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Re: ザイナル・エージェンシーのゴミ箱

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なし Re: ザイナル・エージェンシーのゴミ箱

msg# 1.1
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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2014/8/3 14:50 | 最終変更
ゲスト    投稿数: 0

~民主化前夜~

 協議会議長室って意外に狭かったんだな。ルブト・アクシナーは積まれた書類を片付けながら思った。
 537年5月末、クシミニャール民主化選挙で国民党は第二党となった。国民党初代党首フェルガナ=パシャは、八年以上にも渡る政府首班の座から降りたのである。ベイオールにある真新しい議長室も明日には首相室。フェルガナ=パシャ一人で片付けるのは大変であるため、アクシナー議員はこうして埃にまみれた書類を搬出しているのだ。
 当のフェルガナ=パシャは議長室の片隅でクラシック音楽を聴いていた。――別に怠けている訳ではない。寧ろ、一人で片付けようと無理をした結果を、腰にあるコルセットが雄弁に物語っていた。
 「まだかかりそうかね。」お気に入りの『トゥオネラの白鳥』を聴きながら、フェルガナ=パシャは呟いた。
 ルブトはため息をついた。「私の娘がベイオールアイスを楽しみにしてまして。」再びルブトは書類をファイルに挟む作業に取り掛かった。「店が閉まるのは何時でしたっけ。」
 フェルガナ=パシャも大きくため息をついた。いや、私だって好きでこうしてる訳じゃないんだけどね。まあ、もう少ししたらムノーリシュ君あたりを呼ぶか…。そう思った時、ふと、海外の新聞記事が目に入った。
 先進国の文化に関する記事である。華やかで、目のひくものが多い。我が国も明日からの規制解除で変わっていくのだろうか。のんびりとした風景は失われ、艶やかな都市文化が醸成されていくと考えると、自分のしてきたことの功罪というものも、次第に浮き彫りになるのだろう。
 うとうとしてきた時に、丁度音色が高く響いた。反響するメロディは、より議長室の狭さを感じさせた。

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