石動第三帝国・エウシウワンジャ共和国間首脳会談

足利滿子「ご快諾いただきありがとう存じます。ではこの件については後日事務レベルで協議いたしましょう。
　さて、今回お二人をお招きしたもう一つの話題として、貴国に対する軍事的援助とお話ししておりましたね。ご存知の通り我が国はこれまで貴国に於いて既に幾度かの反政府勢力鎮圧に協力して参りました。ただ、国際法の都合からもこれらは全て貴国に許諾を得てからの行動となっており、迅速な対応が取れなかったことがネックとなっておりました。またこの星には反乱軍だけではなく、怪獣と呼ばれる強力な巨大生物が突如出現し、国土を蹂躙することも大きな脅威となっています。
　こうした脅威や、さらには国際社会における対外戦争と言う脅威から貴国をお守りするためにも、我が国は片務安保という形で貴国のお役にたちたいと思っておりますの。具体的な内容については、こちらの案文をご参照くださいませ。」

【石動第三帝国によるエウシウワンジャ共和国に於ける安全保障に関する条約】

　本条約は石動第三帝国によるエウシウワンジャ共和国に於ける安全保障に関する規定を定めたる条約なり。本条約は両国の相互同意に依りて定められたるものなり。右が証左として石動第三帝国は征夷大将軍足利滿子を、エウシウワンジャ共和国は最高軍事評議会議長ダオダ・ムヒン・ワイナイナを全権とし本条約に連署す。

第一条　石動第三帝国はエウシウワンジャ共和国が一以上の国家より一方的な宣戦布告を受けし時、その一以上の国家に対し宣戦布告を行う義務を有す。
　第一項　エウシウワンジャ共和国が一以上の国家に対し一方的に宣戦布告を行いし場合はこの限りに非ず。

第二条　石動第三帝国はエウシウワンジャ共和国が反政府軍事勢力の蜂起・海賊の発見・怪獣の出現等の脅威に晒された際、エウシウワンジャ共和国が望む限りに於いて軍事力を以て同脅威を排除する義務を有す。
　第一項　石動第三帝国は右脅威が明らかに火急の対応を要するものと判断せし場合、エウシウワンジャ共和国の承諾を得ずとも軍事力の行使による脅威の排除を行うこと能う。この軍事力の行使とはSPPミサイルの発射・衛星からのレーザー兵器の照射に限定さる。
　第二項　エウシウワンジャ共和国は右脅威を自力にて排除し得ると判断せし場合、脅威の排除に対する石動第三帝国の軍事力の行使を一時的ないし永久に拒否する権利を有す。

第三条　第一条及び第二条の目的を達成せんが為、石動第三帝国はエウシウワンジャ共和国に対し4万人以上16万人以下の兵力を派遣すべし。
　第一項　右兵力の駐屯の為の施設の建設に要す建材・資金等の経費は全て石動第三帝国が負担すべし。但し同施設の維持に要する資金等の経費はエウシウワンジャ共和国が負担すべし。
　第二項　右兵力のエウシウワンジャ共和国国内に於ける行動は災害救助支援・怪獣駆除支援・反政府軍事勢力の討伐支援・有事の際の邦人及び各国大使の保護に限定さる。

　本条約は石動語・英語・スペイン語の正文にて作成さる。

土岐康之「派遣部隊については、陸軍より３個師団・２個機甲師団、直参親衛軍より２個降下猟兵団・１個機甲師団、航空宇宙軍より１個航空団・１個打撃航空団の計8万人を予定しております。あらゆる軍種の部隊によって混成されており、様々な事態に対応することが出来るでしょう」

ワイナイナ「・・・（耳打ち）内容確認いたしました。確かに恐竜、また反乱軍などは安全保障上の脅威だ。我々としてはこの内容で問題ありません。」

足利滿子「ご同意いただきありがとう存じますわ。ではさっそく調印いたしましょう」

源正二位征夷大将軍足利左馬滿子（花押）

ワイナイナ「エウシウワンジャとその人民を代表し署名する。」

Presidente del Supremo Concejo Militar　 Daouda mhin Wainaina

足利滿子「御署名いただきありがとう存じますわ。これで両国間の協力関係は一層強固なものとなりましょう」

土岐康之「駐屯軍の派遣と、駐屯地建設のための資材輸送は後日行わせて頂きます。
ところで、以前支援協定の場に於いて貴国への我が国の兵器の輸出に関する話題が触れられたかと思いますが、如何でしょう、以前お送りした輸出兵器目録にお気に召した兵器は御座いませんでしょうか？戦車等地上兵器のみならず、戦闘機の輸出も可能ですので、是非ともよいお返事を頂きたいと思っております。また、大工重工から、是非貴国と貴国向け主力戦車及び機動戦闘車の協同開発を行いたいという申し出もでております」

ポニョ・ニュシ「先日輸出兵器目録を拝見させていただきました。貴国の高度な技術力の元開発された兵器はどれも興味深いですな。
我々としては不足している航空戦力の充実を図るべく、二十一式戦闘機を30機、六八式回転翼攻撃機10機、五四式回転翼輸送機10機とそれらのスペア部品の購入を検討しております。
また六一式多連装ロケットシステム自走発射機10両、既にベルサリエーレに対する輸出の実績がある一九式戦闘装甲車50両の購入も検討しております。
それと大工重工の提案した戦車及び機動戦闘車の共同開発ですが、共和国は既に必要数の戦車を保有しているので機動戦闘車の共同開発のみを承諾したく存じます。」

土岐康之「我が国の兵器をご評価いただき、大変ありがたく存じます。では後日、外務省を通じて輸送品目量・必要対価等をお伝えしたいと思います」

足利滿子「憚りながら、我が国の兵器はフリューゲル有数の性能を持っていると私共は考えておりますが、輸出市場の寡占的状況などから、中々我が国の兵器は輸出しにくい状態となっておりましたの。貴国はベルサリエーレ王国に次ぎ我が国の兵器を輸入された、記念すべき二か国めの国家となりましたわ。これにより我が国の兵器が貴国の国防力を発展せしめ、引いてはより多くの国々の国防の扶けとなることを切望して止みません。

さて、我が国からお話しすることは以上でございますが、お二方からは何かございますでしょうか？」

ワイナイナ「我が国としても貴国の最良なる兵器を購入できたこと誠に嬉しく思っております。我々からも以上となります。」

足利滿子「では会談はここまでと致しましょう。本日はこのような有意義な会談を行うことが出来、誠に嬉しく思いますわ。
　この後、宮中で皇帝陛下よりワイナイナ閣下に勲一等 旭日桐花大綬章が、ニシュ参謀総長閣下には勲二等神鏡章が受勲される予定となっております。受勲後は御陪食もございますので、また後ほどお会いしましょう」