大幹帝国と石動第三帝国による首脳会談

534年6月中旬
大幹帝国首都京城特別市の愛国行動党本部で
大幹帝国代表と石動第三帝国代表の首脳会談が行われた。

朴永成首相
「龍鮮王朝創建100周年式典へのご参列、誠にありがとうございました。
そして、足利尊子征夷大将軍殿下にお目にかかれて光栄に思います。
本州を奪還したとはいえ、未だに浄土島に南朝勢力が居座る情勢下、
北幹人民軍の銃口が常に向けられている我が国としても深く同情し、連帯を表明いたします。
貴国の国土光復のため、我々はあらゆる手段を取りたいと考えております。」

足利尊子将軍
「こちらこそ、式典にご招待頂き誠にありがとうございます。龍鮮王朝創建100周年を心より慶賀致します。

私も、朴永成総理大臣閣下にお会いでき、大変嬉しく思います。お噂通り至極穏やかなお方で安心いたしました。

確かに皇統が南北に二分され、同じ民族同士が銃を向け合わなければならない状況は、貴国と似ている様ですね。全くもって悲しいことです…。

謀反を起こし孝寧院（孝寧君陛下の略称）から廃帝宣下を受けたとは言え、かつて皇帝として仕えた後明日香宮帝と戦火を交えなければならなかった事については、実は今でも本当に正しかったのか悩んでおります…。当時は思わず出家して隠遁することも考えてしまいました…。

しかし妹の直にこう言われたのです。『その様な事をした所で、あの幼帝が姉上を許し、尚且つ天下の民が再び安んぜられるとでもお考えか』と。妹の言葉でようやく決心がつきました。先帝を誑かした南朝の人々を討ち、石動に真の平和を取り戻さなければならないと。

そして無事に帝都を奪還することができました。白次佐を初めとする勇猛な大幹帝国防衛隊の方々も実によく戦ってくださいました。皇帝陛下に代わり、改めて御礼申し上げます。

南北の動乱の為に多くの臣民が困窮している今、貴国のお申し出は大変ありがたく存じます。詳しくお聞きしたく存じます。

朴永成首相
「南朝が陣取る浄土島は上陸可能な海岸が少ないため、攻略が困難です。そこで航空戦力をもって叩くべきだと考えます。
弊国の空母建艦技術と運用技術を提供する他、海上防衛官を派遣することを提案します。
また、幹国防衛隊の総力を挙げて、新田勢力が逃れた秋津列島の丘州を攻撃したいと思います。

将軍殿下と妹君の志を果たすため、どうかご検討下さい。

足利尊子将軍
「まあ、素晴らしいご提案でございますね。
これまで我が海軍の上層部では大艦巨砲主義が蔓延し、空母機動隊創設はしばしば提案されたものの、経験不足や技術不足を理由に滞っておりました。貴国の協力があれば、我が海軍の空母機動部隊創設も夢ではありません。

丘州攻撃のお申し出も、大変ありがたく存じます。現在浄土島への警戒から我が軍から九州へ兵を出すことは難しく、対策を決めあぐねておりました。勇猛果敢な幹国防衛隊を以てすれば、きっとご成功されるでしょう。幹国防衛隊のご武運をお祈り申し上げます。」

朴永成首相
「では会談後早速、技術者と海上防衛官を貴国に派遣しましょう。
また、丘州征伐作戦を準備致しましょう。」

足利尊子将軍
「ありがとうございます。第二帝政期の亡命政府受け入れと言い、石動動乱と言い、そして今回の動乱と言い、本当に貴国には頭が上がりませんね。

話は変わりますが、現在の我が国の困窮の要因の一つとして、備蓄商品の欠乏による深刻な商品不足があります。もっともこの問題は動乱発生以前から指摘されていたものを、外務省が怠慢から、新たな商品購入先の開拓を怠った事が要因なわけですが…。工業国の貴国に於かれましては、我が国との商品取引は如何でございましょうか?」

朴永成首相
「何を仰いますか、幹国と石動は双子の兄弟のようなものです。今までもこれからも変わりません。

商品取引は、十分検討するべき課題です。ノイエクルス連邦とよく話し合った上で結論を出そうと思います。
また、工業生産力の拡大を推進しているので、良い返事ができると思います。」

足利尊子将軍
「心強いお言葉、ありがとうございます。貴兄弟国という最高のかを与えてくださった神に感謝しなければなりませんね。

お取り計らいありがとうございます。貴国の優れた商品があれば、我が国は東方の商圏としてその力を一層発揮させる事ができるでしょう。

さて、我が国としては今回貴国にお伝えすることは以上となりますが、朴首相の方からは何かございますでしょうか？」

朴永成首相
「弊国では近年、アニメが流行になってきております。しかし、弊国の水準はアニメ・漫画先進国である貴国に遠く及びません。そこで、仁河芸術文化大学に講師を招聘したいと考えています。
その他にも、貴国の教育界との交流を考えている大学関係者が多数おります。
是非、両国間で教育交流を進めたいと考えております。」

足利尊子将軍
「なるほど、確かに我が国のアニメ・マンガ文化は世界に誇れるものと自負しております。我が国の芸術大学といえば山岡藝術大学あたりが考えられますね。すぐに両校の実務者レベルで協議致しましょう」