セビーリャ教皇庁並びにアルビオン国教会への公開質問状

合州国政府はセビーリャ共和国とアルビオン連盟王国の宗教組織がトロピコ共和国に対して悪徳な布教行為を実施しているとの疑いを受け、議会委における調査に着手した。
外交員からの情報によれば両国はトロピコに対して以下のような文面を送付しているとのことである。

23470：アルビオン国教会 > 早急に我が教会の贖宥状を購入されたし。今ならたったの30兆Vaである。それで貴国の罪が許されるなら安いものである。 (アルビオン連盟王国)

23429：セビーリャ教皇庁 > 地獄に落ちたくなければすぐに贖宥状を購入しなさい。 (セビーリャ自由共和国)

以上が正しいとするならば、我々は重大な懸念を抱かざるを得ない。
まずトロピコ共和国は戦乱のさ中にあり、同国民は危機的状況に置かれていることは周知の事実である。
であればトロピコ政府とは別にして同国民への人道的支援を行うことは国際社会としての責務ではなかろうかと認識する。
かような状況下にありながら両国の宗教組織は「罪が許される」「地獄に落ちたくなければ」などといった恫喝に等しいセンセーショナルな煽りを以て有償による免罪符を購入させようとするという人道的に悪徳極まりない動機で布教行為に至っている。
我が政府と議会としては信仰の自由として最大限布教活動を容認する立場であるが、このような行為を推進するセビーリャ教皇庁とアルビオン国教会を国際的に信義ある他の宗教組織と同列に語るべきではないと考えざるを得ない。
よって議会要請に基づき、双方の宗教組織に対する弁明の機会を与えるため、公開質問状をこの場を借りて通達する。
しかるべき説明責任が果たされない場合は両団体をカルト団体として認定し、国内における一切の布教行為を拒絶する構えである。

以上

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アルビオン国教会に告げる。
貴団体は文中でトロピコの国家の罪が許されるとしており、声明がトロピコ内の貴信徒（いると仮定して）ではなく、トロピコ全体に向けられたものであることは明白だ。
仮に贖宥状購入が献金だとしても同国民の大多数が貴教を信仰している事実はなく、異教の民に献金を迫っているわけである。
戦乱に乗じて異教徒から献金を迫る姿が貴団体の考える信仰だというなら我々は同意しない。
また３０兆という提示額は国家予算に匹敵し、対象がトロピコ政府以外しか想定できず、そうならばより問題だ。
つまり、これは貴団体によるトロピコの財政を破綻させ、来るべき戦後復興を妨げようとする悪魔に等しい試みではないか。
大いに世界を不安定にするものであり、アルビオン国教会を我々は世界に告発する。

アルビオン連盟王国議会が広報にてこの質問状を宣戦布告に等しいなどと批判を発しているが、全く的外れである。
よりかみ砕いて問題点を整理して置きたい。

本件における最大の問題点はアルビオン国教会が戦争の渦中にあるトロピコ政府に対し30兆Vaもの献金（贖宥状購入）を求めていることである。

トロピコ国民はアルビオン国教会に属する信徒ではなく、アルビオンの国教を信仰するものでもないのであるから、トロピコ共和国及び同国民が国教会に贖宥状を求める信仰上の理由がない。
にも拘わらず、何の信仰関係のないトロピコ共和国及び同国民に対しアルビオン国教会が贖宥状を購入しなければ国家の罪は許されないなどという要求をすることは非常に脅迫的であり、信仰の自由を甚だしく侵害する行為である。
これはもはや単なる道徳的な問題を越え、国教会による信仰迫害とも捉え得る重大な国際犯罪に相当する疑念がある。
我が国並びに議会はこれを指摘し、質す意図を以て国教会に質問状を出したのであって、アルビオン連盟王国に宣戦布告する意図もなければ、連盟王国そのものを批判したこともない。
しかし、連盟王国が国教会を擁護し、我が国の質問状を宣戦布告に等しいとまで主張する立場であることが自らの議会の広報を以て明らかとなった。
したがって連盟王国と国教会を同一的存在と看做し、我が政府と議会は質問対象を国教会ではなく連盟王国に変更して通告することを決定した。

連盟王国は国教会によるトロピコへの信仰迫害にも等しい行動についてどのような理由を以て正当化できるのか、簡潔かつ理論的に弁明する責務がある。

以上

セビーリャ教皇庁に関して

先ほど報道においてセビーリャ共和国による我が国に対する断交が審議されているようだ。
先述通り、我が国及び議会が質問状を向けた相手は教皇庁及び国教会であり、問題は二つの団体による行為だったが、どうにもアルビオン及びセビーリャともに国家的に贖宥状を交付して金銭を得ようという試みを行っていたようである。
つまり国際問題だ。

特にここに反論のための窓口が開かれていながら、ただの一言も発せず断交議論を決め込んだセビーリャ共和国には困惑を通り越し、怒りを表明する。
提示された疑惑に対して黙殺を敢行する同国の姿勢は同国が国際問題に対し真摯な外交によって解決する意思を放棄すると宣言するに等しく、国際社会の一員としての資格が欠落していると言わざるを得ないだろう。
改めて通告する。断交を議論している時間があったら、この質問状への回答を用意すべきである。

この質問状を以て解決に至らないならば新たな行動を実行する。

【セビーリャ十字教会教皇庁外務局エルナンド・ネメシオ・カルリージョ大司教】

　贖宥状には効能がある。これを信じ購入する者は救われ、信じざる者は地獄に落ちる。ということをトロピコの民に助言し、救いの手を差し伸べるという宗教の役割を果たそうとしたまでである。また、貴国は"イスラム教"を政府の独裁政治の正当化に利用したという事実がある。
　このような宗教の役割を否定する貴国の行動はセビーリャ・カトリック教徒のみならず全キリスト教徒、全宗教家に対する重大な挑戦である。
　我々セビーリャ十字教会およびセビーリャ・キリスト教民主同盟は貴国を強く非難する。　貴国およびボアーズィチィの民は自身の過去を反省し悔い改めようと思うのであれば神は貴方達を許します。すぐに大聖堂建設のための贖宥状を購入しなさい。さもなければ貴国は地獄の業火で焼かれるだろう。