ではまず我が國がアヴェスター発禁に至った経緯を諸宗教局長より説明します。

まずはじめに、我が國の国教はキリスト教であり、国王陛下を頂点とした国教会体制をとっております。国民のスオミ国教会への所属率は９６％を誇っております。

先頃政府の国教会統括委員会の総務局長であられるオウル総主教猊下より、「近頃の人口の着実な増加にもかかわらず、教会のミサへの参加者は少しずつしか増えていない。どうしたことだ。」とのお問い合わせが我が省のほうにございました。
そこで、国教会以外を管轄する諸宗教局が調査に当たったところ、ゾロアスター教徒の地下教会の存在が明らかになったのであります。構成員の一人を尋問したところ、民国出身者でありました。

話の途中ですまないが、民国とはどこのことだろうか？

我が國は建国まもなく、体制も未だ不安定であります。国家の秩序と安定を維持するためにも、国教会以外の信徒のコミュニティーは未だ認め難く、これ以上の信徒の増加を避けるためにも緊急にアヴェスターの発禁を決定したのであります。
我が國が発展して体制が安定した折には、信教の自由を認める用意がありますが、現段階では国教会体制の変革は認められないというのが内務省の方針であります。

新夏社通信記者の孫中木と中夏の声新聞社の曹啓嶺です。懇談会への出席を希望します。

中夏民国出身者でした。正確には華夏人民共和国の出身者であります。おそらく内戦期の亡命者が回りまわって我が國にたどり着いたのではないかと思われます。

もちろんです。ぜひご出席ください。

以上であります。

次に聖マズダー教国の方お願いします。

そちらの話を要約すると、国の発展のために国教会以外の宗教勢力の拡大を防ぎたいから、アヴェスターの発禁処分をしたということになる。
これは言いかえれば、国家の利益のために少数派の弱者を虐げることにならないだろうか?
地下教会という話だったが、我々協会は関与しておらず、自然発生的なコミュニティだと考えられる。貴国は異教徒であるからと言って国民の生活まで束縛するのだろうか？
我が教会は現在、スオミ王国での布教活動の予定はない。しかし、貴国の宗教観に危機感を覚える。

また、我が国はそのような非近代的な思想を持つ国とは国交を持つことができない。貴国がアヴェスターの発禁を撤回し、思想の自由を保障する近代国家たることを望みます。
以上です。

えーっと、官房長閣下、質問よろしいでしょうか？

スオミ王国の政策に各国から批判が出ているようですが、そもそも貴国の憲法、法令では信教の自由というのはどこまで許容されているのでしょうか？
また、信教の自由がほぼ無制限に許容されているとして、戒厳などが例外として認められているということでしょうか？
その点の解説をお願いします。

貴国の指摘はもっともである。しかし、我が國の国教会体制は王国の国体とも深く関係しており、今国教会体制をやめて信教の自由を認めては、国体の変革をも余儀なくされよう。行政府としてはそれは認めがたい。

そちらの考えは理解した。しかし、我々は到底、それを受け入れることはできない。
今後の両国の関係は厳しいものになるだろう。残念である。

我が國としては、最貧国（Least developed）を脱したあたりでの信教の自由の保障等、部分的な民主化を考慮している。

話を切ってしまって申し訳ないのですが、クルジスの灯火責任者です。
まずは我が社の記事のスオミ王国となるはずの箇所がスミオ王国となっていた件についてお詫び申し上げます。

懇談会に参加を希望したいのですが、よろしいでしょうか？

えーっと、官房長閣下、質問よろしいでしょうか？

スオミ王国の政策に各国から批判が出ているようですが、そもそも貴国の憲法、法令では信教の自由というのはどこまで許容されているのでしょうか？
また、信教の自由がほぼ無制限に許容されているとして、戒厳などが例外として認められているということでしょうか？
その点の解説をお願いします。

もちろんです。歓迎します。

我が國は建国まもないため、三権分立は初期段階で、ほぼ全ては国王陛下の大権に属する。憲法に類するものとしては貴族院及び枢密院により上程され、陛下も承認されたスオミ憲章があるのみである。よって、信教の自由も、国王陛下が最終的には判断されることである。

繰り返すが我が國としては、最貧国（Least developed）を脱したあたりでの信教の自由の保障等、部分的な民主化していく所存である。各国の協力も求めていきたい。

遅ればせながら中夏民国政府から文化部長である鄧大吉が出席します。

我が国政府としては、スオミ王国が経済発展するまでという条件で今回の同国の政策は許容するべきと存じます。
スオミ王国政府は経済発展後に社会の自由化を促進すると明言しております以上、各国は同国の経済支援を積極的に行うべきであると考えます。
我が国は既に同国に幾度か経済支援を行っており、スオミ側も今回の問題に関して前向きに検討してくれると信じております。