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5月 04 (金曜日) 2012 | ||
【社会】マルクス教授退官記念論集 | 15:19 | |
【社会】マルクス教授退官記念論集 フリューゲル暦408年5月27日、ケーニヒスベルク大学経済学部教授マルクス氏の退官を記念した論集が発表された。 マルクス教授は経済学部に籍を置きつつも、国家と経済の発展とそれに伴う社会の変容を捉える歴史学者としての活動が 一般的に有名であり、本論集も社会学的視点を基礎とするものである。今回は特別な許可を得てその一部を掲載する。 ~国家・経済の発展と社会的変容――都市化の影響を中心に~ 経済発展、特に商業化の進展は必然的に現代都市の建設を伴うものである。現代都市は巨大な労働人口を必要とするため、 都市周辺部には労働者層が居住する近郊住宅地が形成される。商業発展が進展すれば都市の人口が農村部の人口を上回り (都市化)、これは様々な社会問題を生起させる。特に幸福度の低下は顕著に表れるが、それは一体何故だろうか? 1.共同体社会の崩壊 農村から都市への移行は社会環境の著しい変容を意味するものである。特に農村共同体の解体はその最たるものであろう。 農村における人々の生活は、様々な慣習に縛られるが強固な人的結合、自律性を特徴とする。 人々は共同体のルールからの逸脱は許されないが、互助や資産の共有によりある程度の生活を保障されるのだ。 これが都市では崩壊してしまう。農村では当たり前だったことが都市では出来ない。以下に例を挙げてみよう。 農村では生活必需品の多くは共有されている。例えば、調理や暖を取るのに必要な燃料は共有地からの採集が可能であり、 大型の鍋やかまど等の調理器具は“一家に一台”ではなく、特定の場所、人物の下に置かれ、必要な者が必要な時に“使わせ てもらう”のである。ところが都市には共有地など無く、必要な物は“自分で買う”ことになる(生活の商業化)。 また、農村では村の住民は互いに顔を知っており、当たり前のように他人を助け、自分が困ったときには他人の助けが期待 できたが、都市ではこの前提も崩れる。このため都市の人々の生活は農村のそれと比べて著しく不安定となるのだ。 これに失業や低いインフラ・教育・社会保障制度による危機が重なれば幸福度は壊滅的な数字となり、暴動が頻発するだろう。 2.低水準のインフラによる衛生環境悪化 一ヶ所に多数の人間を集めると食糧不足や排泄物の処理など様々な問題が発生する。これを解決するにはインフラ整備が 不可欠であるが、これが不十分だと悲惨な状況に陥る。その一例としてエンゲルス氏の著作『プロシャにおける労働者 階級の状態』(レクラム出版 404年)から氏が本論集に一部を掲載してくれたので併せて御参照頂きたい。 ここでは詳しくは述べないが、低水準のインフラによる被害の一例として上下水道の不備による疫病の流行を取り上げよう。 最近になってインフラが改善されるまでプロシャでは首都近郊や工業都市でコレラが大流行していた。 河川の汚染の凄まじさを語る風刺画 下水道が整備されていなかった当時のプロシャは工業排水や糞尿混じりの水が 河川に直接流れ込んでおり、更に恐ろしいことに人々はその川の水を飲んでいた。 これは上下水道の不備により人々が汚染された水を飲み、コレラ菌を体内に取り入れてしまったためである。 同様に、プロシャの病院の記録を調査してみると工業排水中の有毒成分による「ミナマタ病」の症状を示す患者が 存在していることが現在明らかとなっている。 (中略) このように、都市化が社会に及ぼす影響は極めて大きいと言わざるを得ない。また将来もこの問題は人類につきまとう ものであるため、私は退官した後も研究を続けるつもりだし、下の世代も取り組み続けるだろう。 (編集者cruisより。本記事は箱庭のルールに則って記述したものです。時代が違うとか囲い込みを無視しているとか言われても“そうですね”としか言えませんので御容赦下さい(笑)) | ||
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