸出された分量と比較すれば、その差は100倍や200倍では下らないものだった。国際貢献、新興国支援といえば耳障りはいいが、当初から提起されていた鉄鉱山への転換は流れ、燃料の国内消費が増大して行く中、採石維持は経済停滞の最大の要因であったのも、また事実だった。現場の鉱夫らは、はじめこそ国を作ったのは自分たちだと誇りを持つこともできたが、現在では、それが党の方針であったにも関わらず「毎日敵とも味方とも知れない資本主義国を太らせるために石を切り出している」と揶揄され、言いようもない屈辱を味わってきたのだった。国内志向のスヴィトラーナ政権が誕生し、そんな1212労働石鉱山も「10年内のウラン鉱転換」が決定された。監督とよばれた男は、炭鉱時代からこの1212鉱山に務めてきたベテランだが、年齢もあり、ウラン転換の実施作業日程が決まり次第、引き継ぎから引退となる。それでもまだ5年はいられるだろうか、と、後指さされながらも懸命に働き続けてきた自分の職場への愛着なのか、数年前には影すら無かった南東部の摩天楼の光を遠目に、終業のタバコを吸うのが日課になりつつあった。しかし、ウラン転換決定が発表されたわずか二週間後に発生した隕石災害は、発見当時から今にいたるまで国家財産として持て囃されてきた既存ウラン鉱を跡形もなく消し飛ばした。翌朝には既に採石場に国の役所からの電話が引っ切り無しで鳴り続け、受話器の向こう聞こえる喧騒に、中央の焦りがわかるほどであった。国の最終的な決定は「一日以内の全面撤収」それも他の災害現場対応で手が回らず、応援なしという代物であった。10年内のウラン鉱転換は、5年どころか10年まるまる繰り上げられることとなったのだ。それも最悪の形で。 「なにまたわけのわからないこといってんすか・・・自分先出てますから、監督同志もおはやく!」 鉱員はそう言って小走りで出口へと駆けて行った。 「自然にゃ社会主義精神もかないません・・・ってか」 監督は、自嘲するように呟いて、足元に転がる石(ありふれた花崗岩だ)に目を落とした。 | ||
3月 07 (土曜日) 2015 | ||
【政治】第二代党書記長にオベルタス・スヴィトラーナ ほか | 13:05 ヴェールヌイ社会主義共和国 | |
━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…‥…━━…‥‥…━…‥‥…━ 【Рабочий победа 】労働者の勝利(第9号579年7月) ━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…‥…━━…‥‥…━…‥‥…━ ◆紙面 【政治】第二代党書記長にオベルタス・スヴィトラーナ ━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…‥…━━…‥‥…━…‥‥…━ ◇第二代党書記長にオベルタス・スヴィトラーナ 579年7月となり、共和国全域で党書記長選挙の投開票が行われ、第二代ヴェールヌイ労働党書記長としてオベルタス・スヴィトラーナ氏が当選となった。外国籍党員を除いた労働党員中、投票率は79%(有効票72%)となり、有効票のうち67%の支持を集めた。ライバル候補であったマクシム・シチェドリン氏は首都サンサルバシオンをはじめとした中部の都市化地域での支持がスヴィトラーナ氏を上回っていたものの、北部や南部の農村・地方都市では苦戦、スヴィトラーナ氏が圧倒的支持を集める格好となった。スヴィトラーナ氏は地方経済の自主管理下とインフラ投資に言及していたことに加えて、シチェドリン氏が社会主義国との関係強化を訴えていた中、レゲロのミサイル発射問題が発生したことで裏目になり、支持を下げてしまったと見られる。選挙の結果をうけ、党書記局はスヴィトラーナ氏を党書記長とすることを正式に発表し、これを党中央委員会をはじめとした党組織に下令。追って開催された7月下旬の党大会(党大会は1月と7月の半期ごとに開催される)においてノルシュテイン前書記長が退任の挨拶を行い、続いて新任となるスヴィトラーナ書記長が就任の挨拶及び今後5年間に渡る党方針について述べた。またノルシュテイン前書記長の偉業を讃え、同氏に共和国最高勲章である「国家英雄勲章」の授与を決定したとする政府決定も紹介された。なおノルシュテイン前書記長は、党中央委員会から委員会責任顧問就任の要請を断っており、退任後は党職を離れ党運営から引退する意思を示している。 古参大国の復活や、幾多の新興国の現出、また喫緊の課題である友好国レゲロの国際秩序への挑戦ともとれる行動等、課題や留意すべき問題は山積しており、スヴィトラーナ書記長は就任まもなくして難しい舵取りを迫られることとなるが、卓越した党領導に従って進軍する勤勉で勇気ある我ら人民が、一層力を増してこれを支えれば、共和国の前途には勝利のみが存在することだろう。 スヴィトラーナ新書記長の就任挨拶より一部抜粋 「私達が社会主義強国を建設しようというのは結局、人民の生活を向上させようというところにその真の目的があります。人民の生活を決定的に高めてこそ社会主義の優越性が理解され、これを守り、幸福の歌声をさらに高く響かせることができるのです。共和国は若く未熟で、強風下にゆれるマッチの火のように弱い国です。しかし、幸か不幸か、フリューゲルにおける社会主義世界において、いまや私達は最も円熟して洗練された革命の党と政府であり、私達の失敗は即座に世界における真の人民主権確立を目指す闘争の死滅を意味します。私は六年以上を工場労働者として過ごしました。同僚や先輩の同志達より手先は器用だったので、装飾類の作業では特に活躍した経験があります。手先の器用さというのは、ただ生まれ持ってそうだというわけではなく、つまるところ作業手順や段取りといったものにどれだけ興味や関心をもち、どれだけ真面目にそれらに対処しているかも重要な要素であると私は考えています。共和国が、より進んだ人民民主主義制度に移行し、活力ある経済を建設して、世界で責任ある地位を確立しようというのであれば、これは重要な要素となりえます」 ━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…‥…━━…‥‥…━…‥‥…━ 製作-党広報部 監修-党書記局/党政治局 ━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…‥…━━…‥‥…━…‥‥…━ ↓オマケのつづき 事前にこちらが提示していた視察希望先について、クシミニャール政府はその殆どを認め、イレーリと警護の警官1名をつけた。 たかが途上国の公務員からなる視察団である。警護が必要とは到底思われないが・・・。 ベイオールは45年以上前に建設されたクシミニャール侯国の首都であり、政治と文化の中枢であると同時に、商工業でも栄える同国の中心的都市である。道中の車窓からは、行き交う大勢の市民、我々の感覚すれば少しカラフルすぎる気もする看板や旗(商店のものだろうか、ザイナル語はわからない)がそこかしこで翻り、活力に満ちた姿を垣間見ることが出来た。(観光で一人ぶらぶらできたらどんなに良かったろう) 我々はまずベイオール南部の工業地帯を視察した。ハイラル財閥所管の工場であり、工場長が自ら工場内をついて解説してくれた。(キーシンが警官から一番離れた場所を歩くので、私は警官の近くを歩くようにして、あの重苦しい男の目線と威圧的な空気を避けることができた。なるほど警護はありがたいものだなぁと、内心ほくそ笑んでしまう) 工場長「ベイオールの工場地帯では日用品が作られてますね。あとは製薬工場とかですか」 ギンツブルグ「国内での消費財は、それらを流通させるだけのインフラも重要かと存じますが、この工場の生産品はどのようにして流通するのですか?」 工場長「生産物はハイラル倉庫などを通して、ベイオールや各都市に輸送されてます、主にトラックでですね」 トラックなぁ・・・首都圏以外じゃ舗装もままなっていないから、やはり基礎のインフラがなくては模倣のしようもないところだろう。 と、ジューコフ団長がラインに並ぶ瓶をおもむろにつまみ上げて(いいのか勝手に触って)底を覗き込むようにしながら質問した。 ジューコフ「なるほど・・・見たところ製品の質も高い。これはガラス製のように見えてはるかに軽い。我が国のもののように気泡も見当たらない。品質保持や規格はどうされているのか」 工場長は一瞬ジューコフ団長の振る舞いに少し動揺しつつ(そりゃそうだろう)困ったように答えた。 工場長「うーん、規格ですか?多分ストリーダの規格なんじゃないですかね…この世界にどのような規格が存在するかわかりませんが・・・」 イレーリがフォローするように重ねた。 イレーリ「FENA統一規格とか旧PTO規格などで、侯国独自の規格ではないんです。このラインは主に国内向けの日用品ですからね、そこはまだ厳しくない、でまかせなところですよ。」 工場長「はは、イレーリ先生にはかないませんな。管理はストリーダ系企業のセンサとか、人の目を通して行っています。(生産ラインを指さしつつ)あのような形ですね。」 | ||
3月 05 (木曜日) 2015 | ||
【政治】ノルシュテイン書記長退任へ 【国際】レゲロのミサイルに政府困惑 ほかオマケ | 20:42 ヴェールヌイ社会主義共和国 | |
━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…‥…━━…‥‥…━…‥‥…━ 【Рабочий победа 】労働者の勝利(第8号579年4月) ━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…‥…━━…‥‥…━…‥‥…━ ◆紙面 【政治】ノルシュテイン書記長退任へ 次期書記長選はじまる 【国際】レゲロのミサイル発射強行 政府困惑 ━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…‥…━━…‥‥…━…‥‥…━ ◇ノルシュテイン書記長退任へ 次期書記長選はじまる 共和国建国最大の功労者であり、社会主義ヴェールヌイ繁栄への道筋を示す我が労働党代表(書記長)であるユーリ・ノルシュテイン同志が間もなく任期満了となり、退任する見通し。 5年3期、計15年の歳月に渡り党と人民を導き、国内においては経済の土台を築き、外交においては自主独立を守り、平和と人道主義の旗を振り続けたその功績は、共和国の歴史の基礎に相応しい輝かしい功績として一層に輝きを増し続けることだろう。 579年7月の退任まで半年をきり、共和国各地では次期書記長選挙の準備が進んでいる。労働党書記長は、共和国の指導政党のトップにして、評議会議長を兼務する国家元首である。党規約により、書記長選挙は党員資格を持つ全ての人民が投票権を持ち、各地域の党支部で投開票作業が行われる。立候補もヴェールヌイ国籍及び党員資格さえあれば誰しもが可能であり、全国をまわっての論戦が繰り広げられる。共和国人民にとり最大の関心事、イベントであるといえるが、過去には立候補がなく、正式に行われるのは今回がはじめてのこととなる。規模が規模であるだけに、党本部はもとより、各地域支部は激務となるが、ミスなく円滑に、無論公平性を保ちながら、運営を行っていただきたいと思う。 【候補者紹介(二名)】 マクシム・シチェドリン~クラヴィス出身。サンサルバシオン総合高等専門学校(大学に相当)卒業。卒業論文のタイトルは「革命社会における改善」。卒業後は党本部に勤務、党政治局員として指導実務の経験を積む。現在は党政治局の推薦と閣僚評議会の信任により工商行政管理総局に党責任指導員として在籍。諸外国との貿易・外交について党政治局の立場から指導業務を行う。2児の父。【主な主張】黎明期の都市産業計画によって形作られた歪な構造を一新し、経済・安全保障上に必要な置き換えを推し進める。そのために必要な、各省庁に対する党の指導権限を拡充し、意思反映を迅速化する。同様に歪な国防組織の構造も改革、安全保障に関する全ての事項の一元化を目的として、軍務省を廃止し軍作戦総局を国家保衛省の管轄下とする。外交政策については、現在の状況を「受け身の外交」であると捉え、より間接的な革命支援を強化する為、主体的な外交を展開。社会主義国との関係強化をより強め、相互発展と平和維持構造の構築を目指す。 オベルタス・スヴィトラーナ~ バイウリェーニャ出身。職業訓練校において建築用タイル製造の訓練を受け、その後同町の工場に配属され六年間勤務。この間、党専従職員試験に3度挑むも不採用となっている。4度目で合格し党支部職員となってからは、会計から渉外活動まで様々な部門を受け持つ。現在はバイウリェーニャ党支部監察部補佐役として活躍。独身女性。【主な主張】出身地の苦境を念頭に、地域振興・産業施設の分散配置を推進。各種権限を下部組織に振り分け、地域ごとの独立した自主管理制度を強化する。既定路線であるインフラ整備の段階的実施も、より速度感をもって進める。また、より進んだ民主制移行に関する制度設計もはじめる。対外的にはノルシュテイン同志の掲げた平和主義・反帝国主義路線を継続するが、社会主義を言葉にするだけで友邦とし、反民主的な独裁に沈黙する態度を改め、強硬的な世界革命論をはじめとした社会主義・共産主義勢力に対しても明確に反対する。 ━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…‥…━━…‥‥…━…‥‥…━ ◇レゲロのミサイル発射強行 政府困惑 579年3月、レゲロ社会主義人民共和国がノイエクルス連邦ヴォルネスク自治国(旧ヴォルネスク社会主義共和国)の領海内に一発のミサイル発射を行った。レゲロ及びノイエクルス連邦ともに正式な発表や意思表明は現在のところ行われておらず、双方が沈黙している。レゲロはかねてよりヴォルネスクに対する非難や顧問団追放など、同国に対する敵対姿勢を強めていた。ミサイル発射を仄めかすような発言も以前より行われており、政府は外務省を通じて自制を求めていた。これに対しレゲロは一定の配慮を示していたが、発射は強行された形となった。共和国政府は即座に遺憾の意をレゲロに伝えるとともに、本件に対する説明を求めている。レゲロと共和国は友好協力条約を結ぶ友好関係を築いており、政府内では困惑が広がっている。政府は「情報収集を急ぐとともに、あらゆる手段でレゲロ側との意思の疎通を図っている段階であり、これが明確になるまでは条約破棄であったり制裁行動といった対応策は検討しないようにする」とした。 ━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…‥…━━…‥‥…━…‥‥…━ 製作-党広報部 監修-党書記局/党政治局 ━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…‥…━━…‥‥…━…‥‥…━ ↓オマケの続き↓ クシミニャール視察団 名簿 ドミトリー・ジューコフ(工商行政管理総局 / 団長) エフゲニー・キーシン(工商行政管理総局) タマラ・ギンツブルク(化学工業省 産業統括部 均等施政管理課) エフレム・クルツ(化学工業省 産業統括部 均等施政管理課) イワン・ゴンチャロフ(農務省 生産局 農産課) 「思ったより冷たいんだな」 空港のターミナルビルを出て、ようやく外気に触れて出てきた最初の印象だ。共和国はクシミニャールと同じ温帯に区分されるが、年間の平均気温は遥かに低いので、冬場とはいえ、こちらは暖かく感じるのではないかと考えていたからだ。この通気性やらの配慮のかけらもない重たい背広(国産と誇らしげに宣伝する人民公社の看板を思い出すと恨めしい)では、汗ばむだろうと心配していたのだが、杞憂だったか。 「いやぁいよいよですね!本当にありがとうございます。自分、こうやって海外に出るのが夢で―」 「わかったから大人しくしておいてくれよ、一応俺の補佐ってことなんだから」 クルツは目を輝かせながら、興奮気味に、もう何度も聞かされた話をしてくるのだった。化工省に入省して2年の若手、少々落ち着きはないが、優秀な男だ。今回の視察は、実務的に有用性の高い情報を得ることは勿論だが、国民の海外渡航に制限がある中(所得的にも難しいだろう)若者に外の世界を見せる良い機会だと考え、私が推薦して視察メンバーにクルツを加えてもらった経緯がある。 「静かにしたまえクルツ同志。我々は任務の事だけを考えればいい。そうですね?」 クルツを睨み付けたあと、メンバーを見渡しながら、不自然なまでに抑揚のない口調でキーシンが言った。化工省にいれば、海外交易を司る工商行政管理総局への出入りも多々あるが、私はこの男を総局内で見たことが無い。彼の上司であろうはずのジューコフ同志も、キーシンと名乗るこの男と見知った仲のようには見受けられない。まぁ、特段珍しいことでもないだろう。大方の察しはつく。 「ようこそいらっしゃいました。エッカーマン総研のイレーリです。本日は私が皆様の案内を務めさせていただきます」 「ジューコフです。イレーリ先生、話はうかがってます。よろしくお願いします」 団長であるジューコフ同志があいさつし、すすんで握手を求め、イレーリも笑顔でそれに応えた。 エッカーマン市に本拠を置く総合シンクタンクの研究員、ベイオール大学の客員教授も務めるなど多くの分野で博識な人物・・・彼が案内人を務めてくれることは事前に文書で確認していたが―こうも若いとは。たしか36歳のはずだが(それでも十分若い)目の前の人物は、20代と言われても、それを疑うものはいまい。外見上の肌ツヤだけではない、彼が持つ生気というか、そういったものが、相対する人間に若いという印象を与えるのだろう。国は人を見れば判るというが、闊達な社会では、こういった人間も現れるのだろう。少々大げさか。 「なにか?」 私があまりに見とれてしまっていたからか、視線に気づいた彼は少し訝しげに尋ねた。 「い、いえ!いやぁお若いとお聞きしてましたが、実物はもっと若く見えたものですから・・・ハハハ・・・ぁ、すいません・・・申し遅れました、化学工業省のギンツブルクです。よろしくおねがいします」 「ギンツブルクさんですね。えーとたしか・・・うん、やっぱりそうだ。若いだなんて、貴方は私と同じ歳の筈では?」 完全に取り乱している。我ながら失態だ。 「ギンツブルク同志はいつから男色に目覚めたんだ?ガハハ」 ゴンチャロフが下品に笑った。 | ||
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