宇宙平和利用に向けた共同声明

先の戦争終結から30周年を迎え、我々は改めて戦争による犠牲と向き合うべきだろう。
愚かな侵略主義者の口車に乗せられ、数千万の市民を犠牲にし焦土を生み出した戦争を決して忘れてはならない。
そしてその戦争において強力な宇宙兵器が都市に向けられ、多くの市民が無差別攻撃の犠牲となった事も、
我々は忘れてはならない。

戦後30周年という契機を迎え、一歩前進するときが訪れようとしている。
我々は宇宙技術の平時、すなわち怪獣退治などにおける有用性があまねく世界に行き渡ることを望んでいるが、
同時にこれが戦時下において、決して兵器として利用されないことも望んでいる。
故に我々ノイエクルス連邦、そして宇宙平和協力条約原加盟国であるティユリア連合王国、成蘭連邦王国の
善良なる市民はここに改めて宇宙平和協力条約への参加を各国へ呼びかける。
我々の呼びかけが全世界における宇宙平和利用の礎となることを期待している。

ノイエクルス連邦外務評議員　カルラ・ベルガランサ

［連合王国外政大臣　マヌエル・アンゲロス］

貴国の呼びかけと共同声明の起案に深く敬意を表します。
我が国や成蘭連邦王国が共同署名していない現段階では、共同声明「案」ということでよろしいでしょうか。

さて、文案を拝読致しました。
共同署名の前に確認しておきたいことがございます。

「愚かな侵略主義者の口車に乗せられ」という表現ですが、主語は誰でしょうか。
（誰が口車に乗せられたのか）

貴国と我が国とは先の戦争の当事国同士です。「外交努力不足を反省」すると確認した講和条約の精神に逸脱しないためにも、慎重な表現が必要であると考えます。我が国は悲しい歴史を共有する貴国との間に、小さなものであれ食い違いが生じてしまうことを望んではおりません。

親愛なるマヌエル大臣、もちろん貴国らが署名した段階でこれは共同声明となります。

まず過去の戦争についてですが、各国を唆し武力行使に合意させた国がありました。
そして共同で先制武力行使をおこなうことを全世界に対し宣言してしまった哀れな人々、
この哀れな人々が「口車に乗せられた」と言えるでしょう。
具体的にどの国が当たるかは当時の記録から思い描いていただくほかありません。

外務評議員閣下の丁寧な御回答に感謝申し上げます。

閣下のお言葉を頂いて思うのは、戦争の責任を一国や一指導者に押し付けているのではないかということです。
戦争に至るまでの外交努力の不足こそ、われわれが講和条約において反省している点です。それゆえに、貴国が宇宙平和協力条約の精神を世界へ呼びかけているものと解しておりました。

特定の国を想定してあげつらうことには諸手を挙げて賛同できないことをお伝えしておきます。
閣下からの更なる御回答と成蘭連邦王国の意見表明を待ってから、共同署名に進みたいと思います。

我が国としての意見を申し上げたいと思います。

大戦の歴史認識と宇宙の平和利用は結びつける必要がありません。二度と宇宙兵器が使われぬよう呼びかけるのみで貴国の訴える趣旨は十分伝わります。

宇宙の平和利用を訴えるのであれば、「愚かな侵略主義者の口車に乗せられ、数千万の市民を犠牲にし焦土を生み出した戦争を決して忘れてはならない。」は削除するかないしは大幅修正が必要かと存じます。

後段に関しては全面的に賛成します。しかし、歴史認識と宇宙の平和利用を無理に結びつけるのであれば、我が国として署名に賛成することは致しかねます。

後段だけでは無味乾燥も良いところでしょう。
あまねく世界へ恩恵がいきわたる事も大事ですが、戦時下において宇宙兵器による無差別大量破壊がどれほどの市民を犠牲にし、焦土を生み出したのか、これは決して忘れてはならないし戦時下に利用を絞る大きな理由です。

ひとまず後段については異論なしということでよろしいでしいですね？

後段については異論ございません。

我が国も成蘭連邦王国代表の意見に同意します。前段については削除ないしは修正が必要であると存じます。

閣下の言を借りれば、「あまねく世界へ恩恵がいきわたること」こそ重要です。

後段については修正する必要はないと存じます。

前段に関しては、修正案を提案します。

「先の戦争終結から30周年を迎え、我々は改めて戦争による犠牲と向き合うべきだろう。また、数千万の市民を犠牲にし焦土を生み出した戦争を決して忘れてはならない。
そしてその戦争において強力な宇宙兵器が都市に向けられ、多くの市民が無差別攻撃の犠牲となった事も、我々は忘れてはならない。ここに、我々は宇宙兵器が大量破壊兵器として二度と使われぬよう世界各国に呼びかけるとともに宇宙平和協力条約の原点が宇宙の平和利用にあることを再確認する。」

我が国は成蘭連邦王国の修正案を支持します。

共同宣言のため、我が国も成蘭連邦王国の修正案を支持します。