レゲロ・ヴェールヌイ間の相互協力条約交渉会場

宛　レゲロ社会主義人民共和国　軍政当局（レゲロ人民民主共和国　国家改造委員会）

まず、諸君らがレゲロ領域内における主権を代表するというのならば、掌握の状況、旧政府幹部の所在を明らかにし、ならびにレゲロ人民から信託を得るに相応しい能力を有することを、客観的に証明しなければならない。

政務顧問に関しては前向きに検討することとし、派遣準備に着手するが、先立って調査団を派遣し、上記に関する監査を行う。また治安状況についても不安定、不明瞭であるため、我が国の軍部隊の首都レゲロニア近郊への駐屯を認めるよう強く要請する。

また、我が国に駐屯するレゲロ軍部隊は、旧政権下において派遣されたものであり、政変が宣言された今、改めてその帰属を明らかにしなければならない。かつ、我が国の判断により、駐留軍は一時的に武装解除される。
すでに地上軍部隊は駐屯地を包囲、警備行動を行っており、時期には武装解除（駐屯地取り壊し）に取り掛かることを通告する。

我が共和国の国営報道機関からの新政権の声明が報道された通り、我々が国営放送を始め、首都一帯の主要政府機関を支配下においているものである。
加えてエルノーク前大統領の身柄は病院内で確保されており、その他旧政権閣僚も自宅軟禁状態にある。

これらの証明は貴国からの調査団受け入れを以て証明することとし、我々は調査団の受け入れ及び新たなる駐屯軍の受け入れを了承することを通達する。

また我々の決起は、いまや軍全体の総意として行われているものになっていると言える。
よって貴国内の駐屯軍も我々の指揮下にあり、貴国の命令のもとに行動するよう指示を出せる状態にあるものである。

受け入れを了承していただいたことを受け、調査団を派遣し、検証を行うこととします。
既に武装解除が実施された共和国国内レゲロ軍部隊についても貴政権の統制下であったとの事であるが、我々としては国内治安維持に万全を期す観点から、これを一定期間継続することとする。調査の進展と貴政府の今後の対応如何により、監視解除、また希望するのであれば再駐屯を認めるものとします。我が国は依然として相互協力条約を堅持する立場であることを合わせて確認、表明します。

また調査と並行し、政務顧問の派遣を我が国が実施した場合に備え、実際の規定についても話し合いたい。

貴政権が示した旧政権からの方針転換については概ね支持するものであり、またあくまでこの改革の主体は当然のことながらレゲロ人民によるものでなければならず、我々が指導権を握ろうなどという意思は皆無である。
しかしながら、政変間もなくの混乱期のなか、外部情勢は逼迫しており、ノイエクルス連邦にしても貴政権に対してどのような立場をとるか、現時点では予想しえない。
貴政権は、我々の調査を受け入れ、かつ軍の首都近郊への駐屯も認めたわけであるが、我々が政務顧問を派遣した場合、その監督範囲・役割と権限についてどの程度のものを想定しているのか?

貴国の政務顧問における監督範囲と権限についての返答であるが、我々は全範囲における政務機関においての指導と協力を必要としており、我が国における全政務機関に設置されることを希望する。

ヴェールヌイ顧問団は各政務機関の職務全域において監督権を有し、我々はこれを保証する。
これに伴い、各政務機関は顧問団の指導に従う義務を有するものとする。

迅速な返答に感謝する。
また同時に、調査団による報告及び軍部隊が迅速にレゲロニア近郊に展開した事実を受け、我が国は貴政権が、現時点においてレゲロ社会主義人民共和国を継承、代表するものと認めることとする。

顧問団は、各政務機関の職務全域において監督権を保証され、各政務機関は指導に従う義務を有する。

これは既に貴国が我が国の管理下に置かれることと同義であると理解する。
畏れながら、今や共和国は社会主義世界において最も安定し、進んだ社会構造を獲得している事を自負するものであり、貴国が人民本位の民主国家を建設する意思を有する限りにおいて、共和国が今日までの社会主義建設事業で得た知識と経験を活かし、共同でこの建設事業にあたることもできよう。
ただし、承知のように、我が国は依然として小さく貧しい国家であり、日々懸命に国家と党を守り、人民生活を高めるための闘争を繰り広げる只中にある。名目経済指数においては貴国より低い水準にあり、また軍事力に関してもおそらくそうだろう。
貴国が共和国の管理下に置かれた場合、我々は支援の手を、その必要がなくなる最後の日まで緩めることはない。しかし、万が一他国によって、貴国の主権と権益を、根本から収奪しようとする策動が行われた場合、我が国はその能力からして、これを防衛しえないということを理解されたい。これを承知の上で、貴国が我が国の管理下に置かれることを望むのであれば、必要な条約草案を提出することとしたい。

貴国の立場を理解し、誠実なる返答に感謝する。

我々は貴国の考える条約を検討し、また受け入れる姿勢であることをお伝えする。

では新条約を今夜にも発表することとし調印式まで行いたく思う。また調印式の場で、今般のミサイル問題に関して、ノイエクルス連邦をはじめ、世界に向けて声明を発表することとする。

条約草案及び声明については既に貴国に別ルートにて提示済みであるから、希望修正点があれば早めに連絡願いたい。