日ノ本帝国に対する統一政府外相殺害事件への弁明・謝罪の要求

　ヴォルネスク統一政府を承認するティユリア連合王国・成蘭連邦王国・ミッドガルド帝国・ガトーヴィチ帝国・昭栄国の５国は、ゲネボス外相殺害に関する統一政府への公式な弁明及び謝罪を日ノ本帝国に対して求める。

　ゲネボス氏は旧政権の刷新を唱える民衆の希望であった。日ノ本帝国にとって統一政府におけるこのたびの政権交代は、統一政府支配下の民衆へ弁明し、謝罪する良い契機である。

　対立する国の公人を殺害し、その非人道的で野蛮な行為を躊躇なく公認する日ノ本帝国に対し、我々５国は共同して誠意ある弁明と謝罪を求める。日ノ本帝国が責任ある対応を示せないのであれば、南西ヴォルネスクへの関与を凍結し、将来の平和的統一に向けた、ヴォルネスクの唯一正当な政権である統一政府との取り組みを我々５国にゆだねるべきである。

　黙殺はすなわち自国が国際社会に生きるものとして無責任であることを証明するものであろうと我々は認識しているし、国際社会の常識である。

　フリューゲル暦537年4月下旬を回答期限とする。

帝国政府は南西ヴォルネスク政府を制御できうるのはミッドガルド帝国のみであると考えており、またＦＥＮＡ及びその他の国がミッドガルドと南西ヴォルネスク問題に関して完全な信頼関係にあるかも不明であることから、弁明を含めた実効性を踏まえＦＥＮＡ及びガトーヴィチ及び昭栄国に対して現時点で対応はしない。
ただし最低限の経緯については広報において説明している。

もしＦＥＮＡ及びその他の国がミッドガルドと完全に歩調を合わせ、かつ南西ヴォルネスクの平和的統一を図ると表するのであればこの質問に応えるべきであろう。

まず、ファイアリヒ連邦共和国を放逐するという新政権の試みに対して、支持しているのか。
その次に報道で明白なように新政権は暴力を肯定し、積極的に行使する姿勢をあらわにしているが、これを支持しているのか？

我々としてはロキョーコー事件に関しても含めヴォルネスク統一政府がこれまでＦＥＮＡやその他の国の指示によって平和的統一のために行動していた実績が全く明らかでない上に報道で真の友好国はミッドガルド帝国であると明言された以上、もはやＦＥＮＡやその他の国が統一政府を代弁しているとは考えられない。
ミッドガルドを通じてであるなら弁明や謝罪は効果があるだろうが、どの程度ヴォルネスク統一政府との友好関係を持っているかも良く分からないティユリア連合王国のような国を代表にして謝罪を求められてもね。

　我々４国は、ヴォルネスク情勢についてミッドガルド帝国及び統一政府とは強固な信頼関係にある。これについては、ミッドガルド帝国政府にも問い合わせてもらいたい。

　さて、回答を見る限り、日ノ本帝国政府は国際情勢に疎いようだ。

　貴国が行ってきたヴォルネスク海賊に対する暴力行為を我々が否定したことが、今まで一度たりともあっただろうか。新政権にとっては親ファイアリヒ政権こそが賊なのであり、賊に対する暴力は我々も肯定するところである。

　加えて我が国と統一政府との友好関係について言えば、我が国が建国200周年記念式典に故ゲネボス氏を招待していたことを知らないはずがなかろう。貴国が斯様にも国際情勢に疎い野蛮国であるならば、我が国は貴国首脳を式典へ招待したことを恥ずかしく思う。

笑えない冗談は止していただきたい。

どうせＦＥＮＡはクーデター政権をミッドガルド帝国がいち早く支持したのを見るや利権を手放すまいと旧政権をファイアリヒごと見限ったにすぎない尻軽女のような外交政策を採ったんだろう？
その程度、というよりもＦＥＮＡでしか通用しない決めごとをまるで国際情勢などと思いあがるのは恥知らずもいいところだ。
国際常識に従えばあのようなクーデター政権を正当政府と看做すことは出来ないはずだ。
もとより彼らの暴力の矛先は海賊にあらず、統一政府に服従しないヴォルネスク民族全てである。未だに平和統一を目指しているなどと妄言を吐くあたりを思うに、ヴォルネスク事情に疎いのはそちらの方であろう。

その結果をみたまえ、統一政府の支配地域の現状を。
荒れ地が広がり、働きもしない外国軍のために無駄に設営された駐留基地群。
駐留基地の数々は治安コストが異常に高いことを示しており、けして彼らのお陰で平穏な生活が保たれているわけではないという事実が眼前と示されている。
対してサザンベルク公国や首長国は素晴らしい治安維持能力の高さゆえに最近恐ろしい事件があったことを聞かない。
ゆえにクーデター政権を成立させた。そして間抜けなＦＥＮＡ外国軍には任せられないと踏んだのだろう。ゆえにミッドガルド帝国を真の友好国と選んだ。
ＦＥＮＡこそいつまでたっても無法を放置し続ける無能な軍を即刻撤退させるべきであろう。

我々は有能な国家が南西ヴォルネスクを導くのであればそれでよし。しかし無能な国家がいつまでも居座られていては迷惑千万というものではないだろうか。

我々としてはＦＥＮＡ及びその他に対しては謝罪する価値はない、と結論は変えることができない。

新統一政府は旧統一政府と宣戦状態に入った。ゲネボス外相は旧統一政府の人間の身分であり、旧統一政府が打倒された場合、我々としては謝罪する相手を喪失したことになる。
新統一政府は全て暴力での解決を明言しており、ゲネボス外相の死もこの論理に則れば肯定されるだろう。

以上

滅亡した帝国に代わりまして東日ノ本共和国として外相殺害を謝罪する。