標題の通り、首脳会談を実施致します。

我が国からは連邦首相　原川幹治が出席します。

関係国の出席を求めます。

本会議に国務院総理兼外交部長の朱緋真が出席する。

御出席に感謝します。
では、早速ですが事前通告の通り我が国は貴国との不可侵条約締結を希望しております。ゆえに第一議案として相互不可侵条約の原案を提出します。

「成蘭連邦王国・華夏人民共和国間に於ける相互不可侵条約」

第一条　本条約は成蘭連邦王国と華夏人民共和国間の相互不可侵を規定する。

２　両国は領土、領海、領空の相互尊重を基本とし、これを侵してはならない。

第二条　締約国に於ける相互の軍事行動の一切を禁止する。

２　また、双方あるいはいずれかの国が戦時状態に突入した場合は人道上やむを得ず実施する援助行為を除く一切の物資の輸出入、参戦国への何らかの支援等を厳に慎み、国際慣習法に従い中立を維持するものとする。

３　禁止される軍事行動とは「ミサイル発射、衛星破壊砲、レーザー発射、陸上部隊派遣、艦隊派遣」を指す。

第三条　締約国は両国間に外交問題が生じた際、対話による交渉で平和裏に解決を図る。

１　締約国は相互に対し外交交渉の場で軍事行動の示唆による恫喝を控えるよう最大限努力する。

第四条　本条約に反する条約が発効後結ばれた場合は、本条約が効力を優先する。

第五条　本条約の有効期限はフリューゲル暦で20年とするが、双方あるいはいずれかの国が異議を申し立てなかった場合は自動更新とし、効力を継続する。

第六条　本条約は外交掲示板に破棄する旨掲示することでいつでも解除することができる。但し、効力を発するのは掲示開始後、フリュゲール暦2か月が経過した後とし、この猶予期間内は本条約を仮に継続し締約国は条約を遵守擁護する義務を負う。

第一条と第二条の全ての項目は両国は相互の主権を尊重し、これを侵害しない、で事足りるかと想われます。

我が国は貴国との軍事衝突を予防し、貿易を後押しする為に、今般の相互不可侵条約を提案させて頂きました。

貴国の御意見の通り、第一条、第二条をその一文に統合した場合、相互の武力行使を条約で抑止することはできずこの条約の必要性、重要性が大きく削られ無意味な条約と化す恐れがあります。

我が国としては、あくまでも明白かつ解釈に疑義が生じず、その上法的拘束力を有する形で相互の武力行使を禁止する規定を盛り込むべきだと考えております。

ゆえに第１条はともかくとして、第２条については文言の無修正、あるいは若干の修正に止めたいというのが我が国の方針であるが貴国の御意見をお伺いしたいと思います。

なるほど、しかし第二条一項及び三項は事実上意味が重複しており、第三条とあわせて「両国間の紛争解決に一切の武力を用いることを放棄する」という文言でも十分国際的に通用すると存じます。

意味が重複しているというのは第二条と第三条でしょうか？

紛争としてではなく、一方的な攻撃を加えるというケースが過去にございますのであくまでも両国間の軍事行動を禁止すべきかと存じます。ゆえに我が国としては第三条を全面的に削除、第二条を修正した以下の案を提出します。

第二条　締約国間において一切の軍事行動を禁止する。

2「軍事行動」とは「ミサイル発射、衛星破壊砲、レーザー発射、陸上部隊派遣、艦隊派遣」を指す。

あらゆる事態を想定するならば

第二条　一方の締約国への主権侵害を含めた一切の行動を禁止する。

のほうが適切と存じ上げます。

「主権侵害」や「一切の行動」の定義を定めない場合、解釈に疑義が生じてしまう恐れがありますので、我が国としてはやはり先ほどの修正案に致すべきかと存じます。

本条約は安全保障面での中立を確約する条約ですので軍事行動のみ規制すべきではないでしょうか？

例えば外交的に圧力をかけて領土を割譲させたりということが出来ますね。この場合軍事行動でなくとも主権侵害に当たります。

確かにそれは「主権侵害」であると思います。

しかし、それを定義することが困難ではないかと思うのです。

また、そもそも本条約はあくまでも実際の軍事衝突を予防する為の条約であり、主権云々に関しては別途議論すべきかと思います。
条約の性質上、軍事行動に限定した条約にとどめるべきかと思います。

そもそも、我が国には貴国を攻撃する能力はありませんしむしろこちらが貴国を警戒しているくらいです。
さて、なぜ我々が普欧に同じことを言わないのかといいますと、普欧帝国は政治的、経済的に我が国を保護したという前例があるからこそ軍事行動のみの制限に同意致しました。
つまり外交的に圧力をかけないという信用があるからでございます。さて、貴国はそれをどのように担保してくださるのか、ご提示いただきたい。

まず、我が国の基本方針として武力行使は厳に慎んでおりますし、実際に武力を行使した例は国内外問わず一例もございません。(怪獣討伐は除きます)
また、我が国は軍事力を公開しておりますが、他の先進国に比べ非常に劣っており自国防衛すら可能なのか疑問視されるような現状であります。
貴国には我が国を警戒する必要性が無いことを先にご理解頂ければと思います。

その上で、まず我が国の立場をはっきりさせておきたいと思います。
我が国は定義の解釈次第で条約が無力化される恐れがあることから、軍事行動の制限、そしてこれの列挙を条約に必ず盛り込むことを主張しております。
尚、主権侵害の禁止等に関して我が国は確かに「安全保障面での中立を確約する条約なので軍事行動の規制のみに特化、限定すべき」という理由から排除すべきだと述べましたが、貴国が強く求めるのであれば我が国は反対致しません。むしろ賛成です。
誤解を招く言動を致し、申し訳ございません。

つまり、我が国は軍事行動の制限、そしてこの列挙さえ実現するのであれば貴国の主張する内容を盛り込むことも可能であり、我が国としてはこれに異論を唱えることはありません。

貴国の御質問にお答えする前に、我が国が先ほど述べたように貴国が求めるものを明示して頂きたく存じます。

議論の経緯を見たところ、どうも貴国と我が国の間では認識がずれているのではないかと思いますので一度両国の主張、立場を再確認したいと思います。

この内容での締結あれば、普欧と同条件で、ということを申し上げます。
政治的ないしは経済的に我が国を支えるということを貴国に対する信用の担保と致します。
すなわち片務的安全保障条約（政治的）もしくは経済援助協定（経済的）のどちらかですが、さきほどの貴国の御主張ならば経済的保護を我が国は希望せざるをえません。

なるほど。経済的あるいは政治的に貴国を支えるのであれば不可侵条約に同意して頂けるということですか。

我が国としては経済援助協定並びに片務的安全保障条約いずれに対しても検討致したいと思いますので、両条約、協定の骨子案を提示して頂きたいと思います。

もちろん、貴国が経済的保護を希望していることは承知しておりますが、政治的保護についても政府内で検討し可能であれば、そちらの選択でも問題ないのではとも思いますので。
ただ、貴国が主張するように経済的保護の方が我が国として受諾できる可能性は高いとは思います。

貴国が提示した骨子案を踏まえ我が国が貴国の保護に同意するか否か判断致したいと思います。

経済援助協定で貴国に援助していただきたい物資はまず資金30兆、商品30兆、建材5億トンでございます。
貴国の国力を鑑みるにこれらはだいたい普欧の半分ほどでございます。
政治的保護は貴国の主張する軍事力から拝察するに、必要ないかと思われますが、そのかわり、友好の証として貴国の王族を我が国に留学生として召致したい。これをもって政治的信用と致します。

経済援助協定の件ですが、いずれも受諾可能ですが援助は継続的なものか、あるいは今回限りの一時的なものか確認します。

無論今回限りととらえていただいて結構でございます。

我が国は経済的保護に同意します。

貴国の提示案通り援助を行います。
援助に関しては不可侵条約締結後、速やかに実施します。

不可侵条約に関しては我が国の修正案で同意して頂けたという解釈でよろしいでしょうか？

我が国の提案に同意いただけるのであれば同意致します

経済援助協定、不可侵条約を同時締結致したいと思います。

両条約の締結を以って我が国は貴国との大使級外交関係を開設する。

成蘭・華夏経済援助協定

第1条　成蘭連邦王国は華夏人民共和国に対して以下に列挙する資源、資金を開発支援として無償提供する。
　一　商品30兆Va相当
　二　建材5億トン
　三　資金30兆Va

第2条　本協定は両国首脳による締結を以って発効し、成蘭連邦王国は速やかに援助物資を輸送する義務を負う。

成蘭・華夏相互不可侵条約

第一条　本条約は成蘭連邦王国と華夏人民共和国間の相互不可侵を規定する。

２　両国は領土、領海、領空の相互尊重を基本とし、これを侵してはならない。

第二条　締約国間において一切の軍事行動を禁止する。

2「軍事行動」とは「ミサイル発射、衛星破壊砲、レーザー発射、陸上部隊派遣、艦隊派遣」を指す。

第三条　本条約に反する条約が発効後結ばれた場合は、本条約が効力を優先する。

第四条　本条約の有効期限はフリューゲル暦で20年とするが、双方あるいはいずれかの国が異議を申し立てなかった場合は自動更新とし、効力を継続する。

第五条　本条約は外交掲示板に破棄する旨掲示することでいつでも解除することができる。但し、効力を発するのは掲示開始後、フリュゲール暦2か月が経過した後とし、この猶予期間内は本条約を仮に継続し締約国は条約を遵守擁護する義務を負う。

華夏人民を代表して調印する

華夏人民共和国国務院総理兼外交部長　朱緋真

成蘭連邦王国政府を代表し調印する。

成蘭連邦王国　連邦首相　原川幹治

援助物資は速やかに輸送します。

では、これにて首脳会談を終了致したいと思います。
ありがとうございました。