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鈍色の港湾都市

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2015/6/17 23:44
ゲスト    投稿数: 0

Written by rella.

Flugel Anthology - Waleridse Commerce Commonwealth

(前置き)
このトピックに投稿される物語はゲーム上の展開及び外交に一切の影響を及ぼしません。

投票数:0 平均点:0.00
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2015/7/27 1:11 | 最終変更
ゲスト    投稿数: 0

Act1. クリクルム・ポーラーの余韻

 クリクルム・ポーラー。惨劇は、そう名づけられた。
 アゼロティータに住む百万の人命を高貴卑賤問わず瞬時に鏖殺せしめた隕石は、ウェールリズセの正負両面の変革に利用されたと後の歴史家は結論付けたが、其は正鵠を射ていたのである。

 ――『クリクルム・ポーラーの変革』より 

 痛みを伴う変革は、誰によって?
 ベルドルト・アルベルティーニに。正しくは、その後継者たる冷徹なエウジェーニオ・カルカテルラに。
「間違ってはいない。アルベルティーニはその点、敵と味方をはっきりと理解していたからな。優しさも持ち合わせていた」
 一人独言つ男。背丈は高く、精悍な顔つきは元軍人らしいともいえるだろう。エウジェーニオ・カルカテルラ。元アゼロティータ行政長官、現ウェールリズセ総督。齢は50といったとこだろうか。
 ブランデー入りの紅茶を舌で転がしながら、山積した書類を一件ずつ処理していく姿は、敏腕な執政者そのものであった。その処理能力は常人のそれではない。国家元首の器に収まる人物は得てしてそういうものである。
 その中で、ノック一つ。
「誰だ」
『オルランディ外務委員がお見えですが如何いたしますか?』
 ドア越しの来客の報。答えは考えるまでもなく。
「通せ」
 短く応えると、直後ドアが開かれ、エウジェーニオよりも歳若い男が姿を現した。オルランディと呼ばれた男は、全名をイルヴァ・オルランディ。カルカテルラの右腕といわれているこの男もまた大きな器を持っている。
 外務省で確かな実績をあげてきた、どこか高貴さすら感じさせるこの男は、レゴリス帝国との会談までの調整を行い将来の外務委員候補と目されたチェルソ・ベルトロットすら出し抜いた。結果、現在のポストに収まっている。
 そこにどんなコネクションがあったのか、誰も知らない。
「失礼します、総督閣下。これよりレゴリス帝国に赴きますので、挨拶をと思いまして」
「そうか。私はヴェールヌイとの条約締結の仕事があるからレゴリスには赴けないが、オルランディ委員の双肩に今後のレゴリス帝国との関係がかかっている。苦労をかけるが、よろしく頼む」
「過分な言葉、痛み入ります。私はレゴリス行きを苦労と思ったことはありませんよ、総督閣下。むしろ喜んで行くのですから」
「ほう。大学の講義以外に興味を示さなかったオルランディ委員がレゴリスには執着していた理由が気になってはいたが。レゴリスの何処を好いたのかな?」
「単に閣下の構想された三角外交の一環です。彼の国は強大だが、それ故に寛容。利と義さえ示せば、案外すんなりいくものですよ」
 確かにそうではあるが、と呟くエウジェーニオ。どこか腑に落ちない様子で、取り出した葉巻を吹かす。
「まあ、君にそれ以外の理由があったとしてもそれは私人としてのものだ。議会運営に支障をきたさない程度であればスキャンダラスな事でも自由にするといい、私はオルランディ委員の能力を買ったのであって人格を買ったのではないのだから」
「ええ、そうさせて頂きます。――では、これで」

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