5月30日、アルデロイト・ポポワ首相は「ヘイトスピーチ・ヘイトクライム等の規制に関する法律案」を下院に提出した。同法は国内の諸ヘイト問題を取り締まることが目的。国内では右翼団体「ラン・ジャパール」を支持母体とする極右政党「人民国粋党」による少数民族への暴言が問題となっていた。



与党内では既に賛成一致した同法案。「人民国粋党はこれまで議会の内外で排他的な言動を繰り返してきました。これに対して共産党、反ヨ戦線が応戦する形で議会が紛糾。まともな議会運営が危ぶまれたこともあります」(政府高官)。

そもそも反ヨ戦線の民族差別の主張に「そのような事実はない」と繰り返し述べて看破してきた現政権。しかしここに来て、人民国粋党の言動により虚構が事実となりつつあるのも事実だ。

「これらの政党は議会外でも抗議活動を行っています。特に今年に入ってからは過激化してきていて、刑事事件に発展することも珍しくありません」(同上)。

そんな状況に警察当局は従来の騒擾罪などで対処せねばならず苦慮していた。実際に警察保安省が法整備を強く求めてきたこともあったという。

また国内の暴動へ発展しかねないとの懸念もあり、財界・産業界からも働きかけがあったとみられる。



同法案に対し最大野党・労働党は「政府へのデモ抑圧の恐れは無いのか」と論陣を張る。

これに与党側は正しい法運用がなされるかチェックするための第三者機関として「ヘイト法制監視委員会」を設けることで応戦。

本法案は早ければ今期議会中に成立する見通し。