先頃政府の国教会統括委員会の総務局長であられるオウル総主教猊下より、「近頃の人口の着実な増加にもかかわらず、教会のミサへの参加者は少しずつしか増えていない。どうしたことだ。」とのお問い合わせが我が省のほうにございました。
そこで、国教会以外を管轄する諸宗教局が調査に当たったところ、ゾロアスター教徒の地下教会の存在が明らかになったのであります。構成員の一人を尋問したところ、民国出身者でありました。

話の途中ですまないが、民国とはどこのことだろうか？

我が國は建国まもなく、体制も未だ不安定であります。国家の秩序と安定を維持するためにも、国教会以外の信徒のコミュニティーは未だ認め難く、これ以上の信徒の増加を避けるためにも緊急にアヴェスターの発禁を決定したのであります。
我が國が発展して体制が安定した折には、信教の自由を認める用意がありますが、現段階では国教会体制の変革は認められないというのが内務省の方針であります。

新夏社通信記者の孫中木と中夏の声新聞社の曹啓嶺です。懇談会への出席を希望します。

中夏民国出身者でした。正確には華夏人民共和国の出身者であります。おそらく内戦期の亡命者が回りまわって我が國にたどり着いたのではないかと思われます。

もちろんです。ぜひご出席ください。

以上であります。

次に聖マズダー教国の方お願いします。

そちらの話を要約すると、国の発展のために国教会以外の宗教勢力の拡大を防ぎたいから、アヴェスターの発禁処分をしたということになる。
これは言いかえれば、国家の利益のために少数派の弱者を虐げることにならないだろうか?
地下教会という話だったが、我々協会は関与しておらず、自然発生的なコミュニティだと考えられる。貴国は異教徒であるからと言って国民の生活まで束縛するのだろうか？
我が教会は現在、スオミ王国での布教活動の予定はない。しかし、貴国の宗教観に危機感を覚える。

また、我が国はそのような非近代的な思想を持つ国とは国交を持つことができない。貴国がアヴェスターの発禁を撤回し、思想の自由を保障する近代国家たることを望みます。
以上です。