聖マズダー教国とアクアマリン王国の会談の場です。
会談は首都アクアティアラにて行われます。

弊国からは私、リエラ・エアリーヌが出席致します。

我が国からは、この私、ゾロアスターと宣教省長官のシュルツが出席します。
また万が一のときに、リエラ陛下を含む我々を守るため、ボルツマン大公以下、３名の救世軍兵士を入り口に待機させております。

このような場で恐縮ですが、陛下のご即位を記念して、贈り物を持ってきました。我が国の陶工に特別に作らせた「ハフト・ランギ」のティーセットです。どうかお納めください。

…陛下はまだお若いですし、紅茶は嗜まれませんかな?
良ければ我が国から良質の茶葉を持参しておりますので、この機会にご一緒したいと思うのですが。

素敵なティーセットでございますね。
ゾロアスター教皇聖下の御好意に感謝申し上げます。
紅茶はルーシェベルギアス公国を訪問した時に初めて頂きましたが、
中々美味しいものですね。是非頂きたく存じます。

私は教皇聖下を常々尊敬申し上げております。
弊国のアクアマリン崇拝につきましてもゾロアスター教との教義的な類似を認識する国民が随分と増えて参りました。
近いうちに私から国民へ真実を公表できる日が来るのではないかと思っております。

さて、折角の会談ですし、少し政治的なお話を致しましょうか。
弊国は完全平和を宣言したもの軍部は武装解除に難色を示しております。
スオミ王国とは和平したとはいえ、未だかの国の国内情勢は不安定であり、いつ弊国へ波及が及ぶかもしれない情勢であると言うの彼らの主張です。
そこで弊国としては不本意ではございますが、当面は軍事力を保持したまま緩やかな武装解除への道を歩むこととなると思います。貴国とは軍事同盟を結んでおりますし、是非弊国への御支援を引き続き賜ればと思う次第でございます。

貴国の完全平和宣言には良い意味で驚かされました。
現状の複雑な国際情勢の中での、そのような決断は並大抵の指導者では行えないものです。リエラ陛下のような美しくも逞しい君主を戴くアクアマリン王国は末永く安泰でしょう。

ただ、私は貴国軍部の意見と近い感情を持っております。必ずしも軍事力の削減が平和に寄与するとは考えておりません。また、逆に平和のためには軍事力の解体が必要だとは言えないと考えております。
軍隊を持つがゆえに、起こらない戦争もありますし、軍隊を持たないからこそ、侵略される国もありましょう。
世界平和のために、最低限の軍事力は保持したほうがよろしいのではないでしょうか。

我が国は現在、積極的に軍拡を行っております。これは戦争を起こすためのものではなく、戦争を起こさない、もしくは戦争を終わらせるためのものであります。

貴国が脅威にさらされたならば、我が国は矛となって、すぐさまその脅威を駆逐いたしましょう。しかし、貴国も自らを守る盾ぐらいは持っておられたほうが良いと思います。

私は将来的なスカンジナビア地域全域の非武装化を目指しております。
そしてその道が、辛く険しい道になると言う事も理解しているつもりです。

ですが…ですが…
私の理想の為だけに国民を危険に晒す訳には無論参りません。
その意味では軍部もそして教皇聖下の仰る事は正しいのだと思います。
弊国が突然非武装化すれば地域の軍事バランスは崩れ、無用な争いを招く元になるかもしれませんものね。

当面は現状を維持するしか道は無いのかもしれません。
ですが、私の理想だけは御理解いただきたいのです。
そしてそれが将来実現できる事を信じて私は即位致しました。

本当はこの会談までは貴国が軍拡の道を走っている事に対して
震えが止まりませんでした。
でも、それは戦争を起こさない為だったと知り今は安心しております。
きっと弊国の事を考えての行いでもあったのでしょう。
有事の際にこれほど頼もしい味方はございません。

陛下にご心配をおかけするつもりはなかったのですが……説明をするべきでした。申し訳ありません。
非武装化という崇高な理念。感服いたします。
陛下のお考えはよく理解できました。私は軍隊の保有が当然のことで、それを放棄することは国民を危険にさらすものだ、という所謂「古い考え」を持っているのかもしれません。お若い陛下はそのような固定観念にとらわれない、新しい時代を切り開く、確かなビジョンをお持ちなのでしょう。
私はそのような決断はとてもできませんから。今まで通りのやり方を踏襲するのみです。
ただ、陛下が願うような平和で、軍事力の存在意義の失われたような世界、時代の到来を切に願います。
我が国と貴国は軍事同盟を含む強い絆で結ばれたいわば「盟友」です。貴国が危険にさらされるようならば我が国が全力で貴国民を守りましょう。
建材・砲弾の製造ラインは整いつつあるのですが、原材料の調達が不安定でして、貴国への供与となると、難しいものがあります。
貴国からの具体的な要請がありましたら、その時に準備を行うという形になります。恒常的な供与は不可能かと思います。

この話の流れでは不躾なことと思いますが、軍事技術が宇宙開発の技術に転用できることは御存じでしょうか？軍事技術はただ単に戦争のためだけではなく、衛星を打ち上げて、国民を火事や地震から守ることにもつながるのです。貴国は非武装化を掲げておられますが、宇宙開発に進出する予定はないのでしょうか?

ありがとうございます。
貴国の御支援があったからこそ、今回のスオミ王国、ミッドガルド帝国との和平も結ぶ事が出来たのでしょう。
私も本当は分かっているのです。平和の為には時として力が必要だと言う事を…。
ですが、私は諦めきれないのです。
どうか、御理解下さいませ。

宇宙開発には軍事技術も必要なのですね。
教皇聖下からお聞きするまで私は存じ上げませんでした。
政府は宇宙開発事業には積極的の様なので何か政府の方で立ちあがっているプロジェクトがあるのかもしれません。
後ほど政府に確認してみようと思います。

さて、会談も酣でございますね。
他に議論する内容などはございますでしょうか？
特に無ければ、堅苦しい話はこれまでとし、
教皇聖下、シュルツ様やボルツマン様も御一緒に、
一献傾けとう存じます。

こちらとしては、これ以上、特に話すことはありません。
改めて、陛下のご即位をお祝いしたいと思います。

……たしか、ボルツマンは禁酒をしていたはず…
申し訳ありませんが、彼には他の冷たい飲み物をお願いいたします。
私とシュルツは酒が得意ですので、取り乱すことはないでしょうから、ご心配は無用です。

ありがとうございます。
ボルツマン様は見かけによらず繊細な方でございますのね。
アルコールが入ってない飲み物をお持ちいたしましょう。

皆様とこうして御酒を交わす事が出来て光栄ですわ。
この度は素敵な会談、ありがとうございました。