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Re: 魔女のティータイム(Witch's Teatime)
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魔女のティータイム(Witch's Teatime) (ゲスト, 2014/6/24 20:43)
- Re: 魔女のティータイム(Witch's Teatime) (ゲスト, 2014/6/24 21:40)
- Re: 魔女のティータイム(Witch's Teatime) (ゲスト, 2014/6/25 21:58)
- Re: 魔女のティータイム(Witch's Teatime) (ゲスト, 2014/6/25 23:12)
- Re: 魔女のティータイム(Witch's Teatime) (ゲスト, 2014/6/28 23:42)
- Re: 魔女のティータイム(Witch's Teatime) (ゲスト, 2014/7/12 14:09)
「元老院のおもおも」
Purgatorio Online。不気味な赤い月に照らされた、白蘭の都市エルトヴェルン。
今夜も元老院のおもおもは、ゲートから溢れいでて、地上を彷徨い徘徊する魔物たちを迎え撃つ。
中堅のギルドが被害を受けて撤退したというその魔物の一団は、俊敏な骸骨兵の群れ。統率の取れた兵たちを相手に、一人の女性が剣を構え背後の二人を庇う。イヴ・リューンヴェリという名の彼女─Knight Lord─が、クロム鋼の長剣を一閃するごとに、骸骨兵は反応することもできず、速度と重量が織りなす破壊力によりばらばらに砕け散ってゆく。だが敵はあと20…30はいるか。先ほど吹き飛ばされた骸骨の破片がカタカタと動き初め、再生を始める。軍団の最後尾で指示するあのフードの影がリッチ/Lich。あれを滅ぼさなければ死者の群れは止まらない。
「ルネ、詠唱は?」
連携の取れた三体の骸骨兵の袈裟切りと突きと薙ぎ払いをエーテリウムの盾と<兵士/Soldier>の魔術にて応じ、背後の少女に問う。先と今はやり過ごした。だが次を無傷でこなれるかはわからない。
『岩砕き、骸崩す、地に潜む者たち、集いて赤き炎となれ。地の砂に眠りし火の力目覚め、緑なめる赤き舌となれ……』
ルネと呼ばれた少女は問いに応えることもなく、路地に座り込んで、アンティークな鳥籠を抱きながら力有る言葉で歌う。妙なる歌声がエルトヴェルンの街に響く。少女はサーバーに20人いるかいないかの最高位の魔術師/Arch Wizardの一人。だが広範囲魔術を行使するにはそれに見合う詠唱時間が必要だった。
「@2分ってところね」
聖職者/Sanctuaryたるアヴリル・アリギエーリが代わりに応える。
「わかった」
イヴが剣を一降りし、血の混じった唾を吐いて軍団のただ中に突入する。そして鋼の暴風の如く剣を振り回し、そして骸骨兵たちの冷静な反撃を受けて出血を増やしていく。アヴリルが見かねて<治癒師/Healer>の術にて支援した。これでいい。大ぶりな戦い方は作戦の範囲内。ルネの詠唱を妨害されさえしなければ。護衛用の使い魔は待機しているが数撃しか持たないだろう。だから趨勢は前衛たるイヴに掛かっている。
「ゲートはホロウヘンジか?」
「ケデレクトでしょう。霊体系と死人系で微妙に違うの。背後の悪魔も──」
『……地の底に眠る星の火よ、古の眠り覚し裁きの手をかざせ!』
轟音と閃光がエルトヴェルンに現出した。地上に太陽が現れたかのように。余りの閃光に骸骨兵の振りかざす剣の前で、イヴは目を硬く瞑らなければならなかったほど。
閃光と轟音の残滓が消え去り、アヴリルとイヴが恐る恐る目を開けると、死者の軍団は跡形も無く消え去っていた。
「今日は危なかったわね。やっぱり情報の無い敵は怖いわ」
私室にて、アブリルがメンバーに紅茶を振る舞い、自身はソファーにごろんと横になってアイテムボックスから戦利品を物色する。
「……ねえ」
ルネ・レぺティートア・カスガイがカップに角砂糖を放り、一口啜ってから疑問を口にする。
「アブリルたち、ちゃんと仕事してるの?」
「リアルのことは話題にしない約束だぞ」
思うところあるのか、イヴが目を逸らす。その様子にアブリルはけらけらと笑う。
「法務総局で一番偉いのは法務総監……つまりイヴとして。じゃあイヴ以外に法務省いる人達ってどんなのか知ってる?」
「……知らない」
「総監の下には官僚という人達がいるの。小さい頃からエリートコースを上ってきた優秀さんたち。彼らは何年もそこで働いていて、実質的に国を動かしているのは官僚なの。まあ当然の話よね。政治家なんて単に票集めで勝ち残った素人だし、省庁の仕事がわかるはずがないわ」
「……官僚が優秀だから遊んでるの?」
「あー、はい。この話はやめやめ!」