（写真：帝都に入城する皇国義勇軍兵士らとされる写真）



556年2月16日、吉備皇国義勇軍は、敷倉県と山岡府の県境に位置する中庄で北朝鎮圧部隊を返り討ちにし、遂に帝都へ侵攻。帝国陸軍、直参親衛軍、首都警などが必死の防衛戦を行い、また滞在中の大幹帝国海軍海防隊のエーリカ海防一尉も知らせを聞いてすぐに海軍機で加勢し、実に１２機の反乱軍機を撃墜するという輝かしい戦果を納められたのだが、そうした健闘もむなしく遂に2月21日、帝都は反乱軍に占領されてしまった。

　尊子将軍殿下、皇帝陛下、太上皇婿陛下ほか主要閣僚らは辛くも帝都を逃れ津山市に臨時大本営を置かれた。

　556年1月、飯島商工卿はエーラーン教皇国鎖国に伴う大幅な歳入減を示唆した。

　昨今の帝国経済はCAME域外レートによるエーラーンへの銀輸出によって成り立っていたと言っても過言ではなかった。同国の鎖国により銀輸出業は事実上ストップしてしまった。

　飯島商工卿は「国内第三次産業の一層の奨励育成による内需拡大による経済立て直しを、公方府商工省としては検討しているが、やはりどこか別の国に銀を買って頂けるのが一番ありがたい」とぼやく様に語った。



【国際】衵宮皇女殿下、成蘭の治信王太子殿下とご婚礼



　554年1月、成蘭連邦王国において、黒石治信第一王太子殿下と、我が国の衵宮第二皇女殿下とのご婚礼の儀が執り行われた。祝典には両国政府・皇室関係者が出席し、また真備宮皇帝陛下のご提案で、祝いの席にふさわしく来賓者一同による連歌が執り行われた。詩題は「雪融け」であったとの事。



「成蘭には連歌の習慣がないとは伺っていたが、中々皆々様教養人でいらっしゃる、お陰で見事な句をあまた詠むことができた」と満足げに仰せられたとの事である。



【国際】足利晶子さま、幹国防衛大合格。



　将軍継子たる晶子さまは、554年12月、無事大幹帝国防衛大学の前期一般試験を合格あそばされた。記者の質問に対し晶子さまは「ヤマがあたってよかったです！」と朗らかに答えられた。



　晶子さまは555年4月にも同校へ入学、幹部防衛官育成過程を修了した後、再び我が国へ帰国され陸軍少尉に任官あそばされる予定である。

【写真】原子力空母いざなみ



　553年4月3日、第三帝国海軍水嶋鎮守府において、わが国初の原子力空母、いざなみ級空母一番艦「いざなみ」の進水式が行われた。大工造船や海軍造船局の飽くなき努力もさる事ながら、大幹帝国からもたらされた空母建造技術と洋上航空技術こそがいざなみ建造の最大の貢献者であったと言えよう。進水式にあたっては以下の方々がご来賓された。



わが国



孝寧君太上皇婿陛下

真備宮皇帝・三条秀員皇婿両陛下

足利尊子将軍殿下

今川範邦管領

高野翼統合参謀総長

伊坂三依海軍元帥

名和長政海軍卿

大工健作　大工造船社長



大幹帝国



天安君皇帝・伊勢宮皇后両陛下

朴京煕皇太子・ルイーゼ・フォン・ロンベルク皇太子妃両殿下

丁純憲議政府総理大臣閣下

全一然衛務大臣閣下

金京福海上防衛隊幕僚長閣下



また、式典終了後足利尊子将軍殿下と丁純憲総理大臣閣下との間で首脳会談が執り行われた。会談の詳しい内容はいまだ明かされていない。



【国際】エルツ内乱複雑怪奇。外務省は滞在邦人全員の帰国と渡航規制を発表。

　我が石動第三帝国は、成蘭連邦王国と不可侵条約を締結した。

　同国は第一帝政期よりわが国に積極的に支援を行ってきた国であり国民感情も好印象で、今回の不可侵条約締結は国内でも歓迎の声が大きい。

　不可侵条約の内容も制限的なもであり、オセアニカ条約に反することも無いであろうという判断から締結に至った。

　ただし山王新聞など一部反政府メディアでは「思惑が見えない」「５カ国協商による外交的負債の回収」などの否定的な見方も見受けられる。



【社会】台風上陸による食糧不足。エーラーン・ストリーダなど支援。



　549年12月初旬、台風により養殖場が壊滅的被害を受けた影響から国内で大規模な食糧不足が発生。臣民は暴徒化し陸軍の軍事施設や大工建材の建材工場、蒜山の畜産場などを破壊した。

　事態を受けてストリーダ王国、エーラーン教皇国はすぐに食糧援助を開始し、エーラーン慈善修道会いよる炊き出しなども行われた。こうした国内での活動は初めての例で、このため各地ではゾロアスター教に対する幹国移民時代からの蔑視感情が和らいだ模様である。



【国際】大幹帝国、民主化により新興政党勃興。

【国際】南秋津諸般連合結成。今川管領「注視の要あり」

（写真）現場を検証する警視庁捜査員。



　549年10月18日早朝、高野翼統合参謀総長が自宅から出勤される途中、何者かに狙撃される事件が発生した。犯人は高野参謀総長閣下のご自宅に隣接するマンションの屋上から参謀総長閣下の狙撃を試みるも、参謀総長閣下が道に落ちていた牛乳瓶の蓋を硬貨と間違えて拾おうとした為に狙撃が失敗。護衛の直参親衛軍兵士らに取り押さえられた。

　男は我が軍の正式採用連発銃であるマルイ工業製VSR-10に官給品の狙撃スコープを搭載したもので参謀総長閣下を狙撃しようとしていた。所持品には身分を示すものは何一つ無かった模様で、現在も黙秘を続けている。

　高野参謀総長閣下は「獲物からもこの者がどこのどいつで、誰の差し金で私を殺しに来たかは明らかだろう。首謀者は一刻も早く名乗り出たほうが身の為だ」と述べられた。

　549年2月22日、先の高野翼統合参謀総長の蜂起により管領退陣・公職永久追放となった直管領が職務引継ぎを終了し、帝都室満京市中央区の盤南寺にて出家した。後任には直管領の元秘書長の上杉重義氏が就任した。

　548年10月14日、足利直管領閣下は「将軍殿下に高野直どのの統合参謀総長職罷免を具申し、将軍殿下がこれを受け容れられた」と発表した。

　直管領は罷免提訴について「前回の燃料不足の原因である直参親衛隊軍の造兵廠無断稼働を指示した人物が高野翼どのご自身であった事は憲兵隊の調べでも明らかになっている。また彼女は以前の孝寧院御用車圧砕事件についてについて記者から追求を受けた際、「院や皇帝陛下がどうしても必要というならチタニウム合金かセラミックで作ったらどうだ？機動戦闘車もものともすまい」などと冗談めかしに発言した事実がある。この様な人物が我が国の全兵権を握る人物であるのは大変問題である」と述べた。

　これに対し高野翼統合参謀総長はいまだコメントを発していない。統合参謀総長罷免と後任者就任はは今月31日にも行われる予定であるという。



【国際】大幹帝国民主化。68年にわたる国家社会主義体制に幕。

【国際】ヴォルネスク社会主義共和国ザイツェフ大統領閣下逝去。

　事件が起きたのは545年10月6日、室満京市中央区内務省通りの交差点でのことである。開発中の八輪装輪の戦闘装甲車のテストを行っていた直参親衛軍の土岐頼亨親衛少将と陸軍の二階堂幸治直少将の二人は、同車両の有用性について試験場で口論となり、「続きは飲みながら話そう」などと言って新型装甲車に乗って歓楽街へ繰り出し泥酔。「二軒目行くぞ」などと言いながら交差点を装甲車で蹂躙しメインストリートの交通を遮断してしまった。

（写真）開発中の装甲車の画像（提供：陸軍省）



　この騒動に車での移動中に鉢合わせた孝寧君太上皇婿陛下は、警護の近衛兵に露払いを指示。バイクで二人の装甲車に近づいた近衛兵は「院のお車が通られる。道を開けよ」と警告した。



　これに対し二階堂少将はすぐさま装甲車から下車し最敬礼したが、土岐親衛少将は運転席から降りようとせず、「あ？院言うた？犬言うた？なんでわしが犬に下車せんといけんのんなぁ！」と叫んで突如装甲車を孝寧院陛下のお車の方に走らせ、車を踏み潰してしまった。幸い孝寧院陛下と同乗の従者、運転手らは間一髪下車し、運転手が逃げ遅れて腕を骨折した以外けが人はでなかった。



　この第一報が飛ぶやいなや管領足利直閣下は激しく激怒され、翌７日の会見において「太上皇婿陛下であらさられる御方、それも大幹皇室のご出自でいらっしゃるお方にかかる無礼を致すなど、石動武家の風上にも置けぬし、生かしておくべきではない。よって将軍殿下の名のもとに本日行われた簡易軍事裁判で銃殺刑とした」と憤慨気味に語られた。

　一方この処分について統合参謀総長高野翼閣下は「我が同胞たる親衛軍士卒が銃殺されるというのに、私は一言も聞いてない」と不快感を顕にし、「高貴なお方に無礼を働いたとは言え、酒に酔っての話。ここまで極端かつ拙速なご裁許を下されるとは、悪いが管領殿は物狂いか何かではあるまいか？」と嘲笑気味に語られたとの事である。



　土岐親衛少将の銃殺刑は10日にも執行される予定であるという。

【政治】皇帝陛下、「征夷大将軍永代足利氏の勅」を発布。足利氏による征夷大将軍世襲体制が確立。



　543年9月31日、真備宮皇帝陛下は「征夷大将軍永代足利氏の勅」を発布された。これは今後の征夷大将軍を足利氏の女子に限定する勅令であり、我らが武家の棟梁足利一門はついにその輝かしい功績により皇帝陛下第一の臣下となるに至ったのである。足利氏万歳！将軍殿下万歳！



【政治】尊子将軍殿下、内閣制度の廃止と公方府体制の導入を宣言。



　543年10月1日、尊子将軍殿下は内閣制度の廃止と公方府体制への移行を宣言された。これにより132年間にわたる内閣制度の歴史に幕が下りた。

内閣制度と公方府体制の比較図



　今回の改変で、総統府を除く各省庁は公方府配下へと継承されるものの、大きな違いとしては「軍事最高指揮官」と認識されていた征夷大将軍が総統の職務権限を吸収することにより事実上「軍事行政の最高指揮官」として制度化された事が大きい。将軍殿下はこれまでの内閣制度に依拠した暫定的な体制から抜け出し、体制的にも事実上、「皇帝陛下第一の臣下となられたのである。将軍殿下万歳！

　また将軍殿下直隷の官職として「管領」、直轄部署として「統合参謀本部」が新設された。管領は各省庁を統括し、統合参謀本部は陸海親衛三軍の最上位作戦指導を行う。これは「管領」が行政の、統合参謀本部の長たる「統合参謀総長」が軍事のそれぞれの長となる図式である。

　しかし懸念すべきはその人選かもしれない。今回管領に就任したのは元副総統、将軍殿下の妹君、足利直閣下。対して統合参謀総長に就任されたのは元武装親衛隊全国指導者高野翼閣下（直参親衛軍総大将を兼任）なのである。保守気質で文治路線の直閣下と、革新派急先鋒で武闘派の中核たる翼閣下との不仲は兼ねてから周知のところであろう。お二人の関係が政局にどのように影響していくのか、政界には波紋が広がっている。

　540年3月2日、脇屋義介、北条時宏ら南朝軍は山岡府室満京市北区法戒院近辺で不満分子を糾合し挙兵。周辺の山王自動車道吉備スマートICや、山岡商科大学、備前一ノ宮駅を破壊し、ついには在石大幹帝国防衛隊の三軒屋駐屯地に攻撃を仕掛けた。反乱発生当時から南朝軍に対し果敢に攻撃を加えていた大幹帝国防衛隊石動守護師であったが、南朝軍の人海戦術に抗うことができず、遂に3月14日、三軒屋駐屯地と運命を共にすることになった。



　悪天候による空爆失敗や砲弾欠乏を経て、南朝軍は4月11日にようやく殲滅された。今回の攻撃で脇屋義介・北条時宏両名の死亡が確認された。これによりしばらく南朝軍の破壊工作は沈静化されるものと思われる。



　政府は南朝軍との戦いに散った幹国防衛隊英霊の冥福を祈り、駐屯地跡地に龍鮮神道式の忠魂碑を建立し、また生還した防衛隊負傷者の後送、遺体の送還等を行うことを発表した。



（写真：負傷した幹国防衛隊員を搬送する陸軍兵士）



【国際】東日ノ本共和国に対し、シベリアと共同で非難声明。



　政府は東日ノ本共和国の仏法政権への宣戦布告を受け、これを非難する旨の共同声明をシベリア共和国連邦と共同で採択・発表した。



　足利将軍殿下は、「日ノ本地域の問題が飽くまでも平和裏に解決されることを望みます」とだけ、コメントされた。