パルメキア帝国

国名：パルメキア帝国

　英語名称：Palumecia Empire。

概要

　荒涼とした岩石砂漠を領する交易都市国家連合。それぞれの都市は現代でも闘技場や遊技場などの興行施設が存在し異邦人を驚かせる。都市の中心部ではドーム状の居城や寺院によって街の外観が形成される。主な産業は商業と鉱業、そして繊維業。公式には歴史ある皇帝家の当主ジャハンダール2世を元首と仰ぐが、実際は国民代表議会が立法権を持つ。光と影の二つの面を持つ魔神（アークデーモン）を守護神として崇め、東西に大礼拝堂がある。

国旗

　リンゴ。オアシスで食される栄養価の高い果実。

首都：フィーヌース

　帝都にしてパルメキアの文化的中心都市。

　砂漠地帯の中心都市であり、港湾都市。宝石と魔術の都市でもある。

　多数の博物館、美術館、宮殿、文化施設、高等教育機関を擁する。宗教的中心でもあり、魔神信仰のモスクのみならず異教徒の宗教的施設も各所にみられる。

　地下水路や地下港が存在し、富裕層の多くも涼しさから地下邸宅を持つ。

通貨：パルメキアディナール

　古代に於ける、銀と塩の交換に使われた塩引換券を祖とする通貨。貨幣は僅か２種類しかなく、ほとんどを紙幣で決済する。

気候

　ステップ気候(BSk)に属する。冬季は寒く、1月の平均気温は5.1度、最低気温極値は-21°Cにもなる。冬季は降水量も多いため積雪になることもあり、付近の山々はスキー場となっている。一方、夏季は乾燥していて非常に暑く、7月の平均気温は31.2度、最高気温極値は43度。

スールマーズ砂漠

　パルメキア北部に広がる砂漠。古来から旅人が通商路として横断していた。夏の最高気温は50度に達し、1月でも平均22度に達する。砂礫が広がるが、湿原、湖、ワジ（涸れ谷）があり、地下水をたたえるオアシスも存在することから、観測されない降雨が少なからずあるものと推測される。

　砂漠内には遺跡都市アータシュが存在し、国立記念公園となっている。

国家元首：ジャハンダール2世

　砂漠の王。諸王の王（シャー）。議会や国民の不満の募らない範囲で確実な行政運営を行う実務家であり、数多くの兄弟や親類縁者との権力闘争を勝ち上がってきた策謀家でもある。アーファーリーンとシャフルナーズを初めとする多くの王女を持つ。

政治

　皇帝の権限が強い立憲君主制。皇帝は宰相以下大臣からなる閣僚を率い行政及び司法に携わる。

　国民議会（マジュレス）が存在し、任期四年で290人からなる一院制である。立法府としての権能を持ち、立法のほか、条約の批准、国家予算の認可を行う。議員は任国民の直接選挙によって選出される。女性にも選挙権及び被選挙権は存在するが、議員は全員が男性及びフォールハル（後述）による性別不明者である。

外交

　サクトフルン共和国とは隣国であり、文化的影響力を持つ。

　クルシャ社会共和国の主要構成民族であるクルシャ部族とは民族的出自を同じくする。

　普欧帝国及びマハエール帝国からは開発援助を受けている。

国民

　パルメキア人は多部族からなり、大半は黄色人種で魔神信仰に属している。漠然とした一般的なイメージは寛大で温かく、慎ましやかでもある。

　褐色の肌の部族が印象的だが、色白の住民もそれなりに存在する。黒人も多く存在し、肌による差別は存在しない。交易と学問、そして建設が重要視され、先進国の言語を学ぶ若者も多い。

　男尊女卑が文化として根付いており、人権上の問題が指摘されることも多い。女性はいわゆる高価な財産や二等市民的な扱いを受け、結婚相談所は奴隷市場に等しいとも言われている。しかし近代以降にあって女性の社会進出を止めることは難しく、これらの矛盾を埋めるために後述のフォールハルが発達した。

匿名文化（フォルーハル）

　都市に於いてはすらりとした白いクロークと仮面を付ける市民が多い。仮面にはさまざまな意匠があり、年齢や性別すら不明であることも多い。出版や芸術分野はもとより、契約書やインターネットにおいても匿名文化が広く普及している。これは姿や名前を知られると呪詛の対象となることを畏れてのこと。逆に善人や美人は呪詛の対象とならないために顔を隠すことはしない。

　男尊女卑のパルメキアにあって、クロークと仮面を被ることで女性でも政府の閣僚や経営者になることができる。

食文化

　主食はナンと呼ばれるパンの一種である。小麦粉と塩、水、酵母の主材料の他にヨーグルトを入れることが多く、また牛乳、油脂、卵、砂糖、スパイス類も入ることがある。焼き方によっては菓子としても食される。

　そのほか、ケバブ（肉の串焼き）、キャビア、エビや魚のシチュー、ピラフなどが好んで食されている。アーモンドや干し葡萄、スパイス類が料理にふんだんに取り入れられている。宗教上の理由により酒は御法度だが、薬用酒として飲まれることがある。

　デザートとしてはかき氷やアイスクリームが人気が高い。外国から流入した食文化も余程奇抜なものでない限り受けいられている。

軍事

　正規軍としてパルメキア国軍を持つ。軍の組織及び制度はサクトフルンの影響を強く受けている。帝国軍法によれば、パルメキア国軍はパルメキアの独立、領土保全及び国家体制、領海、国家利益の擁護、侵略者からの攻撃または占領からの領土の擁護。パルメキアの困窮した人民への軍事援助を使命とする。

　また皇帝家の警護、衛兵任務、式典警備を目的とする軍事組織としてパルメキア国家警察隊という組織が存在する。正規軍と平行して実戦戦力を持ち、小規模の陸軍及び航空兵力、情報部門、特殊作戦部門を有する。

宗教：魔神信仰（アフスーン）

　魔神とは光と熱と風と宝石と水から生まれた超常の存在であり、他文化圏では精霊，妖霊，幽鬼、ジン、イフリートなどとも訳される。

　よく物語では壺や瓶、あるいはランプなどに封印されていることが多いが、これは皇帝や聖人が魔神を自由に操っていたとされる伝説から来ている。封印された魔神が時折人の手によって解放され、その礼として願いを叶えるという物語は有名。

　魔神の威を借りて魔術を行使するものはアデプトあるいはメイガスと呼ばれ、古来よりパルメキアの文化及び文明に多大な影響を与えてきた。他文化では拝火教徒や錬金術師とも訳される。

魔神フィーヌースクシオン

　金星（明星）の名を冠する魔神。アストラル体。

　魔神たちの王。アークデーモン。悪魔諸侯22の悪魔のひとり。大アルカナの悪魔を象徴し、争乱の門を司る。金星と夕方をも司り、宝石と引き替えに力と水をもたらす。

　宿主：？？

　サイズ：人間大~３０ｍ以上

　能力：巨大、魔術

　　　：守護（宿主を守る）

　　　：《暗き闇より現れいでた原初の光》

魔神アンフェクシオン　

　浸食（感染）の名を冠する巨大魔神。アストラル体。グレーターデーモン。

　鋼で構成された巨人であり、人型を模しているものの、左右の両手がいびつなほどに大型に膨れあがり、その腕の肘から先は２本に別れている。（腕は２本、手は４本）

　無限の恐怖による心理的感染によって人を人たらしめる心理的傾向と機能を解体し破壊する。

　攻撃方法は、精神と物質を同時に破壊する咆哮（砲哮）。

　宿主：アーファーリーン姫

　サイズ：３０ｍ以上

　能力：巨大、装甲

　　　：守護（宿主を守る）

　　　：《絶え間なき怨嗟の声》

魔神デフェクシオン　

　触（脱却）の名を冠する魔神。アストラル体。グレーターデーモン。

　細身で鋭角的な巨人であり、どこか女性的。

　ドレスを纏った人形のようにも見えるが、病的なまでに細い。

　心理的感染によって人を人たらしめる心理的傾向と機能を解体され破壊された者の精神を洗浄する。

　攻撃方法は、精神と物質を同時に停止させ氷結させる視線。

　宿主：シャフルナーズ姫

　サイズ：３ｍ～３０ｍ以上（可変）

　能力：巨大、装甲、高速機動

　　　：守護（宿主を守る）

　　　：《許されざる呪詛の眼光》

死霊（ホラー）

　人間と魔神に相反する存在であり、恐怖と呪詛の根源。世界に死と腐敗をもたらす吸血鬼や幽霊、病魔、動く死者たちである。これらの存在に対して人間と魔神はしばしば手を組み、その跳梁を阻んできた。

夢魔（ファリデフルム）

　夢と幻を司る悪魔たち。全員が儚げな美貌をもつ美女で、人を惑わし自らも惑う。魔神とは友好関係にあるが、本質的には死霊に近い。都市の大麻売りは彼女たちの守護下にある。ちなみにパルメキアに於いて大麻の使用は合法である。

　絵画「眠れるファリデフルム」はパルメキア絵画の代表作である。