石動第三帝国・スコッチランド共産主義同盟間首脳会談

596年3月1日　石動第三帝国山岡府室満京市公方府庁舎にて本会談は行われる。

足利晶子「石動へようこそ、カーク・メイ革命評議会常任幹部会議長閣下。征夷大将軍の足利晶子でございます。この度貴国との首脳会談の場を設けられたこと、大変嬉しく思います。本日はどうぞよろしくお願いいたします」

（メイ議長歩み寄りながら）
カーク・メイ革命評議会常任幹部会議長「初めまして将軍閣下、こちらこそお会いできて光栄でございます。本日はこのような盛大なお出迎えをしていただき感謝に堪えません。この会談が両国にとって実りあるものにしたいものです。さて、本題に入る前に我が同盟からお土産を持参いたしました。スコッチランド名物黒ワインです。国際市場には出回っておりませんので閣下にぜひ味わっていただきたくお持ちしました。今宵の晩餐会にご賞味ください。

さて、今回訪問したのは一つは両国間の貿易関係についてです。先日双方で合意した燃料取引の件で、貴国担当者の手違いでこちらの合意を得ずに取引価格を設定されてしまったことは当方としては遺憾ではありますが、しかし昨今国際燃料相場が高騰していることには深く憂慮しております。ここに至っては、両国間資源相場の安定のため、また、両国のさらなる友好深化のため、FTA自由貿易協定を結ぶことを提案します。すなわち、両国間の取引価格をあらかじめ設定し、価格抑制を行います。これによって、貴国は国際的な資源争奪戦とは一線を引くことができますし、我が同盟にとっても安定した取引先ができるというメリットができます。

もう一つは、20年ほど前まで行われた貴国の内戦で敗れた反乱勢力の残党を名乗る50代の男が我が同盟領域内で爆弾を不法製造した罪で逮捕されたことを報告いたします。容疑者は一貫して黙秘を貫いていますのでこれが残存している組織によるものなのか、容疑者の個人的な策動なのかは判別しません。いずれにせよ、他国にて武装解除されていない残存兵が発見されたというのは国際的なテロ活動も行いかねないため、早急な捜査が必要と思われます。なお、容疑者の身柄は貴国の要請があればいつでも引き渡しは可能です。
そしてもうひとつはお伺いしたいことがあるのですが、貴国はノイエクルス連邦との関係断絶後、かの国と関係の深い大和寧との関係が非常に深いと聞き及んでおります。これからの貴国の外交政策の基軸となる方針はどのようなものになるのかお聞かせください。」

足利晶子「あら、黒ワインですか！噂には聞いていてので、一度飲んでみたかったんです。ありがたく頂戴いたしますね。

なるほど、その節はこちらの担当官の手違いでご迷惑をお掛け致しました…。FTAのお申し出、大変ありがたく存じます。特に貴国は貴重な産鉄国でもございますし、我が国にとっても非常に有益な結果になると思います。すばらしいご提案に深く感謝申し上げます。

南朝の残党ですか…。確かに新田秋穂を中心とする南朝強硬派は秋津州南方へ逃れたという情報もありますし、よくよく調査しなければなりませんね…。ご連絡感謝申し上げます。その男については是非引渡しをお願いいたします。こちらで素性や身分などを詳しく調べる所存です。

我が国の今後の外交指針に付いてですが、確かに現在ノイエクルス連邦とは現在事実上断交状態にはありますが、我が国としてはそもそもの原因である同国との外交軋轢ももはや風化してきているとする風潮もあり、また経済協定及び軍事協定の脱退要件を無視した一方的な破棄についても、今となっては伝統ある法治国家あるまじき行動だったのではなかったのかという認識が公方府内でも支配的でして、私としても叶うのであれば同国との国交正常化を行いたいと考えております。
今後としましては我が国は大和寧帝国との銀・商品貿易による相互互恵によってより一層の発展を志向しており、また今や先進国の一翼を担う国家として、あらゆる国際平和と安定を脅かす問題にも積極的に関与し、先進国としての国際社会における責務を果たすべき時が来たのでは無いかと考えております。」

カーク・メイ議長「喜んでいただけて幸いです。

FTAの詳細な内容については事務官レベルの協議にて決めましょう。

押収した身分証によると旧南朝軍の高位の将校とのことで、我が同盟にてテロを起こすものだったと思われます。国際テロ組織と化す可能性もありますのでそちらで押収している資料との照会もお願いします。

ノ連は少々強引な政策を行う国ですが、長期にわたってパワーバランスによる国際平和に貢献してきたのは間違いないと思います。かの国との友好を拡大することは悪いことではないというふうに思います。

併せて、国際情勢の認識について追加でお伺いしたいのですが、（周りを見渡しながら）ここから先はオフレコでお願いしたいのですが…我が同盟はアルドラド帝国に対して大々的な批判キャンペーンを張っておりますが、あれは表向きには人道的な理由の為だけということで行っておりますが、実際はもう一つ背景があります。かの国は燃料輸出国でありながら、他国から安価で燃料を買い上げ、そしてそれをプラスアルファして売ることによって利益を上げております。しかしそれは国際的な燃料相場を不当に上げ、国際経済にとって非常に大きな障害となっております。そのため、それを防ぐ目的で、かの国に自給を目指させるため、民主化要求と先日の制裁に踏み切った次第です。しかし見た限りあまり効果はなかったようで、非常に救いがたいですな。とまあ我が同盟の見解は以上ですが…貴国はアルドラド帝国について如何に思われますかな？」

足利晶子「承知致しました。ここから先はオフレコという事で。

なるほど、アルドラドが燃料の中継貿易で利益を得ていると…すぐに断定出来ることではありませんし、詳しく調べてみる必要がありますが、もしこれが真実であれば、アルドラドは人道を無視した国民弾圧に加え、国際的な経済秩序を乱し不当な利益を得るという、国家として許しがたい余罪を抱えた事になりますね…。
昨今同国はようやく指数40まで整備したインフラを放置し、盛んに植林を行っているようですが、アルドラドが未だに秘密警察を有し軍事情報を秘匿している状態では、本当に植林が行われているのか分かったものではありません。もしこれが極秘ミサイル基地の建設であろうものなら、国際社会はかの国に対する大きな失望を禁じえない事でしょう。

そもそもインフラという国民の最低限の幸福条件を無視して民衆を搾取した上でアルドラドは現在の歪な大国像を手に入れた訳ですから、インフラの十分な拡充と民主化は本来同国が自力で行わなければならない筈です。それをガトーヴィチ帝国から資金の定期援助まで受けておきながらインフラ整備や民主化を放置し軍事訓練やミサイル基地建設を行っているとすれば、同国は不審どころではなく明らかな「野蛮」と評さなければならないでしょう。
以上が簡単ながら、我が国の同国に対する「非公式な」評価となります。」

カーク・メイ議長「貴重なご意見ありがとうございます。まさしく我が同盟と全く見解を等しくするものであります。貴国とは良い関係が築けることが確信できました。アルドラド問題に関しては今後とも「非公式に」共同歩調を取りたく思います。

さて、本会談において公式に合意に至った事項を各国に対して声明を出したいと思いますがコミュニケ（共同声明）という形式で発表したいと存じます。」

足利晶子「そうですね、後日共同声明を発表致しましょう。
では、会談は以上ということでよろしいでしょうか？」

カーク・メイ議長「そうですね。スムーズに合意に至ったことで、ビジネスはここまでにしましょう。声明文は大方こういう者になります（下記参照）残りの日程は観光と視察になっておりますので帰国までゆっくりとしましょう。晩餐会でまたお会いしましょう。」

石動第三帝国政府とスコッチランド共産主義同盟政府の共同声明

一、石動第三帝国政府とスコッチランド共産主義同盟政府は、相互の主権を尊重し、将来その交流をより活発化させていく。両政府は、右の諸原則の原則に基づき、石動及びスコッチランドが、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。
二、スコッチランド共産主義同盟政府は、旧南朝勢力掃討に主権尊重の原則の許す限りの範囲でこれに協力する。
三、両政府は相互に国際社会においてより平和的な外交関係を築けるよう協力する。
四、石動第三帝国政府とスコッチランド共産主義同盟政府は国際的経済秩序の安定及び、国際経済のより一層の発展を目指すべく、自由貿易協定の締結に向けて協議する。
五、石動第三帝国政府とスコッチランド共産主義同盟政府は、その他世界人民の平和と正義と人道の為に貢献することを約束した。

596年3月1日石動第三帝国山岡府室満京市公方府庁舎にて

（署名欄）

足利晶子「本日はまことに有意義な会談が出来ました。ありがとうございました。残り二日間はゆっくりと石動をお楽しみください。
そうですね、この声明文で問題ありません。早速署名致します。」

源正二位征夷大将軍足利海防一女晶子（花押）

「では、晩餐会でお会い致しましょう」

カーク・メイ議長「ありがとうございます。今後とも良い関係を。」

革命評議会常任幹部会議長カーク・メイ