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Historia derramado -story2

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  • なし Historia derramado (ノイエクルス自由国, 2013/6/11 3:17)
    • なし Historia derramado -story2 (ノイエクルス自由国, 2017/7/8 4:18)

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ノイエクルス自由国

なし Historia derramado -story2

msg# 1.1
depth:
1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2017/7/8 4:18
ノイエクルス自由国  新米   投稿数: 5

―連邦主義―

「曰く、兄弟愛で切り拓く我らの祖国」

―連邦主義―

「曰く、領域における安定した漸進的な社会改革」

―連邦主義―

「曰く、まどろみの中に見る白昼夢」


……
………
その日、連邦議会は大荒れだった。
ヴォルネスク独立を認める事は連邦が掲げてきた「民族を超えた連邦体制」を否定する事に他ならない。
400年の間、ノイエクルス連邦は度々存亡の危機に瀕した。しかしそれらは外部の攻撃であって、連邦体制の大義が揺らいだことは一度として無かった。
連邦体制の大義、理想、ガトーヴィチ帝国らの軍事的優勢、ヴォルネスクを維持する倦怠感、そして現実主義。ヴォルネスクなど一度も足を踏み入れたことのない議員が大多数だった。
永劫とも思える年月の間、繰り返し唱えられるマントラに抑圧された、行き場のない感情が議場に吹き荒れていた。「連邦市民としての連帯、兄弟愛でヴォルネスクと共に歩もう。」「それは結構だがね、奴らの賃金は誰が払ってるんだね。」
ヴォルネスク維持経費の負担に悩む自由国の商人たちとヴォルネスク文官上がりの理想主義者たち。壮大で、壮麗で、確信に満ちていたはずの連邦主義は民族主義の一撃で無残にも砕け散った。
否、もともと生まれつつあったヒビに最後の一撃が加えられたに過ぎない。

つまりサヴォナローラ議員が決議案を提出した日、連邦議会はバラバラになっており、意見など纏まりようが無かった。
辛うじて一致していたのはスラヴ連合に深刻な打撃を与えるまで戦争を継続する事、その一点のみであった。
そんな中、サヴォナローラ議員が浮き輪を投げ入れた。連邦の責任と栄達を否定せず、ヴォルネスク独立をその跡を継ぐ事業に位置付け、ヴォルネスク市民を父の遺産に感謝する善良で分別のある若者かのように描き出した。
すなわち、これは連邦建設の最終章であり、連邦建設の遺産を受け継いだヴォルネスクは威風堂々独立国家として国際社会においてその地位を立派に全うする、という筋書きだ。
昨日まではヴォルネスク人をティーンエイジャーのように扱っていた事を忘れ、立派な成人として扱おうとする変節っぷりに連邦の焦りが見て取れた。

………「それではサヴォナローラ議員が提出した決議案を、満場一致で採択します」
湧き上がる議場。ひそひそ声が聞こえる「これで維持拠出は即時撤廃だな?」「選挙での争点に…」「労働者連盟の切り崩しは…」「社会保障の改革とバーターで…」

秘密警察が解体され、連邦軍が撤退したヴォルネスクの波止場町を歩く。
町では暴動や犯罪が相次ぎ、建物はどれも落書きされていた。
臨時政府が新しく創設した民主警察は予算も人も足りず無力でしかなかった。

「ガトーヴィチ人の先生が『スラヴ語の本以外読んではならぬ』って言うの」ある小学生は語る。
「でも図書館にはスペイン語の本しか無いのよ。それにスラヴ語なんて知らないわ」

「ノイエクルス人が出て行ってから強欲な連中がわしの農場に居座りおった。」ある老いた農民は語る。
「民族に忠実な自分たちこそ、土地を持つ権利があると抜かしおる。わしの営農許可証には紙切れほどの価値もないだと。おお、全能の連邦よ、わしらを守りたまえ。」

「あそこに大きな店が見えるでしょう?」あるご婦人は語る。
「もともとは地区協同生活用品購買・貯蔵・分配公社でね。あそこに行けば必要なものは何でも買えたの。」
「たまたま店長をやってた男がノイエクルス人が出て行った日、全部自分のもんにしちゃったのよ。」
「それ以来価格が2倍になって、ろくに食料も手に入らない有様。今日も代用コーヒーよ。」

―だが、それでも―

「政治パンフレットをあと5000枚印刷。総選挙ですよ、総選挙。僕たち選挙ができるんです。」
あるヴォルネスク国立行政学院の学生は嬉しそうに語った。
「今までも地方選挙はありました。でも政党は限られてたし、どうせ連邦軍と官僚で決められるんだから。」
「地区評議会とか、共同住宅評議会とか、数えきれないほどの評議会や委員会がありました。話し合うのは植え込みに植える花の種類とか、次のパーティーで使うお茶菓子とか、少しましなところでは保育料を0.5%値上げするかしないか。」
「僕たちはおままごとみたいな選挙で、毒にも薬にもならない事をグダグダと論じる委員会を選び出し、大事なことはノイエクルス人が決めて動かしていた。それを自治と呼んで満足していたんです。」
「混乱?望むところです。もっと、もっと混乱を下さい。まどろみのような社会にはうんざりしているんです!」

彼らはどのような未来を掴み取るのか。それが何であったにせよ、本人たちが掴み取ったという事実こそ、
重要なのだろう。

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