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Re: カル=シスマの赤い花

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なし Re: カル=シスマの赤い花

msg# 1.4
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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2015/9/13 19:44
ゲスト    投稿数: 0

【ネオ・ヴォルガ ─ ヴォルネスク特別行政区

まつりごとには儀式というものが必要であるので、"ヴォルネスク特別行政区マーガベル自治区"の発足ともなれば、国内外にその正統性をアピールするためにそれなりの式典が執り行う必要があるのだった。

相次ぐ内戦の荒廃の跡も生々しいネオ・ヴォルガの政治広場にて、ロレンシオ行政区長官はカル=シスマの反逆者どもがどの面下げてやってきたかと憤懣やるかた無く過ごしていたが、ノイエクルス代表のスピーチにより、ヴォルネスク政府の混乱と無為が民族分裂の危機を引き起こした──しかし連邦のたゆまぬ政治的努力によりそれは回避された。という物語がヴォルネスクの民に提示された以上、口に出すことははばかれた。

ぱちぱちぱち。
動員された多数の人民たちの、訓練された盛大な拍手がネオ・ヴォルガの政治広場に鳴り響く。
この後は軍事パレードを行い、田舎者どもに立場の差を思い知らせる手はずである。

「…あれは?」
ノイエクルス代表が政治広場の一角を指差す。人々のどよめき。指し示したそこには車両かなにかが見える。
ロレンシオ行政区長官は慌ててパンフレットを見返し、パレードの前にマーガベル代表のスピーチがあることを確認した。
それは一つの大きなソリを引き摺る数十人の行列であった。困惑した警備車両に包囲されながらもそれは貴賓席の前にまで辿り着く。
ソリの上の覆いが取り外された。
「象…?」
ソリの上にくくりつけられていたのは動物だった。巨大としか形容できないそれ。体高4メートル以上、体重20トンと推定される雪原の王──マンモス。
ソリを引き摺ってきた者達の代表、毛皮をまとった巨漢─セミョーン・R・ティモフ議長─が、マイクも使わずに声を張り上げた。
「ノイエクルスの王よ!」
「これは貢ぎ物だ! 我らを生かせ。さすればもっと食べ物をやろう!」

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