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Re: 社会主義のお話

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ヴェールヌイ社会主義共和国

なし Re: 社会主義のお話

msg# 1.10
depth:
1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2015/5/8 22:43 | 最終変更

ギンツブルク「議長同志!先進国入りおめでとうございます!」
スヴィトラーナ「あーらギンツブルク同志ぃ~♪ごきげんうるわしくてございますわぁ~♪おーほっほっほっ♪」
ギンツブルク「胡散臭い貴族階級みたいになってますよ議長。なんすか、うるわしくてございますって」
スヴィトラーナ「細かいことはいーの!あ~あたしってなんて優秀なのかしら♪この勢いで任期を倍の30年にしたって誰も文句いわないんじゃないかしら♪」
ギンツブルク「いや支持に乗じてそんなこと許してたら民主主義が聞いて呆れますから」
スヴィトラーナ「うるっさいわね!あんたみたいな役人は党の指示に従って言われた仕事をしてればいいのよ!うかれてんじゃないわ!」
ギンツブルク「え逆ギレ?!しかもなんで僕がうかれてたことになってるんですか!?」
スヴィトラーナ「あなた、たしか所属は化学工業省だったわね。工業力回復の目処はたったのかしら?」
ギンツブルク「ぁぁ、その件で直談判しにきたんですよ。軽工業だけで毎期4兆近く捻出せよってのはちょっと政府の要求が過大すぎるので、そんなに国内の生産と消費だけで維持費を賄いたいなら維持費の方を落としてください。だいたい目指してる所がおかしいんですよ、鎖国でもするんですか?燃料輸出ももっと絞らないとだめになりますよ?だいたいFENAはどうするんです?あっちに国力落とせとか言っといて、こっちは軽工業でゴリ押しするために規模拡大で燃料浪費じゃ話になりませんよ」
スヴィトラーナ「はぁぁぁぁぁぁ?????あいつらは今まで散々暴利を貪ってきた資本主義の豚でしょ!?必要な富を自力で人民に分配しつづけようとしている共和国とは事情が全然違うわよ!!維持費を落とせとか国家と人民と社会主義とあたしの敵だわ!!エネミーすぎるわ!!銃殺よ!銃殺!!!えーへー!!」
ギンツブルク「さっきそこで衛兵・・・っていうか警護官の方に会いましたけど、議長が事あるごとに「えーへー!!」とかいってしょうもないことで呼びつけるから行かなくなったって言ってましたよ」
スヴィトラーナ「どうりで最近呼んでもすぐ来てくれないわけだわ・・・」
ギンツブルク「狼少年かよ、セキュリティーもそれでいいのか」

・・・・・・

ギンツブルク「議長同志のお気持ちはわかりましたけど、いかに偉大な人物であろうとも、生身の人間が一生の間になしえることには限度というものがあります」
スヴィトラーナ「なに?あたしが偉大って話?」
ギンツブルク「そこしか耳に入ってないのかよ!たとえばマルクスがそうです。彼は信念の人だったんでしょう。自らの信念が実を結ぶ光景が見たかったに違いありません。しかし、仮に『資本論』の分析が完全に正しくて、マルクスの予想に従って世界史が進展したとしても、その時間的スケールは、少なくとも数十年以上の単位で考えるべきものだったんです」
スヴィトラーナ「あなたは考え方が軟弱過ぎるのよ!あたしはまさしく今を生きて、純粋社会主義建設の大業を成さんとするの!マルクスなんて関係なーい!」
ギンツブルク「マルクスがお手本とか言ってたの誰だよ!だからそんなんで成功した社会主義はこの世に存在しないでしょーが!少なくとも、イギリスのフェビアン主義者たちは、それくらいの感覚をもっていましたよ」
スヴィトラーナ「え、エビアン?」
ギンツブルク「それはフランスのミネルウォーターです。フェビアン主義、フェビアン協会というのは現実主義的な社会主義団体ですよ。革命主義と対比した場合は、所謂『改良主義』と称されるものですね」
スヴィトラーナ「しまったこういう流れか・・・」

 

社会主義のお話
ゆりかごから墓場まで!イギリスの社会帝国主義(前編)

 

ギンツブルク「パリコミューンと同じ時期、労働運動の先進地であったイギリスでは、「労働者の政府」が成立することもなければ、「労働を開放する大胆な戦士」が活躍することもありませんでした」
スヴィトラーナ「ジョンブルどもは臆病だったのね」
ギンツブルク「そういうこといわない!けして臆病だとかいう問題ではなくてですね、まずは当時の時代背景をおさらいします。まず参政権を得た熟練労働者達が全国組織を結成し、自由党との選挙協力を行いました。これが1868年です。彼らはマルクス流の革命ではなくて、既存体制下の議会において勢力を延ばそうとしたわけです。また、ロンドンで慈善組織協会(COS)が設立され、労働問題への公的介入を反対するブルジョワ層の組織的な抵抗がはじまったのは、翌1869年のことでした。あ、ちなみにですけど、非熟練労働者も含んだ労働組合がはじめて結成されたのは、その20年後の1889年になるまで待つことになります。マルクスは既に死んでます。さっき時間的スケールの話をした意味が少しはおわかりになられました?」
スヴィトラーナ「ふんっ、時代が違いすぎるわよ!」
ギンツブルク「ともあれ、パリコミューンと同時期のイギリスでは革命的な動きは起こらず、労働者層は既存の議会制度の枠内で活動を始め、ブルジョワ層は慈善活動による問題解決を求めていたのです」
スヴィトラーナ「パリコミューンの話はこの前いやんなるほど聞いたからいいわよもう。あたしも少しは認識を改めたから」
ギンツブルク「まぁあの時は色々言いましたけど、パリコミューンという政体は、少なくとも設立当初に限れば、一種の革命的な様相を呈していた、と言えなくもありません。しかしそれは、あくまで外国との戦争で自国皇帝が敗北した危機的な状況に際して、首都のみで発生した例外的な事態だったということです。逆に言えば、パリコミューンを後押しした社会主義勢力は、敗戦による混乱を巧妙に利用したということになるんでしょうね」
スヴィトラーナ「もうこれ完全に悪者ですもんね」
ギンツブルク「マルクスが他界した1883年、ロンドンにおいて「新生活同士会」なる社会主義団体が生まれましたが、この団体の趣意は近代的な社会主義というより、むしろユートピア型の共産主義に近かいものでした。そこで翌年に、いわゆる現実主義者達によって、この新生活同士会から枝分かれする形で、新しい組織が結成されました。これがフェビアン協会です」
スヴィトラーナ「エビアン協会」
ギンツブルク「フェビアンです。古代ローマの名将ファビウスににあやかって名付けられたそうですよ」
スヴィトラーナ「名将エビウス」
ギンツブルク「そろそろその地球の水から離れようか。ちなみに名将ファビウスとは、第二次ポエニ戦争(紀元前三世紀末)の際に、カルタゴ軍との本格決戦を延ばし延ばしにし、粘り強い持久戦に持ち込んで勝利した人物です」
スヴィトラーナ「ボルビック」
ギンツブルク「フェビアン協会の方針もまた、ファビウスの戦法にあやかり、マルクス流の急変革命を延ばし延ばしにしながら、粘り強い持久戦の中で社会を改革しようということだったわけですね」
スヴィトラーナ「クリスタルガイザー」
ギンツブルク「その態度は、浸透主義や慚進主義、あるいは改良主義と称されるわけです」
スヴィトラーナ「無視すんなし(´;ω;`)」

知識人の支持を得た浸透主義

ギンツブルク「フェビアン協会は、社会主義知識人が結成した団体であって、労働者階級の中から生まれたものではなく、また政党とは違って自ら議会に代表を送り込むことを目的にした団体でもありませんでした。自分たちの持つ理論や思想を、支配層の間に浸透させる目的で設立したものだったのです」
スヴィトラーナ「なんだか高慢な考えですこと」
ギンツブルク「そう思われます?日本では誤解されがちなんですけど、これはけして上位意識があるとかではなくてですね、むしろヨーロッパ型の民主化政策を体現したものだと言えるんです」
スヴィトラーナ「どういうことかしら?」
ギンツブルク「つまりですね、世襲支配者が独占していた権利を全ての人に分け与えるように、富裕層が独占する富を社会全体に再分配するように、あらゆる民主化は、常に上から下へと向かうものだという考え方です」
スヴィトラーナ「ちょっとその考え方は悠長なんじゃない?」
ギンツブルク「実際、同世代のマルクス主義者は、フェビアン協会の浸透主義に対してかなり否定的でした。マルクス本人は他界してますけど、マルクス主義者たちは、マルクスの思想を忠実に踏襲するという形で、非革命的な浸透主義に異を唱えたのです」
スヴィトラーナ「そうなるわよねぇ。だって、社会主義の実行=社会構造の根本的な変革が大前提でしょう?論理的に矛盾してるのよ」
ギンツブルク「一理あります。言ってしまえば、マルクス主義の立場は、まずブルジョワジーの支配を打倒することが先決で、社会主義の浸透や確立は、革命のあとでも構わないってことでもあるんです」
スヴィトラーナ「もちろん、支配を打倒する労働者階級に、はじめから社会主義の理念が備わっているに越したことはないんだけど」
ギンツブルク「それが理想ですね。しかしながら、社会主義的な体制は、ただ単に既存秩序を暴力的に破壊すれば必ず成立するといった代物ではないのも事実です。極端な話、労働者階級が社会主義を理解する前に政治権力だけを奪取したところで、その行き着く先は予測不能なものでしかないでしょう。論理的に、労働者階級が真に社会主義の担い手になるためには、当人たちが社会主義を良く知っておかないと無理です」
スヴィトラーナ「パリコミューンでも、教育をうけていない労働者は第一インターナショナルの指導についていけてなかったんだから、当然ね。ちなみに我が共和国も、外交においては反革命路線の浸透主義に近い感じよ?」
ギンツブルク「現実の社会主義の解説してる時に箱庭の話やめてください」
スヴィトラーナ「箱庭いうな、せめてフリューゲルっていえ」
ギンツブルク「まぁとにかく、革命主義か、浸透主義か、そういったイデオロギー論争はこの際置いておきます。事実の確認が先決ですからね」
スヴィトラーナ「そうね。社会主義運動って、盛んになればなるほど、やれ路線だ方針だって内部対立ばかりになるのよねぇ。政争ばかり起きて、内輪の争いに勝った勢力が正統な社会主義として幅を利かせるのよ。やんなっちゃうわ」
ギンツブルク「議長がその認識でいてくれて安心しました。まったくその通りなんですよ。浸透主義と革命主義の対立にしても、どちらかが一方的に正しいとか、他方が根本的に間違っているわけではありません。ただ、歴史的事実として、フェビアン協会の浸透主義が、イギリスでは多くの知識人の賛同を獲得していくことになります」

つづく

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