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Re: カル=シスマの赤い花

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なし Re: カル=シスマの赤い花

msg# 1.2
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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2015/9/8 13:58
ゲスト    投稿数: 0

【ナルシェ ─ マーガベル共和国】

マーガベルのボスであるティモフ議長の前で、愚にも付かぬ議論が目の前で行われている。
統一後に早速やってきた危機についての閣僚会議。数時間に及ぶ検討。飛び交う主張。酒瓶が散乱していたが、まともな結論は何一つでなかった。
巨漢にしてうわばみであるティモフ議長は手の届くところの酒瓶がすべて空になっていることに気づき、大声で追加を命令しようとして、冷えたウィスキーのグラスがそっと差し出されたことに気が付いた。
「レティシャ。いるのならいると言え」
「わたくしは殿方の都合の良いときにだけ現れて、不機嫌なときには見えませんの」
「ほう。つまり俺は不機嫌だったのか」
「ええ、とても」
アルコールの臭いが充満する退廃の会議室に、全く似つかわしくない夢魔が着席する。もともとその席は彼女の上席が座っていたが、今はテーブルの下で酔いつぶれ醜態を晒している。
「どう思う?」
「シェロジアの件ですか? ウェールリズセには多大な援助を受けておりますが、正直申し上げてよろしくないですね。弱い相手に強く出ることなら誰にでもできましょう」
「いや、そっちの方じゃない。ノイエクルスの方だ」
「はい。解っております。なので、シェロジアのお話を致しました。会議の席で叫び出すウェールリズセに比べれば、ノイエクルスは過分に紳士的です」

ティモフ議長は椅子から立つと、分厚い窓ガラスに向こうに吹き荒れる夜のブリザードを見やる。彼我の国力は圧倒的であり、山賊紛いの政府に肩入れする国家など無い。
「冬将軍が軟弱なノ連軍を自動的に撃退する」「いざとなればノイエクルスの伸長を阻止するため、エーラーンやレゴリスが百万の軍勢を送ってくれる」などと世迷い言を宣うのはそこの外交委員長と警備委員長だけで充分である。
すなわちこの会議は、拒絶したらノイエクルスが実力行使にでるか、でないか。の予想会議なのである。

「不毛ですわね。貴方はどうしたいのです。そしてそれは数多の生命を賭けるに値しますか?」

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