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普欧帝国宣伝部  普欧帝国の広報機関
3月 08 (木曜日) 2012
【特集】ケーニヒスベルク大学教授による『鉱山帝国主義』評 04:41   
【特集】ケーニヒスベルク大学教授による『鉱山帝国主義』評(2)

※本記事の下に(1)が存在しますので、先にそちらを御参照下さい。

リッター教授「植民戦争の終結後、従軍した兵士たちはまるで呪われたようにこの命題と向き合った。

当時は考えもできなかった。何しろ生きるか死ぬかの状況だったから。だが戦争が終わって、ある程度の

生活を送れるようになると色々考えるところが出てくるものだ」

シュミット教授「『豊かさ』の定義は個々人で様々なものがあります。莫大な資産、満足に食べていけること、

自分の才能を発揮できること、色々あるでしょう。普欧人にとってのそれは『交易による富の多様性』です。

例えば、私の財布には100Va紙幣がいくつか入っていますが、地方の市場に行けばこれ1枚でジャガイモを結構買えます。

それと同じく、この国では海外の産品が100Vaでそこそこ買えるのです。我が国はタピオカ、成蘭と取引していますから。

これは鎖国状態にある国では実現できませんよ。ルジタニアや大東亜天帝国では海外の品物なんて買えないでしょう」

ハンス「それらの国は経済状態からして我々とは比較できないと思われますが・・・」

リッター教授「我々が考えに考えて出した結論がそれだよ。我々は貿易しなければ前に進めないのだ。

座しているだけ、あるいは一方的に奪うだけでは多くのものを失ってしまう。有形無形問わずにな」

ハンス「おっしゃる通りです」

シュミット教授「我々が交易レートを相手国有利に設定しているのも、それと大きく関わるところです。

多少我々に不利でも、確実に海外の富を得られるのであればそれは必要な対価なのです。

また国家間の信頼関係を構築する上でも重要と言えるでしょう」

リッター教授「商人の立場でものを考えてみたまえ。気前のいい客とケチな客、質のいい商品や新商品を売り込むなら

どちらを選ぶね?同じことは国家間同士の貿易にも言えるだろう。」

ハンス「そうですね。商人の立場からすれば我が国はいい取引相手でしょう」

シュミット教授「しかし、国際政治の力学上、ノイエクルスやその他の国が我が国を警戒するのも当然でしょう。

いかに我が国が経済分野のみに外交努力を集中させ、軍事同盟やそれに類する条約の締結を控えているといっても、

我が国と多くの途上国との関係が彼らにとって脅威と映るのは当たり前のことです。国際政治はそんなものですから」

リッター教授「身も蓋も無い言い方だねシュミット君。だが的確な見識だよそれは」

シュミット教授「お褒めに預かり光栄です」

ハンス「彼らは我々を羨んでいるのでしょうか?」

シュミット教授「それもあるでしょうね。もっとも、我が国も取引を断られたりしたことは幾度かありますが。

彼らにとって一番困るのは、本当に途上国が我が国のみと強固な関係を結ぶことです。これは政経両面で打撃となります。

我々としてもそれは望むところではないのですがね。この著者は我々が他国に介入させまいとしていると記していますが、

これまで我が国が途上国と締結した条約には我が国以外の国との交流を禁じるような条項は一切存在していません」

リッター教授「成蘭との工業振興条約はまだ終わった訳ではないからな。将来的にあの国の工業が一層成長して

我が国以外にも商品を輸出するようになっても、別に我が国にとって困るような問題ではない。条約違反は御免だが」

ハンス「対象国の経済能力の大部分を我が国との貿易に向けさせているとの批判もありますが」

シュミット教授「だからこそ我が国は相手国有利のレートで交易しているのですよ。彼らが儲けた金を自国産業に投資し、

更に産業振興を果たしてくれれば万々歳ではないですか。余剰生産物の処分はその国に任せていますし」

ハンス「目下の課題は世界的な商品不足の解消ですからね。新興国の発展に手を貸し、世界経済の安定に寄与するのは

先進国として当然のことでしょう。」

シュミット教授「それに、他国が我が国より高レートで相手国に取引を持ちかけても、我が国には相手国が取引相手の変更を

希望すればそれを邪魔立てするような道理はありません。条約破棄に関する手続きを正当にやって頂くまでです。

まぁ我が国もより高額なレートを提示して引き留めようとするでしょうが」

ハンス「市場原理的には健全ですね」

シュミット教授「そうですね。私の方からは大体言うべきことは言ったでしょうか」

ハンス「では最後に、私の方から簡単に話をまとめさせて頂きます。

我が国と途上国との関係はあくまで経済的互恵関係であり、これは他国の参入を拒むものではない。また、

途上国との経済的提携関係を軍事的関係へと発展させる意図はない。これに関しましてリッター教授の方からお願いします」

リッター教授「我が国は反戦主義を標榜しているからね。よほど道理にもとるようなことが無ければ戦争なぞ起こらん。

それにノイエクルス人も分かっているだろうよ。我が国との戦争がどれだけ不毛なものとなるか。

お互い一度に500発以上のミサイルを撃てる能力があるのだ。得られるものより失うものの方が多いに決まっている。

そのような愚を冒してまで望むものを我々は持ち合わせていないし、他国の人々だってそうであろう。

軍拡に突っ込む金を国際貿易に投じた方が世界はより発展するに違いないのだ。これが戦争を経験した我々の回答だ」

ハンス「ありがとうございました」



(近代史をやっていると近代戦争がいかに不毛であるか思い知らされます。

  貿易こそ我々に富をもたらし、戦争がそうでないというのは私にとって金言となる言葉です。cruis)
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【特集】ケーニヒスベルク大学教授による『鉱山帝国主義』評 02:11   
【特集】ケーニヒスベルク大学教授による『鉱山帝国主義』評(1)

先日、ノイエクルス自由国にて「反鉱山帝国主義」デモが予想以上の盛り上がりを見せた。

このニュースを受けて帝国内では困惑から罵倒まで様々な反響が各メディアに寄せられているが、

一連の動きの中でノイエクルス大学教授の著作『鉱山帝国主義』に関する注目が一挙に高まった。

そこで本宣伝部はケーニヒスベルク大学国際政治学部のシュミット教授、歴史学部のリッター教授を招き、

『鉱山帝国主義』の書評と今回のデモ、両国の政策に関するコメントを求めた。

※リッター教授・・・歴史学部教授、大学教授陣の長老とも言うべき御人、シュミット教授・・・国際政治学部教授



宣伝部国際政治課課長ハンス(以下ハンス)「シュミット教授、リッター教授、よろしくお願いします」

シュミット、リッター両教授「よろしく」

ハンス「まずリッター教授に『鉱山帝国主義』の概略について説明して頂きます」

リッター教授「まずこの本についてだが、国際政治と経済の観点から我が国の政策を批判したものだ。

本の中身について語るのならシュミット君の方が良いと思うが、我が国の伝統的な政策について語るには、

歴史学をやってる私の方が良いというところだろう。違うかね?」

ハンス「おっしゃる通りです。教授はこの本を読んだ大勢の人間が感じた疑問をもうお分かりになっていると思われます」

リッター教授「うむ、この本の著者は我が国が途上国経済に大きな影響力を持ち、他国を介入させぬ経済圏を作ることで

ノイエクルスやその他の国の孤立化を図っていると、大体彼が言いたいのはこんなところか」

シュミット教授「おおよそその通りですね、リッター教授。そしてある意味、それは間違っていません」

リッター教授「そうだな、なかなか我が国の外交機構や経済構造の把握がよくできているじゃないかね。

だがこの人は普欧史に疎いか、あるいはノイエクルス人の心性は我々の行動を理解できていないんじゃなかろうか」

ハンス「はい、著者は我々の交易についても『互恵関係構築の名を借りた経済的束縛』と記しています」

シュミット教授「束縛も何も、我々に富の再分配を求める以上の意図などある訳ないでしょう」

リッター教授「そこが向こうの人には理解できないんだろう」

ハンス「私もそう思います。とはいえ、10年位前から国内でも企業主たちが文句を言っていますが」

リッター教授「まぁ彼らの言わんとしているところも分らんではない。資本家は儲けなくてはならんからな。

しかしな、我が国の歴史上の経験は色々なところに根を張っているのだ。上流階級から民衆まで色々と、な」

シュミット教授「富というものに対する考え方からして我々は余所の国の人と違いますからな」

ハンス「そうですね。ですが、この本の著者も多くの他国人も訳が分らないと思いますので、リッター教授、お願いします」

リッター教授「うむ、そもそも我が国は植民船団の事故から出来た国だ。船団の不時着先で先住民と血みどろの戦争をした」

ハンス「植民戦争ですね」

リッター教授「そうだ。先住民から略奪した食糧で我々は生きながらえた。当時私も銃を取ったものだよ。

漂流中の生活は困窮というに尽きる。一部では食人さえ行われたというじゃないかね。みじめなものだ」

ハンス「まったくです。しかし、当時の状況を考えれば」

リッター教授「そこらへんの是非は個々人の判断するところだ。まぁ後世の人間がそれをやるのは難しいがね。

さて、生きながらえたことはいいが、その代わりに我々は重大な過ちを犯してしまった。先住民を根こそぎ殺したのだ」

ハンス「はい。後の発掘調査では重大な発見がありましたね」

リッター教授「うむ、353年の調査では(15,11)、(14,12)で何かの卵2個を連続発見した。この遺構は凄かったよ」

ハンス「考古学上の発見も重大でしたが、それだけではありませんね」

リッター教授「そうとも。今は亡き建国王をはじめ当時の人々は自分たちの失策を思い知ったのだ。

先住民は森林資源の利用において普欧人が再現できない高度な文化を有していた。これは重大なことだよ」

ハンス「森林資源の活用はここ最近かなり重要性が高まっています。特に薬学の分野では」

リッター教授「現代の技術で先住民が使っていた薬を研究してもね、生成法は分らんそうだ。効力は折り紙つきだよ。

私は先住民の罠にかかって猛毒に犯されたことがあってね。仲間が先住民から奪った薬で助かったんだが、

今普欧製薬が作っている薬であの時の私を死の淵から救い出せるものはないそうだ」

ハンス「幸運でしたね」

リッター教授「そこで私を含め皆思ったんだよ。『豊かさ』とか『富』というものはなんなんだってね」

シュミット教授「その問いが我々の哲学に与えた影響は非常に大きい。これが我が国の外交政策にも影響を及ぼしています」

※長くなったので中断します。上の記事に続く。
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