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Re: ヴォルネスク・イン・ザ・ダーク
投稿ツリー
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ヴォルネスク・イン・ザ・ダーク (ゲスト, 2014/6/10 21:41)
- Re: ヴォルネスク・イン・ザ・ダーク (ゲスト, 2014/6/10 21:47)
- Re: ヴォルネスク・イン・ザ・ダーク (ゲスト, 2014/6/12 18:38)
- Re: ヴォルネスク・イン・ザ・ダーク (ゲスト, 2014/6/15 13:02)
- Re: ヴォルネスク・イン・ザ・ダーク (ゲスト, 2014/6/20 4:34)
- Re: ヴォルネスク・イン・ザ・ダーク (ゲスト, 2014/6/26 0:16)
- Re: ヴォルネスク・イン・ザ・ダーク (ゲスト, 2014/6/29 22:54)
- Re: ヴォルネスク・イン・ザ・ダーク (ゲスト, 2014/7/18 23:59)
「ルティーナと治家」
セーランの王妃にして、ルーシェベルギアス公爵。イニストラードの君主。美しく清楚で淫蕩なるルティーナ・エルツ・ルーシェベルギアスは、その住処をセーランの王宮に移していた。
あらゆる陰謀と策謀の糸を手繰り操り、ルティーナは片田舎の葡萄荘園の領主から、今や超大国セーランの王妃へと登り詰めた。王位継承権を持っているわけでもなく、ましてやセーランは君主が絶対権力を持っているわけでも無いが、歴史とは夜にルティーナが作るもの。そもそも何もせずとも、あらゆる周囲がルティーナによきように取りはからう状態に達している。
セーランやルーシェベルギアスの市民たちにとって幸いだったのは、ルティーナは富と権力に執着しても、統治にはまったくの無関心であったこと。様々な人間の運命を弄び、数多の絶望を吸い上げ、今や魔界の魔王と呼んでも差し支えない存在ではあるが、レメゲトンの魔術師たちも、ゾロアスターの祓魔師たちも、今のところ彼女を警戒するだけに留まっている。
「南西ヴォルネスクには君のお仲間がいるのかい」
彼女の夫にしてセーランの国王たる黒石治家が、混迷と争乱の地の惨状に溜息をついた。セーランもまたこの泥沼に片足を突っ込んだところ。
「あそこにいるのはね」
夫妻は夫妻以外にだれもいないダンスホールで、身体を密着させあうチークダンスをゆっくりと踊る。
「ちょっと上等なゾンビよ。レチェリードールというの。激しい快楽と恍惚の中で死んだ女の子を、誰かがよこしまな業で蘇らせたもの。腐敗を防ぐために日々大量の白濁液がいるの。陽光を浴びれば滅びるし、男がいなくても餓えて滅びるし、銃で撃たれても滅びるの。取るにたらない存在よ」
「……君は銃で撃たれても滅びないのかい」
「それは秘密」
口に人差し指を当てて笑う。
「今ヴォルネスクにはセーランの艦隊がいたんだっけ。……まあ、襲われても吸い殺されたりすることはまれだから、たっぷりと可愛がってあげればいいんじゃないかしら。この世は人のもの。実際に政治を動かすのは人間よ。肝心な所を見誤ってはだめ。闇で何か蠢いていても気にしないの」