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石動國綺譚

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 .2 | 投稿日時 2013/7/23 0:41
ゲスト    投稿数: 0

 文才も構成もアレでしょうがサイドストーリーなんかを書くかもしれないですよ。

【※本スレッド内の全文章は外交に一切の影響を及ぼしません】

投票数:0 平均点:0.00
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2014/6/2 22:36 | 最終変更
ゲスト    投稿数: 0

明日香宮皇帝紀元121年11月18日
正統吉備皇国」帝都室満京

 正統吉備皇国陸軍航空騎兵団団長、楠木雅茂大佐は、自分が憤慨している事を、その形相と歩き方で辺りの人間に喧伝しながら、大望殿謁見の間を後にした。
「兄者!」
 詰め寄ってきたのは、弟の楠木雅末少佐、そして一人息子の雅貫だった。
「主上は何と?」
 雅茂は今日、石動陸海親衛三軍と在石幹国防衛隊からなる「足利連合軍」に美作を明け渡した上で、帝都決戦に誘い込み、一挙に迎撃してしまうという作戦を帝に提案するため、宮中に参内していた。足利軍15万、南朝軍3万という彼我兵力を考えれば突拍子もない苦肉の策にも聞こえるが、敵は地方鎮護の陸軍一般部隊に、新生帝都の地勢に疎かろう幹国防衛隊…。少なくとも美作市で闇雲に正面衝突を期するよりは理に敵った策といえた。しかし、それに対する十善の君の御応えは厳しいものだった。
「『玉体を帝都から遷すなぞ現人神としては出来る相談ではない』とか抜か…仰られた」
「何抜かしてくれとんなら!あん小娘はぁ!!」
「落ち着けえや雅末!」
 激怒する雅末を雅茂が一喝した。
「仕方ねかろーが。皇帝陛下の勅命は絶対じゃ。ワシらは一回「やる」ゆうてしもうた。もう後戻りは出来んのじゃ。軍人として、武家として、男としてじゃ」
 飄々と口にされた石動弁には、男の決意が滲み出ていた。
「しゃあねぇなあ。着いてっちゃるわ!兄者!」
「私も行きます!」
 息子、雅貫が叫んだ。
「雅貫、ええか、おめぇを連れてくこたーできん。父上らはこれから死にに行くんじゃ。雅貫!これだきゃあ覚えとけ。こんな才色兼備のええ男をこんな場末で死なすブラック皇帝様やこーぜってぇ長生きせん!その腰巾着が造ったお国もじゃ!雅貫!お前はお前の行きたい方へ行きゃあええんじゃ!」
 13歳の息子に言い残した二人の男は、振り返らずにその場を去った。

投票数:0 平均点:0.00

なし 新田最期

msg# 1.2
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2014/6/5 0:39 | 最終変更
ゲスト    投稿数: 0

明日香宮皇帝紀元122年3月25日
埴輪県埴輪市

激しい戦いだった。
 帝国臣民を護るための戦車は農民の田畑を踏み荒し、硝煙立ち込める鉄火場と化した「のどかな農村」を駆け回っていた。田畑が踏み潰されるという事態に於いて農民にとっては南朝も北朝も無かった。現地民の軽トラックは、自分達の財産が悉く蹂躙されていくのを後目に、力なく鉄火場の中を逃げていった。
 北条幕潘体制下の頃から新田潘民として暮らしてきた彼らは、言うなれば新田一族の護るべき「領民」であった。紗代が倒幕加勢を決意した時に、反対する所か勇んで兵として志願した領民達だったが、この時ばかりは紗代に失望とも憐れみとも着かぬ視線を向けている事を感じつつ、紗代は部下達を鼓舞するために叫んだ。
「戦車一中隊は私と残れ!後のものは速やかに撤退!」
「左府も!紗代様もお退きを!」
 紗代第一の部下、新田氏の宿将、船田正毅大佐が叫んだ。紗代は応える
「できん」
「紗代様!」
「多くの士卒を失い、一人逃げ仰せるこの新田紗代ではない!船田、娘を頼んだ」
「…御意!」
 船田との通信を切った紗代は、最後まで自分と戦い続ける事を選んだ精鋭一個中隊に告げる。
「傾聴!残存兵力は蛭山(ひるぜん)を越え、捲土重来を期し大海洋側へ脱出!我らはこの時間稼ぎを…」
 言い終わらぬ内に、紗代は流れ弾で鉄帽をカチ割られ、そのまま指揮通信車から転がり落ちた。そこはねっとりした水田だった。先ほどの衝撃で脳震盪を起こし、うまく立ち上がれない紗代は、泥の中を無様に滑り回った。
「紗代様!」
 そう言って装甲車から部下が降りてくるなか、紗代はまだ水田の中でもがいていた。
「…これもっ!貴様のっ!!…貴様らの筋書きかあァッ!!…尊子ぉッ!道興ぃッ!!」
泥まみれの彼女の「最期」を、もう一発の流れ弾が終わらせた。

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