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火箭の晩鐘
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火箭の晩鐘
msg# 1この物語はゲーム進行や外交に一切影響を及ぼしません。
また進行上、やむを得ず読者の気分を害する表現が用いられる場合がございます。ご了承ください。
Re: 火箭の晩鐘
msg# 1.1新興諸国経済理事会の一員として初めて経験した戦火の臭いはシェロジア共和国による公式謝罪で薄らぎ、不意の臨戦態勢解除に動揺するテークト軍を沈静させるべく、政府は軍事パレードの開催へと予定を変更した。
テークサット首席大臣エーグナ・タッタは、ヤッガの空軍総司令部に入って式典の最後の詰めに追われていた・・・
時にフリューゲル暦611年3月13日―――
テークト史に大きな"穴"を開けた、呪われし日―――
「状況を報告してくれ」
「各軍、概ね路線変更に理解を示し安静を保っております、閣下。陸軍第4境此軍内の右派グループの活動が気になるところではありますが」
「それなら安心だ、ホーシェ君。なに、あの連中は所詮口先だけの連中だ。害があるならとっくの昔に潰しているさ」
子飼いの徒弟である国防副長官に、首相はちらりと口角を上げて見せた。ホーシェは、師がみせるこの表情が苦手だった。併せ持った大胆な豪腕としなやかさを駆使して政権を築き、間違いなく隆国の名宰相として後世語り継がれるであろう師が笑みを見せる時、その口からは必ず物騒な軽口が飛び出してくる。顔が先か口が先か分からないが、子分として長く付き合ってきた彼の眼には、そういった師の中に混在しつつ出現する表裏にたまらない不気味さを見ていたのである。
「ところで君、今日の"此処"の特別時程はどうなっておるのかね」
「時程?ああ、第2北丹空旅団の話ですか。ならず者とか何とか言われてますけど、根はいい奴らなんです。信用してやってください」
「元帥として言っているんだ、質問に答えろ」
「失礼しました。本日は、一昨日より始まった"ホンカクテキ訓練"の最終日でありまして」
「何だ"ホンカクテキ"って」
「実弾や模擬爆弾を搭載して行う実戦的訓練でして」
「紛らわしい、もっと良い言い方は無いのかね」
「はあ、テークト語の軍事関連修飾詞語彙は貧弱ですから。閣下こそよくご存知のはずでは」
ホーシェが役職に不釣合いな寝ぼけた声を出した一寸の後、タッタの顔が急に強張った。
「ええい、そんなことはどうでもいいんだ。その何とかっていう演習は何時終わるっていうんだ」
「本日一五○○であります」
「この大馬鹿者、今いる時間くらい把握しておけ。いやそうではなくて、一体全体今を何時だと思っているんだ。日が沈んだのに、ただの1機も基地に帰ってこないたァどういうことだ 説明したまえ」
「は!?・・・一体全体、何がどうなっているやら・・・至急作戦本部に確認をとります」
「閣下、一大事です」
「どうした、シェロシアの雌豚にでも襲撃されたのか」
「違います先生、むしろ逆・・・いえ、元帥閣下」
情けない国防副長官は、昏倒する直前に最後に残った理性を絞るように事を告げた。
「反逆でございます・・・命令無視・・・一隊・・・全隊・・・シェロジア本土を直接攻撃中・・・」