連邦最高評議会謝罪声明

ヴァノミス連邦政府は23125期に行ったベルサリエーレ第一共和政からの燃料を対価とした砲弾の輸入が、ヴォルデリア条約第八条に反するものであった事を認め、関係国、及び国際社会に対し深くお詫び申し上げます。
　本件に関しては我が国が条約の解釈及び精査において、何等関係国との協議を仰がず、予断をもって取引を実施した事が条約違反という重大な、国際社会の信頼に背く行為に繋がったものと認識しております。
　つきましては、我が国は条約違反に関して、深くお詫び申し上げますとともに、本件に関し以下の対応を採ることを、連邦最高評議会顧問委員会の承認を得た上で決定した事をご国際社会に報告申し上げます。

・ベルサリエーレ第一共和政から輸入した分の砲弾については、ベルサリエーレ消滅に伴い、連邦最高評議会顧問委員会に管理を委ねる。
・砲弾取引・生産・保有に関しては今後、連邦最高評議会顧問委員会の指示を仰ぎ、適正に処理を行う。
・再び条約に違反した場合には、現政府がヴァノミス連邦の統治の任に耐えない事を認め、主権を連邦最高評議会顧問委員会に譲渡し、その指示の下、信託統治を仰ぐものとする。

　以上をもって国際社会への報告とし、本来あってはならない国際社会への背信行為が、今後二度となきよう、条約遵守の姿勢を徹底して参りますことを固く誓約いたします。
　この度は諸方面に多大なご迷惑をおかけしました事を、重ねて深くお詫び申し上げます。

　ヴァノミス連邦最高評議会議長..イブラヒム・ハディット

　ヴァノミス連邦政府に照会する。貴国は先般、イブラヒム・ハディット最高評議会議長の名で条約違反について謝罪声明を発したと我が国は承知している。
　しかしながら、フリューゲル暦 23401期650年 1月初旬現在、ヴァノミス連邦は一定量の砲弾を保有している事が確認されている。推定10万トン以下と考えられるが、これは先般の謝罪声明に背くものである。連邦最高評議会顧問委員会に対して、何等通知があったとも承知していない。いかなる正当的理由で砲弾を保有しているのか、合理的かつ十分に納得の行く説明を求める。

　合理的かつ納得し得る説明なき場合、連邦政府はヴァノミス連邦に対しての懲罰を実施する。回答期限をフリューゲル暦23408期とする。

回答する。
まず既にベルサリエーレからの砲弾は要請通りアルドラド帝国と貴国に輸送されています。
元々保有していた砲弾は顧問委員会より指示を受けていない為そのままになっているものです。
なお、我が国の広報の希望貿易欄に砲弾と記載していた事については我が国の広報の更新ミスでそのままになって為で誤解を与えるようなものであった事について謝罪します。

　ヴォルデリア条約第八条は条約上の安全保障に係る権利の行使をヴァノミス連邦に認めるものではなく、その一切は連邦最高評議会顧問委員会の承諾を得なければならない。
　従って、軍備に関する事項も顧問委員会に裁定を求める必要があるにも係らず、ヴァノミス連邦は依然砲弾保有の報告なきまま、我々が調査を行うまで砲弾保有の事実を隠蔽していた。

　また先の最高評議会声明は、砲弾取引・生産・保有に関しては今後、連邦最高評議会顧問委員会の指示を仰ぎ、適正に処理を行う、と明言したもので、にも係らずヴァノミス連邦は連邦政府からの照会有るまで指示を仰がずに、自らが発した謝罪声明に背いた。そればかりか砲弾輸入を公然と表明していたことは、最早弁解の余地なきものである。ヴァノミス連邦は広報の更新ミスとしているが、貴国はそもそも何故そのような広報を掲載しているのか。広報を掲載すること自体が条約に背くもので、また我が国からの照会あるまで当該記述を削除せず、我が国からの指摘があって初めて削除を行ったことは、条約を履行せんとする意思が見られず、主権国家としての責任放棄に等しい。

　連邦政府は斯様なヴァノミス連邦の行いを許容し難いものとして、また明確な条約違反として、弾劾する。ヴァノミス連邦が真に条約遵守の姿勢あるならば、自主的に顧問委員会に砲弾を引渡すよう勧告する。また、その統治能力の無きことは明白であるため、顧問委員会に信託統治に仰ぐべきであると強く勧告する。
　照会に対し、回答があったことには一定の評価を行い、これら自主性をヴァノミス連邦が発揮するに際して、フリューゲル暦 23413期までの猶予を設ける。連邦政府がヴァノミスに懲罰を与えるか否かは、それをもって判断する。
　簡潔に述べるのであれば、貴国に与えられた選択肢は二つのみである。「誠意と条約遵守の姿勢を見せる」か、或いは「国際社会の秩序と安寧を乱すならず者として、今後は歴史にのみヴァノミスの名を残すか」だ。どちらを選ぶかは貴国の自由である。

これが顧問委員会の指示であれば、反論の余地は無いが現在エルツ帝国が顧問委員会を招集しているところを見るに、この要求が顧問委員会の公式な指示・要求なのか、顧問委員会を構成する一国であるウェールリズセ連邦共和国だけの考えなのか判断できない。まずその点についてお聞きしたい。
また迅速な対応が出来ず申し訳ない、国の将来を左右する決定であり、慎重にならざるを得ないことには、配慮を頂きたい

　我が国は貴国の条約違反を指摘し、かつ誠意と条約遵守の姿勢を見せるよう、最後の警告を行ったが、ヴァノミス連邦はこれに対して何等誠意ある回答も、条約違反に対する釈明も無ければ、ただ言い訳のみに終始した。刻限も守らず、ただ時間のみを無駄に稼がんと試みるその姿勢もまた、不誠実極まりないものである。
　連邦政府はこのようなヴァノミス連邦の態度を最上級の非難で遇す。貴国の辞書に条約遵守と誠意の文字がないことが確認できた以上、以後の回答は不要である。