「ユダ13世聖下永眠」

492年10月30日午後2時13分、正午の祈祷を終え自室に戻る途上に総主教聖下は突然の心臓発作で帰らぬ人となった。

享年69。

ユダ総主教は485年9月に着座以来7年間精力的に各国への布教活動を行われ、また、平和活動も活発に行われておられ、信徒の模範として常にその姿をお示しになられていた。

新総主教が決定するまでの間、ベールシェバ府主教イオアン・アブラハム・レヴィールが総主教代行として政務を執ることになる。総主教選任は各国の正教会から代表を送り互選による選挙で決定される。

コンポとの講和会議も始まったばかりのこの時期の急逝は非常に悔やまれるところであるが、教会は聖下が神の元に召されることをただひたすら祈るばかりである。永遠の記憶。「アミン」



「アクアマリン王国政府、大戦勃発の全責任を放棄して逃亡」

アクアマリン王国が突如として崩壊し、政府要人は一目散に逃去った。

この第一報を伝えたのは在アクアマリン教会府主教座勤務の神父である。

アクアマリンは今次大戦に於いてATO諸国を焚き付けてノイエクルス・幹国の市民大量虐殺に加担した国家である。

そのアクアマリンが「徹底的に叩くだけが勝利ではない」などとのたまう。どの口が言うのだろうかと憤りすら覚える。

そして戦争を計画したアリス・エアリーヌはノ連軍の攻撃に抵抗する国民を置いて大量の財宝とともに何処かへ逃亡したという。自分勝手且つ非人道的な、と普通ならば非難囂々であろうが、そもそも「少女王」などと言って子供に政治などさせる方がおかしいのだ。きっと彼女はゲーム感覚で諸国民を戦争に巻き込んだのであろう。

もし「世界を動乱に導いた一切の指導者」が存在するとすれば、この無能且つ傍若無人な子供、そしてそんな子供に政権を握らせたアクアマリン政府中枢である。

世界市民はこの非道な国家を未来永劫忘れないであろう。





「教会、ミッドガルドへの燃料輸送停止」

教会は未だ幹国への爆撃を続けるミッドガルドへの燃料輸送を停止した。

これによって教会の資金源は激減したわけであるが、レヴィール総主教代行は「もし教会が許したとしても主はお許しにならないであろう」として反対派を抑えて燃料輸送停止に踏み切った。

ミッドガルドはこれに対して抗議をしたものの、「ポツダム宣言以下の悪文たるアドリア宣言」を教会が徹底的に非難したのに対して有効な反論を行えず、教会に講和仲介を依頼してきた。

総主教代行は「アドリア宣言を一旦白紙化し講和を行う誠意があるのであれば講和仲介に応じる」など平和回復への意欲を見せている。