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サ・フェ通信社  タヂカラオ国の主力報道機関。民間経営です。
同国に関わる内外のニュースを報道します。
11月 14 (日曜日) 2010
タヂカラオ通信・フリューゲル 第18号 21:40  aokingyo2 
※サ・フェ通信社はタヂカラオ国内に本拠地を置く民間企業です※



=国内=

・海軍第2期整備計画完了

 グリフォン級フリゲートの運用試験において予想外のトラブルに見舞われ、遅延していた海軍の整備計画に関して、政府は先日その完了を発表した。タヂカラオの国土は基本的に都市防衛システムの存在を前提として設計されているため、怪獣対策としての大型艦の役割はあまり重視されておらず、平時にはこれ以上の運用は行われないものと見られている。防災用衛星の打ち上げ完了とあわせて、タヂカラオの防災体制はひとまずの完成を見たといえよう。



=国外=

・ラステリア共和国の光と陰

 近年の目覚しい発展によって国際的な注目を集めているラステリア共和国であるが、ダヂカラオ政府の提案を拒否した後も複数の国家と外交を行っている。大きな案件ではソ・ラド・ツ・レゲーレン公国との商品取引に関して前向きな姿勢を見せた一方で、ミッドガルド帝国の融資を拒否している。 ラステリア政府の基本姿勢としては資源取引での貿易収入以外の形で他国から援助を受けたくないようであるが、建国初期の鉱山整備に関しては天鶴帝国から明らかに一方的な支援を受けており、行動が一貫していない点が目立つ。その石材鉱山についても国土拡大が済んだ時点で独自判断で潰しており、天鶴政府より非難めいた声が挙がっているなど、上辺ばかりの外交姿勢との見方が国内で強まっている。

 生産規模が拡大する一方で国民幸福度指数は低下を続け318年8月時点では「13」という記録的な数値を示している。生活水準向上のために導入された畜産業も計画半ばで放棄された模様。毎期のように発生する大規模な火災は国内の治安に非常な悪影響を与えており、とある情報筋によれば毎月1万以上が火災によって死傷し、10万人以上が家を失っているという。防火体制の不備は建国初期には良く見られる光景だが、人口が6000万人を超えてのこの有様はまさに悲惨としか言い様が無く、内政不干渉主義に名の下に融資提案を切り上げたタヂカラオ政府に対しても国内から批判の声が挙がっている。

 数年来の都市計画によってレゲーレン公国では治安もかなり安定してきており、巨大な市場規模を誇る公国と持続的な貿易関係を構築できればかなりの財政的余裕が生まれると想定されるが、それまでに国内の反政府活動が取り返しのつかないレベルまで発展するのではないかと危惧する意見も多く、眼が離せない状況だ。



・ソ・ラド・ツ・レゲーレン公国によるノイエクルス自由国誤爆事件

 軍事力強化の目的か、怪獣を使用してのミサイル発射行動を行っていたソ・ラド・ツ・レゲーレン公国(以下レゲーレン公国)であるが、317年6月、13発のBTミサイルがノイエクルス自由国に発射され防災都市が被害を受けた。レゲーレン公国は殆ど間をおかずにノイエクルスに陳謝、318年4月にはノイエクルス側がこの事件を外交問題とする意思がない旨を伝え、事件は解決を見た。

 レゲーレン公国は怪獣の突然変異実験を目的としてBTミサイルを使用してしたことはほぼ明らかである。公国で使用されたBTミサイルが化学弾頭か低レベル放射能弾頭かは不明であるが、誤射としては極めて重大な事故であり、レゲーレン公国の迅速かつ誠意ある対応が実を結んだ結果と言えよう。



・フィターレ共和国滅亡

 自由経済連合の構成国であるフィターレ共和国が316年11月に滅亡した。この件に関しシャイボ共和国が追悼の意を示した他は、カアルハセヤにおいて「フィターレの滅亡に政府驚く」との報道が成されたのみで有り、自由経済連合が半ば形骸化しつつ有るのでは、との声も一部で聞かれる。





コラム 各国旅行期 季刊フリューゲル紀行 (リ・サルタナ社発行)より



(第十回)天鶴帝国

273年1月に建国された天鶴帝国はフリューゲルに数ある帝国の中でも本格的な専制独裁国家である。建国より10年程度は議会を保持していたが、286年の公安庁設立に伴い警察国家体制を取り入れた。自由経済連合およびミューヘン条約機構の構成国であり、その中でもカアルハセヤ帝国と並ぶタカ派国家として知られる。実際の戦闘には発展しなかったモルダバイト事件、ノルスモール戦役、マグザム戦役と建国より半世紀も経たないうちに3度の宣戦布告、2度の国家間戦争を行っていることは軍事独裁国家の体質を見事に表していると言えよう。現在もノルスモール地域(レゴリス帝國)に駐留軍を派遣しており、その軍事力は世界でも有数のものであると目されている。

経済的には農業国家であり、ブリュノール共和国とともにフリューゲル農業組合を構成している。その食料の輸出先は自由経済連合構成国の他、ソ・ラド・ツ・レゲーレン公国、ノイエクルス自由国などにも及び、巨大な市場を有している。ブリュノール共和国と違って国内に鉄鉱山を維持しているのも特色で、これは軍需物資の自活という安全保障上の理由からと想定されている。

今の若い読者層には知らない方も多かろうが、警察国家となる前は民間調査「親近感を覚える国」において安定したTOP3に入っていた国である。これは素人目に見て、カアルハセヤ帝国と同様、外交上のパフォーマンスが大きく、旧マグザム共和国に対する批判的立場をタヂカラオと共有していたためだと思うが独裁国家となってからはイメージダウンが著しいようだ。

国土は瑞島を中心とする多数の島、森林、山岳地帯からなりフリューゲル有数の美しい景観を誇っている。殊に隕石被害から再構築された瑞島北西部の首都アラハバキには真新しい高層ビルが立ち並び、都市機能、景観ともに世界成功クラスのものである。国内には多数の観光地が整備されているが、天鶴帝国政府の管理下にあるツアー以外には基本的に参加は許可されない。非常に残念だが、警察主義の独裁国家とはこういうものである。全くの余談であるが、同国の海上に存在する用途不明な巨大戦艦に対し、一時期海軍内部には「我が国も対抗戦力として超巨大ドリル戦艦を建造すべき」との動きがあったという噂がある。個人的には都市伝説の類だと思いたいものだ。





フリューゲル暦318年8月12日発行
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