603年5月21日、正一位海軍元帥伊坂三依連合艦隊名誉永世司令長官閣下の国葬が帝都にて行われた。エルツ帝国よりクラウベル少将が参列した。国葬は16時の墓所への納骨を以て終了したが、直後石動東海において強い揺れが発生。東海岸において高波が発生したほか、播淡道・因城道の海上住宅が多数倒壊し、因城道造兵廠が施設倒壊により重大な被害を被った。死者・行方不明者は100万人に上り、ベルサリエーレ王国、成蘭連邦王国より支援物資が送られた。

　国葬直後の地震に人々は大いに動揺し、巷では「元帥閣下の祟りだ」「伊坂元帥が封印していた邪神が目覚めた」などの流言飛語が飛び交っている。

　将軍殿下は「地震の発生は全くの偶然です」と呼びかけるとともに、「被災者の救助及び復興を急ぐとともに、観測衛星などの修理を行い天災に対する一層の警戒を強める所存です」と仰せになった。



【国際】ラングラード=カルスで皇帝陛下ご崩御。第二皇子クーデターか。



　我が石動第三帝国と片務安保条約を結ぶ友邦であるラングラード=カルス帝国に於いて、皇帝陛下が崩御された。

　ここに於いてラングラード=カルス皇帝陛下が帝位継承を明らかにされず崩御された事から、同国に於いて皇位継承争いが激化、イールハイム第二皇子殿下によるクーデターが発生した模様である。

　同国の報道ではすでに帝都では火の手が上がっているとの報道があるが、今のところ詳細は不明である。第三帝国ラングラード=カルス派遣軍総司令官である今川沙代陸軍中将は「既に我国邦人及び各国駐留大使を安全地帯である我が軍の駐屯地へ保護した。帝都の状況は今のところ把握できていないが、恐らくイールハイム第二皇子の勢力が優勢を保っていると見られる」と語った。

　これを受けて洞院外務卿は「友邦であり我国が重要な権益を有している同国に於ける内乱は大事である。無用な内政干渉は国際情勢に於いても好ましくない事ではあろうが、もし事態が収束を見ないのであれば、帝国としても事態に介入せざるを得ないであろう」と語った。

　603年1月21日、海軍連合艦隊名誉永世司令長官、伊坂三依海軍元帥閣下が、原因不明の呼吸困難により息を引き取られた。

　伊坂閣下の生年は詳しく分かっていないが、彼女は少なくとも456年の菜良島奪還作戦に於いては既に海軍少将として艦隊の指揮を取っていた模様である。その後彼女は龍鮮戦争で友邦支援の為活躍したほか、第二帝政瓦解後には大幹帝国海軍元帥としてオセアニカ=アースガルド戦争（491年戦争）で芳しい戦果を収めた名将であった。

　歴史の表舞台に出て既に百数十年が経とうとしていた彼女はいつまでも若々しい容姿を保ち続けていたため、海軍将兵らは「妖怪」「海の怪物」と呼び恐れていたが、死期が近づいていた彼女は百数十歳の老婆の如く衰弱していたという。「まるでここ百数十年の時が一気に元帥閣下に降りかかったかの様だった」と、最期を看取った人々の一人である名和長政海軍卿は言った。

　伊坂閣下の逝去を受け将軍殿下は「伊坂閣下は百数十年もの間491年戦争や東方の諸戦役で活躍された名将でした。どれも私が生まれるよりも前の話ではありますが、閣下が我々石動人の民族的英雄であった事には変わりはありません。閣下が我ら石動人の悠久の歴史を守護して下さった事に感謝し、国民一同で彼女の死を悼みたいと思います」と仰られ、国葬の開催を明らかにした。

　公方府は国葬予定日を5月下旬と布告している。

　紀元190年（フ暦601年）12月1日より、7月11日に践祚された烏帽子皇帝陛下の即位の礼が帝都にて執り行われた。即位の礼に関わるすべての儀式は即位翌日の勅使発遣の儀に始まり実に半年間を要し、南北動乱期以降途絶えていた皇帝即位の礼を盛大に再興するに至った。即位の礼には12ヵ国の国々から出席者が集まり、皇帝陛下のご即位を祝した。

　以下は即位礼の日程である。



7月12日 賢所・皇霊殿・神殿に期日奉告の儀、參社皇太神宮・皇帝陵等に勅使発遣の儀

7月14日 參社皇太神宮・駿河宮皇帝・前四代皇帝陵奉幣の儀

7月18日 斎田点定の儀

7月21日 大嘗宮地鎮祭

8月1日 斎田抜穂前一日大祓（悠紀田：埴輪県埴輪市月田町）

8月2日　斎田抜穂の儀（悠紀田）

9月10日　斎田抜穂前一日大祓（主基田：加賀県高橋市備中川面町）

9月11日　斎田抜穂の儀（主基田）

12月1日　即位礼当日賢所大前の儀

同日 即位礼当日皇霊殿・神殿に報告の儀

同日 即位礼正殿の儀

同日 祝賀御列の儀（オープンカーでのパレード）

同日 - 3日 饗宴の儀

12月3日 園遊会・征夷大将軍夫妻主催の晩餐

12月4日 參社皇太神宮に勅使発遣の儀

12月5日　一般参賀

12月6日　大嘗祭前二日御禊・大祓

12月7日　大嘗祭前一日鎮魂の儀・同大嘗宮鎮祭

12月8日　大嘗祭当日神宮に奉幣の儀

同日 大嘗祭当日賢所大御饌供進の儀

同日 大嘗祭当日皇霊殿・神殿に奉告の儀

同日 大嘗宮の儀・悠紀殿供饌の儀

12月9日　大嘗宮の儀・主基殿供饌の儀

12月9日 - 11日　大饗の儀

12月10日　大嘗祭後一日大嘗宮鎮祭

12月12日 - 13日　即位礼・大嘗祭後神宮に親謁の儀

12月14日　即位礼

12月15日　大嘗祭後駿河宮皇帝・前四代皇帝陵親謁の儀

同日　茶会

12月16日　即位礼・大嘗祭後賢所・皇霊殿・神殿に親謁の儀

同日 即位礼・大嘗祭後賢所御神楽の儀

12月17日　皇帝陛下御即位記念祝賀会



　以下は各国からの出席者である（確認順）。

アリア連邦

　大統領閣下



エーラーン教皇国

　ゾロアスター3世教皇猊下

　イーゼンステイン教皇騎士団長閣下



成蘭連邦王国

　黒石治教国王陛下

　鴻池克剛駐石成蘭大使閣下



昭栄国

　山閤外交長官閣下



レゴリス帝国

　アプリル・ヴォルケンアンザムルング総統閣下



トリヴェント連邦

　三脳会議外交長閣下



スコッチランド共産主義者同盟

　カーク・メイ議長閣下他同盟代表団



ガトーヴィチ帝国

　リュボーフ皇太子殿下

　オゴーニナ為政院総理大臣閣下



ベルサリエーレ王国

　レーナ・アレッシア女王陛下

　ネリオ・パリーニ王国宰相閣下

　ヴィート・カッローニ外務官閣下



エルツ帝国

　ヴィクトリア・メル・エルヴァシウス女王殿下

　フランデル王サリオン・エル・イヨーテ殿下



ティユリア連合王国

　ヘラクレイオス2世・ティユリア国王陛下



ストリーダ王国

　シャルガーナ国王陛下

　クリスティーナ王妃陛下



　また即位の礼に於ける皇帝陛下の勅語は以下の如きである。



即位礼の勅語

朕惟うに本朝地球大八洲の弥栄の神皇が血筋を悠久の刻を共にし受け継ぎて既にして壱百九拾年の隔たりあり。而して朕此れが大器賜り皇祖大皇祖日本神皇本朝人皇が神霊の守護したる帝室の大統を継がんとする事を爾親愛なる臣民に告ぐ。

皇祖大皇祖に扶けられ本朝人皇が初め駿河宮皇帝国を建つること、俄かに弐百年に届かん。而して今朕かかる時局に皇統を継ぎ日嗣の霊前と賢所を守護するは本朝国史の大局にして負う所多し。

朕万世一系にして十善の帝たらんと欲し、而して内は社稷を悼み皇民を偲び世々人皇に悖らぬ大営を修め、外は万里の友邦と親しみを深め世相を安んずに社稷を供し以て帝国の栄業を輝かさんと欲す。而して爾皇民或いは稼業に勤しみ或いは公に奉じ国法を護持し朕が第一の臣下が幕下に凡ゆる精華を集結し以て皇土の弥栄一層輝かさんが為朕と心を一にしてこれにあたるべし。



　即位の礼を以て皇帝陛下の践祚は無事内外に示された。これを以て公方府は軽犯罪者200人に恩赦を出すと共に、皇帝即位記念金貨・切手・絵はがき、恩賜の煙草、皇帝即位礼出席記念章を頒布した。

　601年（紀元190年）7月3日、畏くも皇帝陛下は皇太女烏帽子宮殿下へのご譲位の天気を仰せ給われた。よって7月11日、ただちに八代帝ご践祚の義が宮中にて執り行われ、烏帽子宮皇太女殿下が八代皇帝に践祚なされた。

　このご譲位は真備宮上皇陛下ご崩御を受けてのものと思われ、践祚の義ののち後真備宮皇帝陛下は太上皇帝陛下になられ、お住まいを仙洞御所に移された。

　畏くも烏帽子宮新帝陛下は「朕を以て八代続く石動皇帝家の名を汚さぬよう努めたい」仰せになられた。



　この践祚について、柏宮流皇帝家の烏帽子宮皇帝陛下が践祚されたことは、南北朝動乱終結時に柏宮家と近江宮家で交わされた皇位継承に関する約定に背いているとの批判がなされたが、勧修寺宮内卿は「長押宮殿下のご長女である瓶宮殿下はご病弱であり、皇帝陛下としての国事に耐えられぬという判断により、烏帽子宮陛下が践祚なされる事となった。恣意的な意図はなくやむを得ない事情であり、長押宮殿下・瓶宮殿下も了承しておられる」と語った。



　またこれを以て12月1日より即位の礼が執り行われる事が決定した。



【文化】スオミ王国より亡命したChildren of Botom,Sonata Arkticalら初の「亡命ライブ」



　崩壊したスオミ王国より亡命したメロディックデスメタルバンドChildren of Botom,パワーメタルバンドSonata Arkticalらが、601年7月12日、笠岡スーパーアリーナにて「亡命ライブ」を決行した。





Children of Botomによる演奏の様子。



　本来この「亡命ライブ」はフ暦600年に行われる予定だったが、真備宮上皇陛下ご崩御を受け自粛されていた。



　動乱期以降HM/HRの人気が高い我が石動では彼らの演奏を聴こうと一万人以上のメタルファンが押し寄せ、会場は大混乱となった。Children of Botomのヴォーカル、アレキシ・ライホネンが姿を現した際は、会場から黄色い声が聞こえた。



　ライブを終えChildren of Botomのアレキシ・ライホネンは「国は滅んだが俺たちCOBは不滅だ！イスルギはまさに俺たちの新天地だ！ありがとうイスルギ！」と述べた。

　600年（紀元189年）5月12日、真備宮太上皇帝陛下は、室満京仙洞御所にて崩御なされた。心臓麻痺によるご崩御であらせられた。

　南北動乱の最中、皇統と国体の護持にその御玉体を酷使あそばされた上皇陛下のご崩御に、帝国臣民4800万は悉く悲哀の涙を流した。

　上皇陛下御大喪の礼は600年7月30日に執り行われ、四カ国から代表が出席された。以下は参列者である。



我国

　後真備宮皇帝陛下

　足利顕子征夷大将軍殿下

　ほか皇族方々、公方府閣僚級職員、四軍高官。



ベルサリエーレ王国

　レーナ・アレッシア女王陛下



ガトーヴィチ帝国

　リュボーフ皇太子殿下



スコッチランド共産主義者同盟

　ハーター・ラーク首相閣下御夫妻



ストリーダ王国

　フェリックス王太子殿下



成蘭連邦王国

　黒石治教国王陛下

　伊村勝雄首相閣下



　御大喪の礼に於いて、皇帝陛下は次のような御誄を披露された。



「後真備宮慎みて

皇考の神霊に白す

皇位に座しては乃ち禁裏より民草を慈しみ、皇位譲ららば乃ち仙洞より社稷の在実を憂い、或いは和漢古格を手解かるる大恩、或いは共に南島に於いて逆賊の辱めを共にせらる辛苦、御霊柩を見送る今ぞ回顧さるるは哀れなり。縦い人皇の定めとは言えども、嘆かぬ民草無し、哭かぬ百官無し。嗚呼悲しい哉」



　大喪の礼は無事終わり、上皇陛下のご遺体は帝都近郊の御陵に埋葬された。