確かに人民主権を掲げて革命を成就したのは事実だ。
しかし、国内の実情は民族間の深まる対立と、民族国家樹立を声高に叫ぶ民族主義者、簒奪者にならんとする反革命分子に悩まされた。
帝政時代にも同様の状況であった事は明確である。

我々連邦議会は二度の大粛清を行い、国内事情を安定させはした。
だが、いまでは権威主義者、自由主義者の声が高まり秘密警察による取締りを強化せざる終えないのが現状なのだ。
もし我々が立憲君主制を支持し、実行したならば秘密警察を解散せざる終えない。その上、民主制となれば国政の独裁権も無くなる。
旧世界のレフ・トロツキーも『民主的な方法を適応させるには限度がある』と残している。人民にブレーキを踏むかどうか尋ねることは出来ないのだ。

党中央が皇女へのヒアリング調査を行ったところ彼女はマズダー国への亡命を希望したため本人の意思を尊重し同国へ護送する事となった。
以後引き渡し交渉は同国へ行ってもらいたい。

やむ終えない事情である為、しかたあるまい。
了承した。

華夏人民共和国の仲介によるクルキアマイト・Ｓ・ミディアート氏の当国への亡命を受け入れることを正式に決定した。
なお、身柄の護送日時は安全を確保するため公表せず、事後に正式な発表をする予定である。